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簡単だけど、奥が深い

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:有野哲章(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
シンプルなことなのですが、そこにはこだわりがある。
 
私は大学生のころに、ビリヤードにはまっていた。大学が終わるとビリヤード場に行き、夕方から朝5時ごろまで球を撞いていた。ビリヤードは一見シンプルに見えるが、とても奥が深く、頭ではイメージできるが、思い通りにいかない。
 
ポケットビリヤードの試合では、ナインボールが主流である。ナインボールは、白い手玉が1つあり、1番から順番に落とし、最後に9番を落とした人が勝ちである。
ゲームのスタートは、9番を真ん中に入れて、その周りを1番から8番までのボールでひし形に組む。そして、手前のスタートラインから手玉を撞く。いわゆるブレイクショットと呼ばれ、そこからゲームが開始される。
 
ビリヤードが詳しくない人にとっては、運のスポーツに思われるだろう。しかしビリヤードにも上手い下手があり実力の世界である。
おそらく運が左右されるのは、最初のブレイクショットの時だけであろう。思いっきり撞いた球が、どこに飛ぶか分からず、もし9番がポケットに入ったらラッキーである。ただその散らばった球を見て、どのように9番までたどり着く筋道をたてる。
 
全米のスポーツチャンネルでは、ビリヤードの試合を映しているが、日本では全くテレビで放映されない。その理由は、マニアックすぎて分かりづらいからであろう。ビリヤード詳しい人には、「すごい!」と思えることが、普通の人にはそのすごさが恐らく伝わらない。
 
ビリヤードのこだわりとして、ボールを撞く棒をキューと呼ぶ。キューは2万円から数百万円のものまで幅が広い。キューのデザインをハギと呼ぶが、組み合わせて作っているのか、塗っているのかによって美しさが違う。またウェイトが前か後か、またグリップの素材に何を使うか、シャフトの太さをどうするかなどにこだわる。極めつけは、キューの先端についているタップは、豚皮・羊皮・牛皮など種類によって撞いた感覚が変わってくる。マニアックである。
 
手玉をコントロールしながら、試合を進めるのだが、上を撞けば押し球と言って、的玉に当たったあとに前に転がる。下をつけば引き球、真ん中を撞けばストップショット、その力の入れ加減によって、何センチ手玉を動かすのか考えている。また、的玉と手玉の角度によって、転がる方向を予測し、次のポジションにもっていく。その時にひねりを入れたり、見越して球に当てる。
テーブルの周りについているクッションによっても、試合運びは変わってくる。晴れていて乾燥しているのか、雨が降っていて湿っているのか、その重さによってクッションの雰囲気が違うことも読み解く。またクッションに一度当ててから、的玉をポケットインさせるショットがあるのだが、これも計算して狙って入れている。簡単に言えば入射角反射角の法則だが、テーブルの周りにある白い点で計算し、高い確率でバンクショットを決めている。
 
福祉の仕事も、こだわりがある。
 
人生がどのようになっていくかは分からない。ブレイクショットで、9番がどこに飛ぶか分からないのと同じである。
 
福祉に詳しくない人にとっては、福祉は誰もができる仕事に思われるだろう。しかし福祉の専門職にも上手い下手があり、実力の世界である。だから、生活に困った時に、どんな専門家と会うのかが幸不幸の決め手になってしまう。
何がすごいのか説明しづらいが、上手な専門職だと安心感を与えることができ、その人を支援する方法の筋道を上手につくる。
 
私は福祉の仕事をするうえで、腕時計にこだわっている。面接している時に、壁時計を見たら、「早く終わりたいんだな」と相談者に思わせてしまうので、メモを書きながらチラッと腕時計を見て時間の確認をしている。時計を見たと相手に分からないように時計をみるテクニックがある。時計の表示はデジタルではなく、秒針のものを使っている。ちらっと見た時に、残り時間がすっと分かるからだ。デジタルだと、頭のなかで計算を少しするので会話の間をつくってしまうので私は使わない。
 
話している人の口調にあわせて話をしたり、話の内容によって唇の口角を上げ下げしている。悲しい内容なら口角を下げ、うれしい話なら口角を上げる。話の内容に合わせながら表情を作ったり、安心して話すためにどこに座ってもらうかに気をつかう。
自宅に訪問して話す時、相談室で話す時、街の喫茶店で話す時、話す場所や相談者の状況で話す内容も変わってくる。また「がんばれ」と押すのか、「大丈夫だよ」と安心させるのか、「少し休もうよ」と引くのか、会話のやりとりで押し引きをし、その力加減も考えている。
 
書いていて楽しくなってきたが、果たして読んでいる人がどれほど納得しているのか、サービスに欠けている文章になっているのではないかと心配になる。
 
ただ、どちらも一見簡単そうだけど、奥が深い。その奥深さが楽しくてたまらない。
私が書きたかったのは、これだけである。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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