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ビールに睡眠薬を盛られたフィリピンの夜


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:AI(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「ここどこ……?」
 
目が覚めると、私は知らないマンションの寝室に寝かされていた。
私の隣にはフィリピンの子どもたちが寝ていて、部屋にあるソファには前日に知り合った、フィリピン人の2人の女性がいた……
目はしっかりと覚め、意識もしっかりある。でも頭がクラクラし、声が出ない……
 
『何、この状況!?』
 
と、この展開に理解できずにいた。しかし、その後、女性たちは私が宿泊しているホテルまでタクシーで送ってくれた。私がまっすぐ歩けなくなっていたので、ホテルまで付き添ってくれたのだと思った。なんて優しい女性たちなのだろうと思った。しかし、その優しさは偽りだった……
 
これは、私の人生において、一番危険な思い出だ。
フィリピン滞在中、ビールに睡眠薬を盛られたのである……
 
2017年6月、私はボランティア活動に参加するため、フィリピンのセブ島を訪れた。渡航10日前、マニラ空港の近くで爆発事件が起きた報道や、別の大きな島ではICISによるテロ事件が起こり、その島への渡航が禁止されるなど、情勢が不安定な時期だった。しかし、セブ島は危険区域に指定されていなかったため、ボランティア活動に参加することにした。しかし、いくらセブ島が安全とはいえども、日本人を狙った窃盗や犯罪は多いと聞いていたので、時計や財布などの小物は日本にいる間に100円ショップで調達し、洋服も安物を身に着け、携帯電話も現地でレンタル。そして、外出時は、財布には現金3,000円とパスポートのコピーのみを入れた。そして、夕方までには宿泊先に必ず戻る。行動や身なりを徹底した。
 
ボランティア活動では、セブ島に暮らすストリートチルドレンが通う学校で給食の準備をしたり、日本語を教えたりと楽しい時間を過ごした。またスラム街にある教会に行き、そこでも子どもたちとの交流を深めた。街中を歩いていると、怪しい雰囲気を醸し出す人々もいたが、その時は、すぐタクシーに乗り込み、その場を離れた。セブ島には18日間ほど滞在したが、一度も怖い目に遭わなかった。その後、セブを後にし、マニラへと向かった。
 
フィリピンの首都・マニラ。
マニラには一人で3日間滞在した。マニラはセブ島より治安が悪く、滞在期間中は全てツアーを申し込んだ。そのおかげで、フィリピンで一度も危険な目に遭わなかった。しかし、フィリピン最後の夜、事件は起こった……
 
マニラ2日目。この日は、朝から16時までツアーに参加した。ツアーを終えた私は、一度ホテルに戻り、ホテル近くの海岸沿いを散歩していた。
すると、後ろからフィリピン人の女性2人組に声を掛けられた。女性たちとしばらく会話をしていると、その女性たちがセブ島出身で、二人でマニラまで旅行に来たということだった。この日は、一人の女性の誕生日だということで、一緒に食事をしないかと誘ってくれた。この時、17時だった。日が落ちるまで時間もあることだし、女性たちも人を騙すような感じもしなかったので、私は一緒に食事をすることにした。その後、10分ほどタクシーに乗り、レストランに向かった。
 
レストランでは、女性たちとビール片手にフィリピン料理を堪能しながら、会話を楽しんだ。フィリピンには、ボランティア活動に参加するために来たことを話すと、二人は
「フィリピンのために、日本から来てくれてありがとう」
と、感謝の言葉を述べてくれた。食事を始めて、1時間半ほどたっただろうか。私は、トイレに行くため、席を外した。グラスには半分ほど、ビールを残し……
 
数分後、席に戻ると、グラスに残ったビールを飲み始めた。私は、お酒が強い方だ。アルコール高めのお酒もよく飲む。しかし、その時ばかりは、様子が違った。急に頭が痛みだしたが、そんなに気にならない痛みだった。その後、日も暮れだしたところで、レストランを後にし、宿泊先まで向かうことになった。タクシーを呼び、タクシーに乗ったところまでは記憶があった。だが、タクシーに乗ったあと、記憶がなくなった……
 
そして、目が覚めると、マンションの1室に寝かされていたのである。その後、タクシーで私の宿泊先まで行き、その後、お金とパスポートのコピーを盗まれたことに気が付く。その時、私はお金なんてくれてやるから、一刻も早くホテルのベッドで横になりたかった。でも、まっすぐ歩けないし、頭もズキズキ痛い……やっとの想いで、部屋までたどり着くと、ベッドに倒れこみ、気絶したように眠りについた……
 
しかし、1時間ほどで目が覚めた。この日はフィリピン最終日。朝から、日本人のガイドさんによるツアーを申し込んでいた。約束の時間を10分ほど遅れて、ロビーに着いた。千鳥足で真っ青な顔をして現れた私を見るなり、ガイドさんは
「何かあったの? 顔色が悪すぎるよ!?」
と、私に向かって言った。ガイドさんと会った時は言葉が出るようになったので、前日の夜の出来事を話した。すると、
「あなた、睡眠薬を飲まされたんじゃない!? こんな状態で歩くことはできないから、病院に行こう」
と、予定を変更し、病院に向かうことになった。幸い、このツアーの参加者は私一人だった。病院で点滴をしていると、
「あなたの体内から、睡眠薬の成分が検出されたわ……心当たりある?」
と、告げられた……昨晩、食事中にトイレに席を立ち、その後、グラスに残していたビールを飲んでいたら、急に頭が痛くなりだしたことを伝えた。すると、
「ビールに睡眠薬を入れるなんて、ひどいことするわね! でも、死ななくて良かったわ。
フィリピンでは睡眠薬を使った犯罪が多くて、睡眠薬を飲まされた人がそのまま、死に至るケースも多いの……放置されて路上で亡くなるケースも多いのよ……」
 
もし、そのまま意識を失って路上に放置されていたら……最終日にツアーに申し込まず
ホテルでずっと寝ていたら……って考えるとゾッとした。ガイドさんは私の様態が落ち着くまで、ずっと一緒にいてくれた。ガイドさんのおかげで、私は今を生きているといっても過言ではない。
 
日本に帰った私は、このマニラで起きたことを同僚に伝えた。無事に帰って来たことを何よりも喜んでくれたが、盗まれたパスポートのコピーが悪用されないか心配した同僚がいたので、フィリピン大使館にも、この事件を伝えた。
電話をかけ、一通り、フィリピンで起きたことを伝えた。すると、電話口から
「大変なことを経験されたんですね……でも、うち、大使館じゃないですよ……
うち、カレー屋です……」
大使館だと思って電話した先は、まさかのカレー屋だった……
 
その後、大使館に電話し、パスポートのコピーが悪用されていないことも確認できた。
海外で一人で行動される際は、どうぞお気をつけください。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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