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メディアグランプリ

テレビで再会した、古き友人


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記事:ひろり(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「Stay Home」が求められる様になってから、テレワーク等で自宅にいる時間がかなり増えた。その影響でいつもより多くテレビを見るようになった。
 
でも、ロケが出来ない影響か、テレビ番組では、過去に放送した内容を再編集して流したり、出演者が自宅からリモートで出演したりと変則的な内容が続いている。
 
ここ最近になって一部地域を除いて緊急事態宣言が解除されたけど、まだまだ影響は当分続くのではないかと思う。
 
そんな中、不謹慎かもしれないけど、僕にとって嬉しいことがひとつあった。
 
それは、「テレビで放送される映画が増えた」ということ。
 
以前は毎週金・土・日は夜9時になるとかならずどこかの局で映画が放送されていて、
それを見ながら夜ふかしすることが映画好きの僕にとっては至福の時間だった。
 
でも、いつの頃からか、テレビで放送される映画では視聴率が取れなくなり、その上
水野晴郎や淀川長治といった名物映画評論家が相次いで亡くなったこともあり、週末の夜9時は映画以外のテレビ番組だらけになってしまった。
 
それに、僕自身も子供の世話や家事の手伝い等でなかなかこの時間にゆっくりすることができなくなり、いつの頃からかあまり映画を見なくなってしまっていた。
 
でも、それがコロナの影響でずっと家にいることが増え、テレビを見る時間が増えた。
更に映画の放映も増えた。
僕にとってはウィンウィンなのだ。
 
そんな中、某局で「天使にラブソングを」が放送されていた。
なんでも、視聴者からのリクエストが多かったらしい。
 
うわ、懐かしい。見た時に最初に思った感想だ。
 
この映画は1992年に公開されたもので、クラブ歌手のデロリスが、犯罪を目撃したことで追われる身となり、刑事の転機で修道院に匿われる。そこでシスター達に歌を教えることで一緒に成長していく、というストーリーで、内容自体はコメディタッチだった。
 
当時アメリカだけでなく、日本でも大ヒットし、続編も作成された。
ただ「面白かった」だけでなく、劇中で歌われるゴスペルが大いに受け、
一大ゴスペルブームを巻き起こした。
 
かくいう自分も影響を受け、サウンドトラックを速攻で買い、事あるごとに聞いていた。
残念ながらそのCDは当時付き合っていた彼女に持ち逃げされてしまったが。
 
とにもかくにも、自分にとっては20数年ぶりになる映画、あらすじも曲も大体は覚えているが、流石に細かいところまでは忘れてしまっていた。
なので、改めて見ることで、思い出そうと思った。
 
ああ、そうそう、ここはこうだったか、ああ、ここでこの曲が流れてくるんだったよな……と心の中で呟きながら観進めていった。
 
そして終盤。ネタバレになるのであまり言えないが、デロリスのピンチを修道女の皆が救い、みんなでゴスペルの大舞台に臨み、大団円でエンディングを迎えるシークエンス。
 
「I will follow him」のゴスペルアレンジ大合唱が流れる一番盛り上がるシーン。
 
このシーンを観ながら、僕は気がついた。自分でもビックリした。
 
泣いてしまっていた。
 
一度ならず何度も観たはずの映画で。
 
ラストシーンで感極まり、僕は一人泣いていた。
 
一緒に観ていた家族に知られないように、僕はそっと涙を拭った。
 
もちろん、かなりのブランクがあり、細かい所を忘れていたのは間違いないが、一番のラストシーンを忘れる訳もない。それなのに、分かっていたはずなのに。
 
もちろんこの映画の出来が素晴らしいということもある。
 
だけど、僕を泣かせたのは、感動的なゴスペルだけでは無い。
 
映画の内容だけでなく「この映画を観ていた頃」も思い出していたからだ。
 
当時は僕もまだ学生。大学入学と当時に実家を出て、下宿暮らしを始めていた。
 
大きな街に出てきたばかりで世間知らず。暇はあるけど金はなく、新しい人間関係に苦しんだり、新しいバイトを始めたり、好きな子に振られたり、でも良い友人と巡り会えたり……、とそれまでの人生で初めて経験することばかりで忙しい毎日だった。
 
楽しい事ばかりでなく、辛いこともあった。色々あったなぁ……、なんて
少々センチメンタルかもしれないが、この映画がそれを思い出させてくれた。
 
まるで、音信不通だった友達が「久しぶり! 元気してた?」とひょっこり顔をだし、
一緒に飲みながら昔話をするような、そんな感じだった。
 
嬉しいような、でもちょっと照れくさいような。
映画を観終わった後、僕はそんな気分にさせられていた。
 
「面白い映画だったね」
 
一緒に観ていた息子が言った。良い映画だったろ? と僕も返した。
 
昔の映画が僕にくれたもの、それは、古い友人と再会するような懐かしさと喜びだった。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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