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恋と愛って、何がちがうの。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長尾創真(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
昨年、ぼくは7年間付き合った彼女と別れた。
振ったのは、ぼくからだ。
 
ぼくたちの出会いは、高校一年の春だった。
ぼくは、一組。彼女は二組。
 
お互いに、体育委員。
4月初旬に行われた委員会の集会で、初めて会った。
 
会った瞬間、可愛い子だと思った。
二重で、髪は少し茶色がかっていて、くしゃっとした笑顔が素敵な子。
4月なのに、学校内ではちょっとした有名人になっていた。
 
ぼくは、一目惚れをした。
 
一組と二組は、体育を同じ時間にする。
ぼくは、いつも体育の時間が、楽しみだった。
意味もなく、早く着替え、体育館に向かう。
 
今か今かと、その子を待っていた。
 
彼女が体育館に入って来た瞬間、見つける。
でも、気づいてないかのように目をそらす。
 
授業終わりの、体育委員がする片付けも、わざと、ゆっくり。
できるだけ同じ空間にいようとした。
 
一組と二組、合わせて4人体育委員がいたが、ぼくには彼女しか見えていなかった。
恋に落ちていた。
 
幸運にもその頃に、学年全体のLINEができた。
異性のLINEをゲットすることが目的の、巨大LINEは、またたく間に広がった。
 
当然、グループのメンバーに彼女がいないか探す。
長い長いメンバー一覧をスクロールをして、彼女を探す。
 
……いた。
 
すぐに、友達登録をした。
 
そして、ぼくは指を震わせながら、LINEを打った。
 
「突然ごめん! 追加させてもらいました!
一組の体育委員の長尾です!
次の体育委員の集まりっていつやったっけ??」
 
同じクラスの体育委員の子に聞けばいい内容だ。
でも、用もないのにLINEできるほどチャラくない。
 
「送信」を押すのに、1時間かかった。
 
返信を待つ時間は、永遠のように感じた。
待つこと、30分、返信が来た。
 
「集会、今度の水曜日だと思うよー!
私も自信ないからちゃんとわかったら教えるねー!」
 
嬉しかった。返事が来た。
嫌がられてなくて、良かった。
 
そこから、ぼくたちは、毎日のようにLINEをした。
 
6月の下旬。ぼくたちは、付き合った。
 
付き合えた日は、嬉しかった。
夜は、胸の高鳴りが止まらず、よく寝れなかった。
次の日の朝も、テンションが高かった。
 
それから、ぼくたちは、7年間付き合った。
 
部活終わりに、彼女を待って、一緒に家まで帰った。
部活の最後の試合は、彼女は見に来てくれた。
 
記念日は、毎年一緒に過ごした。
喧嘩も沢山したけど、なんとか仲直りして、デートに行った。
大学になって、遠距離になっても、4年間付き合い続けた。
 
でも、今となっては、その時間は
「頑張って作っていた時間」だったのかもしれないと思うようになった。
 
ぼくは、付き合って1年目の時に、自分の頭に浮かんだことを強烈に覚えている。
 
「あんま好きじゃないかも」
 
その時は、ただ、一時的な気の迷いだと思った。
この感情がなぜ生まれるのか、そのときには分からなかった。
 
だって、好きで付き合ったんだから。
そして、向こうも、ぼくのことを好きでいてくれる。
こんなに幸せなことはないじゃないか。
 
でも……
 
一度、「好きじゃないかもしれない」と思うと、その言葉は頭を離れない。
 
その気持ちが彼女には、伝わったのだろう。
いつからか、彼女は、こう言うことが多くなった。
 
「本当に、私のこと好き?」
 
ぼくは、その質問が一番嫌いだった。
 
もちろん、好きでありたい。嫌いではない。
でも、心の底から「好きだよ」と言えない。
 
彼女と会うと、可愛いから胸は高鳴る。
でも、なにか違う。
 
「私のこと、好き?」と、質問されたら、
いつも、ただ口を動かして「好きだよ」と言っていた。
 
そんな日々を送るようになり、
ぼくたちは、毎年のように別れ話をするようになった。
もう、「私のこと好き?」という質問を聞きたくなかった。
 
だけど、別れ話をするたびに、彼女は、別れたくないと言った。
そのたびに、ぼくは、説得されて、付き合い続けていた。
 
でも、ついに、7年目。ぼくたちは、別れた。
一方的に、振った。
 
なぜ、ぼくは、好きでなくなってしまったのだろう。
付き合うときは、あんなに好きだったのに。
 
好きってなんだろう。
恋ってなんだろう。
愛ってなんだろう。
 
なんだか、わからなくなっていた。
 
そんなとき、ある本に出会った。
 
平野啓一郎さんが執筆されている
「私とは何か」という本だ。
 
この本に次のような言葉が出てくる。
 
「あなたと一緒にいる時の自分が好きだから、あなたがいないと困るの」
 
この言葉を見た時、ぼくは鳥肌が立った。
「愛」ってこのことだ。
 
人は、色んな自分を持っている。
 
初対面用の、自分。
仲の良い人用の、自分。
険悪な人用の、自分。
 
いろんな自分を使い分けながら、生きている。
表裏があるという話ではない。
みんなそうやって、上手く共生している。
 
だから、どうせ生きるなら。
ぼくは、大好きな自分の時間を長く過ごしたい。
 
背伸びをしなくてすむ自分。
マイナスな感情を抱いていない自分の時間を長くしたい。
 
だから、大好きな人たちとの時間を長くしたいと思う。
「愛」とは、「その人といる時の自分が好きだ」と感じる感情だ。
 
彼女と一緒にいるときの、自分のことは好きではなかった。
いつも仮面をかぶって、格好つけようとして、自分の器以上であろうとした。
自分の気持ちに嘘をついて、「好きだよ」と言っていた。
素を出すことができなかった。
 
そんな自分が嫌だった。
 
もっと、ありのままの自分でありたい。
そう思っていたのに、彼女といるときは、そうなれなかった。
 
だから、ぼくたちの付き合いは、一時的な「恋」ではあったが、「愛」ではなかった。
付き合っている7年間、「愛」を感じることはできなかった。
 
ぼくは、これからも色んな人に出会うだろう。
きっと、色んな感情を抱きながら。
 
そんな時、もし自分が関係性に違和感を感じていたら
ぼくは自分に問いかけてみようと思う。
 
「その人といる時の、自分は好きですか?」
 
 
 
 
***
 
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2020-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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