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卵巣が私に伝えたこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三谷 智子(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
私は高校生の時から生理痛がひどい。何か病気があるのかもと心配になり、定期的に産婦人科のクリニックへかかっていた。いつもこれといって病気は見当たらなかった。
 
今年の2月のこと。
先週終わったばかりなのに、再び生理と同じ症状が起こった。不正出血だった。女性ホルモンが乱れるような、何か大きなストレスあったかな? 原因となることを思い起こしても、特に何もなかった。翌週には友達と温泉へ行く予定だった。
このままでは温泉に入れない。慌ててかかりつけの産婦人科へ行った。
 
産婦人科へかかるのは、3年ぶりだった。この3年間は、病院にかかるのは二の次としてしまうほど、慌ただしく過ごしていた。
ホルモン剤をもらって、不正出血を治して、温泉を楽しもう! 気楽に考えていた。
 
いつも通りの検査、診察をうけた。途中で先生の声がくぐもって聞こえたような気がした。
気のせいかと思い直したのを覚えている。
 
先生から結果を伝えられた。
左の卵巣が結構な大きさで腫れている。もっと詳しく検査をする必要があるが、手術は決定と告げられた。破裂するリスクもあるサイズとのことだった。
不正出血と左の卵巣が腫れているのは、何ら関係なく、たまたま見つかったそうだ。
この3年間での生理の時、激痛はなかったか? 腰痛はなかったか?
医師から症状の確認があるも、高校生以来、生理痛はいつもすごくあるだけで、3年間で増したことは全く無かった。腰痛に悩んだことは、人生で一度もなかった。
 
私は気が動転した。本当は、「左の卵巣の血の塊となっている部分だけを取り除く手術」だったのに、ちゃんと聞けていなかった。「左の卵巣を取っちゃう手術をする」と思い込んで聞いていた。
 
私にはコンプレックスがある。全然恋愛が上手くいかないから、私は女として欠落しているのだと思っていた。友達は次々に結婚し、子供もいる。羨ましかった。私もなんとかしようと頑張るものの、なんともならない。むしろ付き合うことも出来ず、失恋で終わったところ。絶賛傷ついている最中だった。
 
あなたに女として、世の中は求めていません。ええ加減分かりなさい。
卵巣を取るということは、そんな最終通告を私に突きつけるために起こった出来事なのか。まっしぐらに考えてしまった。
 
私は悲しくなって、診察室でぽろぽろ泣いた。こんな仕打ちってない。こんなに頑張って生きてきた私にそんなことする??
 
先生は慌てた。そりゃそうだ。ただ黙って座っている私が、手術内容を異なって認識し、自分の人生振り返って、悔しい気持ちが湧きおこって泣いているなんて、想像できようはずもない。
先生にティッシュをもらい、気持ちを落ち着けて診察室を後にした。
 
大きな病院にてCTを撮った。CTの結果を持って、産婦人科のクリニックを再び受診した。すると驚きの結果だった。なんと、左右ともに腫れていたのだ。左はとても大きく、右も左ほどではないが腫れていた。
 
左右どちらか片方だけなら。左がもう1cm大きかったら。私が子供を産みたいという希望が薄かったら。年齢が少し上だったら。
これら4つの条件のうち、どれか1つでも当てはまっていたなら、私は左の卵巣を手術することとなっていた。左右ともに腫れていた私は手術をすることなく、ホルモン剤を飲んで経過をみることとなった。
 
私自身は手術を避けられたことが、とっても嬉しかった。ピンチがピンチを救った、まさかの形だった。
 
でも卵巣が左右ともに腫れていることは、変わりない。とても注意が必要な状況だ。
それからは、自分の体が発するシグナルに敏感となった。
 
薬を飲み始めて2週間後のこと。
職場でコロナの対応をどうするか、紛糾するやりとりをした。私も感情が乱れた。
気持ちを落ち着けようと、お手洗いへ行った。薬の兼ね合いで起こらないはずなのに、生理となっていた。卵巣に異変が起きたと思い、慌てて産婦人科へ行った。薬の飲み始めではよくある症状だと診断された。ほっとした。
 
仕事が忙しく、ソファーで3時間の仮眠をした。翌朝、左の腰が痛い。
まさかの卵巣破裂の兆しか。再び慌てて産婦人科へ行った。ホルモン剤を飲み始めて1か月ちょっと経っていた。検査をしてみると、左は1cm以上、右も0.5cmほどむしろ小さくなっていた。ものすごく嬉しかった。
左の腰の痛みは、ただの寝違えだった。
 
卵巣が病気となった。私からすると、自分の女性を表す臓器だ。私のコンプレックスを紐解くと、自分が女性として足らないと感じているからだ。
病気となったのが、卵巣だったからこそ、私は色んな思いが湧いてきた。
卵巣を守るためだったたら、何としてでも守り抜こうとする自分の行動力を知った。
 
私は自分が女性であることをとても大切に思い、気にかけていることに気づいた。
女性として足りてないと、私へ言っているのは誰か。私自身だ。他に誰も言っていない。
本当に女性として足りないの? 誰よりも自分の女性を大切にしているよ。自分いじめをやめて、自分を認めていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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