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ブックカバーチャレンジは人生を見つめ直すためのタイムマシーンだった


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:垣尾成利(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
大学で同じゼミだった友人からブックカバーチャレンジのバトンを受け取った。
 
腕立て伏せ、昔の写真、好きな音楽、料理レシピなど、コロナウイルスによる非常事態宣言下で自粛を強いられていたこの時期、SNSでは様々なバトンが回っているのを知っていたが、とうとう私のところにもバトンが回ってきた。
 
こういうイベントには実のところあまり興味がなく、いくつかお断りしたものもあったのだが、断る理由は自分が何かをするところを動画に撮って投稿することや、プライベートな過去をさらけ出すことに抵抗があったからだった。
 
そんな中で回ってきたブックカバーチャレンジは、お気に入りの本を毎日1冊ずつ、書評をつけずに表紙だけ撮影して紹介していくだけ、というものだった。
 
「これならできそうかな、やってみようかな。ただし次の人にはバトンは回さない、それでもいい?」
 
それでも構わないよ、気楽にやってみてくれたらいいから、ということだったので抵抗も和らぎ、やってみることにした。
 
さて、何を紹介しようか。
読書好きというわけでもないが、本棚には小説もあれば趣味のための実用書、マンガ、仕事のための本など、それなりにいろいろな本が並んでいる。
 
そのほとんどは、読み終えて以来手に取ったことのない本ばかり。改めて本棚を眺め、懐かしい気持ちを感じた。
 
最初に選んだのは、長く続けている趣味、合気道の解説本だ。
 
その本との出会いは、実に35年も前のことだった。本自体は出会いから何十年も後にオークションで手に入れたのだが、中学生の時に図書室にあったこの本を読みながら友人と合気道の技を掛け合った頃のことが鮮明に思い出された。
 
手にした本のブックカバーの向こうでは中学二年生の私が笑っていた。
 
その日から1冊ずつ本を選んでいったのだが、同じようにチャレンジしている友人も大勢いたので、どんな本を紹介しているのかにも興味を持って見て回った。
 
この本面白いよ! ためになるよ! と役に立つ本を紹介している友人、感動した小説を紹介している友人、人生の節目で出会った本にその時を支えられたというエピソードと共に本を紹介している友人もいた。
 
知っている本もあれば、始めて聞くタイトルの本もあり、読んでみたくなる本もたくさん知ることができた。
 
さてさて、私はというと、人生に大きな感動を与えてくれた本、深く考えるきっかけになった本ばかりを選んで紹介した。
 
2冊目も、その次も、本を手にしてはその時に戻って、あのとき私は何を考えていたのだろう? どんな気持ちだったのだろう? を、当時の私と向き合って、その時気付くことができないままになっていた気持ちを、改めて聴くことができた。
 
最後、7日目に選んだ本は、私の人生の行く道を明るく照らしてくださった、人世の師と呼べる方の本だった。
 
その本には表紙を一枚めくると「恵存」の文字と私の名前、日付が書いてある。
 
いつもあなたのそばに、との思いを込めてサインをしてくださったこの本は、28年前の大学生の時代に連れていってくれた。
 
ブックカバーチャレンジはタイムマシーンだった。
 
1冊を選ぶ時間は、何年も、何十年もの時を一瞬で遡り、あの時の私は何を考えていて、何を思っていたのか?当時自分で気付くことができなかった本当の気持ちを探す時間旅行だった。
 
もう手元にはないけれど、幼い頃に両親に買ってもらった本のこと、貸したまま戻ってこなかったお気に入りの本のこと、いろいろなことを思い出した。
 
選べない、手に取れないままずっと本棚にある本もあった。高校の頃、人間関係に悩んだときに助けを求めてたどり着いた本だった。そこにある苦しかった時間から30年、いまだに向き合えないものがあることにも気付いた。
 
本棚に並んでいる本を改めて眺めてみると、どの本にもひとつひとつ、大切な思い出が染み込んでいた。
 
本を手に取る度に始まる時間旅行は、この一週間の間に何度も現在と過去の私が向き合う時間を作ってくれ、そのままになっていた時間や、忘れていた時間、まだ出せていなかった人生の答え合わせをする機会となった。
 
ただ好きな本を選んで紹介するだけのイベントのはずが、私が経験したことはタイムマシーンに乗って過去の私に会いに行き、当時の気持ちを改めて知り、今を考えるための時間旅行だった。
 
本棚はタイムマシーンの入口、そして手に取った本はその時代に行くためのチケットだ。
 
ブックカバーの向こうには、あの時がリアルに存在し、当時の私がいた。
 
ドラえもんタイムマシーンの入り口は机の引き出しだが、私のタイムマシーンの入り口は本棚だ。本棚の本は、飾り物じゃなくていつかまたその時に戻るためのチケットだ。必要だから捨てられないのだ。
 
本棚には、本と共に私が大切にした時間があり、ブックカバーの向こうにはあの時がある。時々、その時に戻ることは、これからの人生にきっと必要なものだ。
 
ブックカバーチャレンジは一週間で終わったけれど、これからも度々、その時に戻り感じたことを添えてブックカバーを紹介したいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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