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その気持ちは、あなただけの宝物


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:手塚志穂(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「痛くないでしょ、泣かないの」
それを聞いて、私の胸はチクっと痛んだ。
 
うちの子のお友だちが転んで、そのママさんが言った。
「ちょっと転んだだけで痛くないんだから、そんな泣かないの」
さらにママさんが言って、
本当に痛くないのか、それともどこか痛いのかはわからないけど、
その子は転んだままの姿勢で、まだ泣いていた。
「痛かったね」と声をかけたけど、私の胸はチクっとしたままだった。
 
なんてことはない、よくある育児の一場面。
なんで私の胸が痛むのだろう。
 
私は、自分の子に「痛くないでしょ」と言わないようにしている。
それは育児方針の違いといえばそうかもしれないけど、
私の場合は、きっと言ったら、自分で自分の胸をチクリとさせてしまうから言わないようにしている。
 
この一言になんで胸を痛めるのかわからなくて、ずっと気になっていた。
そして先日、突然その答えが見つかった。
ヒントは知人のセーラームーンのおもちゃにあった。
 
子どもの頃のセーラームーンは憧れそのもので、グッズは宝物だった。
ただ、知人は子どもの頃は買ってもらえなかったそうで、
大人になってから自分で買った、そのおもちゃがとても大切だと言っていた。
 
「子どもの頃買ってもらえなかった反動で、大人になった今、買っちゃうんだよね」
「わかる! 今になって、子どもの自分が喜んでる感じだよね」
そうそう! と大いに盛り上がった。
 
その時、ふと気づいた。
そうか、知人の中には子どもの頃の自分が、今もいるんだ。
ずっと欲しかったおもちゃを買ってもらって、胸の中で喜んでいるんだ。
 
ということは、「痛くないでしょ」の時にチクっとしたのは、
私ではなく、私の中にいる子どもの頃の自分が痛がっているのかもしれない。
 
でもなんで?
 
子どもの頃を振り返ると、仲の良い両親と3つ年が離れた妹がいる普通の家庭で育った。セーラームーンのおもちゃを買ってもらった記憶もある。
 
そういえば、うちの子やお友だちは今4歳だから、私はその頃もう1歳の妹がいたということか。
 
4歳なんてまだまだ甘えん坊だし、1歳は可愛いけど手もかかる。
両親ともに地方から上京してきた核家族で、育児の先輩が身近におらず、遠い実家には頼ることもできない。
父は仕事が忙しかったから、少なくとも平日はワンオペか……
お母さん、大変だったろうな。私だったら、いー! ってなりそう。
 
まだ言葉もわからず夜泣きもして授乳も続いてる1歳がいる中では、
「せめてお姉ちゃんはいい子にしててくれ」
「ちょっとしたことで泣かないでくれ」
そう思っていたかもしれない。
 
そして、妹にばかり親の目が向き、泣いたりせず、どうしたら褒めれるのだろう、と
子どもなりに精一杯環境に適応しようとした4歳の自分のことも想像できる。
 
セーラームーンのおもちゃを抱えてるあの頃の自分は、
泣きたくても泣けない、甘えたくても甘えらないまま今もいるのかもしれない。
 
だから、「痛くないでしょ、泣かないの」と言われてるところを見ると、
4歳の自分が泣きながら「本当は痛いの、泣きたいの。」と私に訴えてくる。だから、胸がチクっとする。
 
今ならわかるよ。
 
大人は必死なんだ。
忙しく過ごしてる中で、なんとか育児や仕事の日々を乗り切るために。
 
でも、今だからわかる。
 
子どもの頃は、泣きたい時には思いっきり泣く方がいい。
程度はどうでも、痛いと思ったら痛いと言っていい。
 
泣きたいことも、痛いことも、甘えたいことも、
楽しいことも、怒るようなことも、感じ方は人それぞれで全部自分にしかわからないものだから。
「この場で褒められる行動は何か」と周りからの見られ方を考えなくていいし、
泣くかどうか、痛いかどうかは自分で決めていい。
 
セーラームーンのおもちゃが今も大切なように、
子どもの頃の自分の気持ちはずっと大切で、宝物だと私は思う。
 
その宝物は箱の中に貯まっていき、その人らしさという魅力になる。
 
状況に合わせた感情の出し方なんて、大人になってからいくらでもできるけど、
子どものうちに出し入れの練習をしないと、心という箱が錆びてしまってうまく開けることすらできない。
 
私は悲しい時に悲しいと言えなくて、ただ黙ってしまう。
「今の言われ方は悲しかった」
そう言えばいいのに、
どんな言葉を使おう、どんな表情を作ればいいのだろう、などと考えてしまって、気持ちが口の方まで出てきてくれない。
 
上手に箱から出して「ほら、私は今悲しいの」と見せられたらいいのだけど、
どうやら、そういう気持ちは、子どもの頃に乱暴に箱に押し込んでしまったようだ。
それを自由に出し入れするなんて、私にできるだろうか。
 
だから私は子どもたちみんなに、気持ちのままに泣いたり、痛いと言ってほしい。
最初は下手でも、だんだんその気持ちと心の扱いが上手になるから。
そして、人のことはもちろん、自分のことも大切にできる人になれると思う。
 
私も、上手に扱えるようになりたい。
気持ちのままを表に出すなんてかなり難しいけれど、
毎日、せっせと気持ちを箱に貯めて、出し入れを繰り返してる我が子が見本になってくれてるから、きっと頑張れる。
 
子どもの感情に付き合うのは大変な時もあるけど、
思いっきり泣いてる自分の子に「痛かったね」と寄り添っていると、なんだか胸が満たされる気持ちになる。
それは、おもちゃを抱えた子どもの自分が、「そうそう、その調子」と満足そうにしているからかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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