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メディアグランプリ

屈折した「おしゃれ心」をも癒す私のアドレナリン大放出アクティビティ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田口純美(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
おしゃれに洋服を着たい。しかし、おしゃれな洋服を着ること、いや、おしゃれに洋服を着こなすことに、全く自信がない。どんな洋服が自分に似合うのかわからなくて、パーソナルスタイリスト同行ショッピングというサービスをお願いしたこともあるし、パーソナルカラー診断や骨格タイプ診断なんてのも受けたことがある。それによって自分に似合う色や形、スタイルの傾向がわかったけれど、診断を受けたがゆえに、自分がすてきだと感じる洋服は自分には似合わないという残酷な結果を知ってしまった。自分が「これが好きだ!」と高揚感を感じ、なおかつ自分にも似合う洋服はどこに行ったら手に入るのだろうか、なんてことを考えながら今日も、自分に似合っているであろうものすごく無難な洋服を着て、自分がぼんやりと思う「おしゃれ」とはまだまだ遠いところにいる。
 
そんな私の屈折したおしゃれ心を満たすアクティビティが、実はある。しかも田舎にあるのだ。
 
長崎県の波佐見町をご存じだろうか。
福岡市内からは車で1時間半、長崎市内から車で1時間10分程の、長崎県で唯一海に面していない町。波佐見町の観光サイトを開くと「やきもののまち、はさみ」という文字が目に飛び込んでくるとおり、江戸時代から続く陶磁器生産地である。
 
私が波佐見町のやきものに出会ったのは、東京でデパートの食器売り場を時間つぶしにぶらついていた時、たまたま出店していた波佐見町のやきもの「波佐見焼」の出張即売コーナーに目が留まったことがきっかけだった。器好きな私は、モダンな和食器に引きつけられた。
 
「私、夫が佐賀に実家があって、有田にはたまに行くんですよ」
「波佐見町は有田の隣ですよ! 車なら有田に行くのと変わらないから、是非今度来てみてください!」
 
あ、そうなんだ。夫にお願いすれば連れて行ってもらえそう。即売コーナーの販売員のお兄さんと何気ない会話をかわし、波佐見焼のパンフレットを数冊もらって、家に帰ってからそのパンフレットをめくった。
 
白地に青い魚が泳ぐ小皿。シンプルな草木の描かれた急須。昔ながらのとびかんな手法を用いながら古臭さのない大皿。品のよいお茶碗の数々。スタッキングできるカラフルなマグカップまである。
私は驚いた。とにかく全てがモダンで上品、なおかつ、今の時代の食事にしっくりくる器ばかりなのだ。例えば、ターコイズブルーに近い深みと明るさをあわせもつ緑色の中鉢ならば、魚の煮つけの茶色でも、ラタトゥイユの赤でも、ちぎっただけのレタスサラダの緑でも、違和感のなく盛り付けられる。この小鉢ならおつまみのナッツを入れてもスープでもおやつでも合いそう、お茶碗はあれもこれもいいなぁ。私は一気に想像がふくらんだ。これは現地にぜひ行かなくては!
 
さっそく、その後の盆休みの帰省時に、波佐見町に行く予定を組んだ。事前に調べ、観光交流センター内にある「くらわん館」という様々な窯元のやきものが集まっている物産館を訪れることにした。
 
焼き物公園の一角にあり全くしゃれっけの見当たらない「くらわん館」の扉を開けると、季節のテーブルコーディネートされた一角が、ライトに照らされ輝いている。でもそのまわりは「お買い得品」が積まれていて、一瞬「これだけかな?」と思う。しかし、奥の部屋に足を向けると、別世界が目に飛び込んできた。
おしゃれなカフェにありそうなかわいいお皿の数々。インスタ映えまちがいない器のギャラリー。しかも展示品は購入可能! そしてさらに奥に、35の窯元からの数えきれないほどの器たちがどどんと待ち構えている!
 
私は、いまだかつてこれほど静かに自分のテンションがあがるのを感じたことはなかった。
「私、いまアドレナリンがめっちゃ出てる」と夫につぶやいたほどだ。
 
それから2時間くらい、大量の食器たちをなめるように見て回り、水族館の大水槽にいる回遊魚のようにぐるぐると、くらわん館の店舗内を歩き回り続けた。でも不思議と全く疲れない。楽しくて楽しくて仕方ない。ああこれもすてき、あれもすてき。とりあえず家の食器棚の空きスペースだけは意識して、注意深く選んだお皿たちを手に取り買い物かごに大事に入れていく。まだまだ飽きずに見ていられると思ったが、さすがに飽きた夫が廊下のベンチで待っているのでかわいそうになり、会計をしてくらわん館を出た。
 
それからというもの、帰省のたびに波佐見町に足を延ばし、少しずつ食器を買い足している。最近のお気に入りは、保温保冷に優れている二重構造の焼き物のコップ。私好みのシンプルなデザインは変わらず、カラーバリエーションが増えていたので、つい色違いを揃えてしまった。
 
何度足を運んでも、波佐見焼の器たちを見ることは全く飽きずに没頭してしまう。洋服を買いに行ってもこれほど没頭できないから、洋服は器ほど好きじゃないのだろう。そういえば、買った洋服はすぐには着なかったりするが、買った器はすぐに取り出して洗って、愛でる。その日の料理を必ず盛り付ける。
 
自分の洋服選びで私のおしゃれ心の屈折が治る日は来なそうだが、それでもいいか。美味しい物をお気に入りの器に盛りつけて、元気だそう。私の選んだお皿たちが、今日も私を待っている。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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