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一人でがんばらないこと


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:伊藤慎悟(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「創業は、赤ちゃんを育てることに例えられることが多い」
 
私は、「経営コンサルタント」を生業に仕事している。39歳で独立して間もなく12年になる。その前は、地元の商工会議所に16年勤めていた。そのため、主に中小企業を対象にした経営コンサルタントをしている。
 
この業界に25年以上いると、様々なお店や会社の「ビフォアー・アフター」を見ることも多い。そんな中で感じることの一つに、商工会や商工会議所などの組織に、会費を払って加入しているお店や会社は潰れにくいということである。
 
私が商工会議所出身で、今も全国の商工会や商工会議所で仕事をすることが多いからということも影響していると思うが、これは他の組合や商店街をはじめ、勉強会などといった組織やグループにも共通することではないかと思う。
 
今年初め、私が創業セミナーの講師を担当した滋賀県のある商工会議所では、同会議所の支援を受けて開業した人の事業継続率(簡単に言えば生存率)のデータを採っていた。その商工会議所がサポートし、過去7年間で創業した件数が「106件」。その内、現在も事業を続けている事業者は「101件」。生存率は「95.3%」だったそうだ。
 
一方、国や金融機関などが公表するデータだと、新たに創業した事業者のうち、1年以内に「30%」は廃業し、5年以内に「50%」、10年で「25%」しか事業を継続していないとかいうショッキングなデータがある。そのことを考えると、この商工会議所のサポートを受け、創業した事業者の生存率は異常に高い。
しかし、長年、商工会や商工会議所で創業支援に関わってきた私も、国や金融機関が発表しているデータのほうが疑問を感じる。私が直接、創業の相談をした人だけで見ると、事業をやめた人を思い出すことのほうが難しいくらいだ。おそらく全国の商工会・商工会議所で働いている職員さんも私と同じ印象ではないかと思う。
 
それなのに国や金融機関が調査をすると、なぜこんな結果になるのか。
 
それは、世の中には、誰にも相談することなく、一人で事業を始めて、一人で悩み、苦しみ、ひっそり事業をやめていく人が多いのだと思う。
 
「分からないことは商工会や商工会議所に加入して教えてもらおう」、「地域や商売仲間との繋がりを大事にしよう」という姿勢のある経営者の方は、実際の事業でもそういう経営姿勢なのだと思う。
一事が万事、そういう人は、結果として周りの人が助けてくれたり、応援される事業者になっていくのだろう。
 
私個人の感想で言えば、最初は商工会議所に加入していたが、「メリットがないから」と退会した事業者は、その後、事業をやめていく人が多かった。「あんなに流行っていたのに」というお店もである。おそらく、そんな事業者の経営姿勢が、お客様や従業員、取引先、地域に伝わってしまうのでしょう。
 
先日、私の住んでいる岐阜県では、新型コロナウイルスの件で、国の緊急事態宣言を受け、飲食店などに対して休業要請を行った。要請があった翌日から休業した場合は、「休業協力金」が出るが、1日でも営業を続けた場合は払われない。事業者は、その日のうちに経営判断をしなければならない状況の中で、市役所や商工会議所も、防災無線、広報車、電話やFAXなど、いろいろな手段を使って周知していた。
 
私も知り合いのお店などに電話やメールで連絡していたが、気になって事務所近くの飲食店数軒を周ってみた。
すでに情報が届いているところもあったが、情報が届いていないところもあった。
情報が届いていないお店に「商工会議所には加入されていますか?」と尋ねると、その多くは加入していなかった。
 
そこで私が感じたことは、単純に「商工会議所に加入していれば情報が早く届いていたのに」ということではない。加入していない飲食店に限って、自分一人で、または自分たちだけで事業をしてきたせいか、コロナ禍の中、目に見えない不安に、ただじっと待っていたかのような孤独な空気感だった。
 
私が情報を伝えたことで大変感謝されたお店もあり、それはそれでよかったのだが、周りに頼らずに事業を続けてきたその姿勢に、今後の事業継続に不安を感じる出来事だった。
 
「創業は、赤ちゃんを育てることに例えられることが多い」
 
創業したばかりのベンチャー企業が集まる施設を「インキュベートルーム」と呼ばれるが、インキュベートとは、「孵化器」のことだ。
生まれたての赤ちゃんは、一人では生きていけない。
一人前になって行く過程では、両親をはじめ、先生や近所の人など、いろいろな人のお世話になりながら成長していく。
 
ビジネスにおいても同じで、創業時において大事なことは、いろんな人に助けてもらうこと、助けてもらえる人でいることがとても大切なのである。
 
日本で新たに創業する事業者は、毎年20万件ある。
そんな事業者の多くは、経営者としては赤ちゃんにも関わらず、誰にも助けてもらうことなく、助けを求めることもなく、一人で始めて、一人で悩み、苦しんでいるのである。
 
創業して事業を長く継続していくためには、一人でがんばらないこと。
赤ちゃんのように、泣いて叫んででも、分からないこと、困っていることを周りに伝え、助けてもらい、応援されることが肝要である。
それが事業を続けて行くうえでも、人としても、成長して行くためには必要なのだ。
 
このことは、成功者の多くが、「自分ひとりの力ではなく、周りの皆様のおかげ」と感謝する言葉が物語っているように思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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