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がんばれないときは、がんばらなくていいよ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長尾創真(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「妥協していいん?」
 
高校生の時、ぼくたちサッカー部では合言葉のように飛び交っていた。
 
ぼくたちは、全国大会を目指して頑張っていた。
公立高校ながら、県内の中学校から、いいメンバーが集まった。
 
毎日、毎日ボールを蹴った。練習後に筋トレをして、朝練をした。
 
体がきつくても、怪我をしても、努力し続けた。
愚直に努力した。
 
青春だった。
とことん努力して、全国大会を目指した。
 
そのときに、よく使われていた言葉が
「妥協していいん?」だ。
 
この言葉は、ずっと自分の頭の中でループされる。
 
今、社会人になってからも、頭の中で響く。
弱い自分の心を、昔の自分が励ましてくる。
 
だけど、昔の自分よ。
頑張れないときもいっぱいあるんだよ。わかってほしい。
 
社会人になって2ヶ月。
まだ、知らないことばかり。
わからないながら、どうにか成長できるように頑張ってる。
 
休日に本を読んだり、文章力を上げたり。
 
自分の中でやろうと思うことはやってみるようにしている。
 
だけど。
猛烈に、頑張れないときが、突然やってくるんだ。
 
それは、だいたい、嫌で嫌で仕方がないことが起きた、次の日だ。
 
その日は、会社の上司と飲んでいた。この日が上司との初めての飲み会だ。
 
上司は、50歳くらいのベテラン。
部長で、会社の中ではかなり権力を握っている。
 
居酒屋で飲んで、ほろ酔い気分になったとき、上司は
「これからは、会社を出ても、自分で生きていけるスキルを身に付けなあかんで」
と言ってきた。
 
「具体的に、どんなスキルを身につけていけばいいですか?」
と聞いたら、
 
「それはなぁ。色々あるやろ……」
「そんなことより、おもろい話しよや」
 
と言ってきた。
 
なんだそれ!
自分が切り出したのに、なんで、ちゃんと答えんのや!
そう思っていたら、次にはこう言ってきた。
 
「今年入ってから、一番おもろかった話聞かせてや」
 
なんだそれ!
そんな話を20歳以上違う人に言われて、できるわけないじゃんか!
 
ぼくは、おもしろい話をできず、もごもごしていた。
 
年の近い先輩が、助け舟を出してくれて、上司にこう言ってくれた。
「先輩は、どんなことがあったんですか?」
 
そうすると、上司は、嬉々として話し出した。
 
その話は。
 
くっっっっっっっっそおもしろくなかった。
 
ぼくがイライラしていたこともあるのかもしれない。
でも、それにしても。
笑えるポイントが全然分からなかった。
 
じゃあ、おもしろい話しろとか言ってくんなよ!
 
と思ったが、そんなことも言えず、イライラしながら、その会は終了した。
最悪の気分だった。
 
自分は、絶対後輩にこんなことをしないと心に誓った。
 
次の日は、もう、何もやる気が起きなかった。
 
「この人みたいになりたくない」
「この会社にいたら、この人みたいになってしまうのか」
「なんなん、この人」
 
というマイナスな感情がうずまき、その日の仕事は全くがんばることができなかった。
 
そのとき、あの言葉が、頭の中に浮かんできた。
 
「妥協していいん?」
 
高校生の自分が語りかけてくる。
 
そうなんだよな。
妥協しちゃ駄目なのは、わかる。
 
でも、今日はどうしても頑張れない。
ずっと、いやな気持ちがぐるぐるしてるんだ。
 
そう思って、いつもより休憩をかなり長めに取る。
ぼーっと、休憩を取りながらも、頭の中では、こんなことを考えていた。
 
「あぁ、妥協してんなぁ」
「もっとがんばらんといかんのになぁ」
「こんなのでいいんかな」
 
そんなことを考えていると、休憩時間にも頭を休めることはできない。
 
がんばれていない自分を責めて、段々と辛くなっていく。
 
「おれ、弱い人間だなぁ」
「飲み会でイラッとしたからといって、仕事で頑張れなくなっちゃう」
「そんなんじゃ駄目だ」
 
どんどん自分を追い込んでいく。
だから、復活することもできない。
 
早く、いつもどおり、一生懸命がんばりたいのに。
 
そんなことを思っていた。
 
そのときだ。
過去の記憶から、ある言葉を思い出した。
 
「がんばれんときは、とことん駄目になってみてもいいかも。底までいけば、勝手に登ることを考えるよ」
 
この言葉は、ぼくが大学4年のとき、音楽祭スタッフをしていたときに、あるアーティストの方からいただいた言葉だ。
 
「がんばれないときは、とことん駄目になる」
 
駄目になるほうに、向かっていっていいの?
そんなことしたら、頑張れなくなってしまうんじゃない?
 
そう思ってこれまで、あまり実践してこなかった。
マイナスに向かうことは、逃げることのような気がしていたから。
 
でも。
もし、なにか変わるなら。
ちょっとやってみようかな。
 
そう思った。
それから、自分はとことん駄目になってみた。
 
夜ご飯は、1人でロイヤルホストに行って贅沢にハンバーグ定食を頼む。
その後、チョコレートを500円分買い、1人で貪る。
極めつけは、お酒を1人で飲む。
 
全部、普段やらないことだ。
そして、その間考えていたことは、「とことん駄目になること」だ。
 
とことん、自分を怠惰に追い込もう。
そう思って、取り組んでみた。
 
これをすると不思議な感覚に襲われた。
 
「おれ、何してんだろ」
 
自分を攻めていた時の
「おれ、何してんだよ」
とは、違う。
 
もっと優しく、自然な疑問。「おれ、何してんだろ」
その言葉が、あたまの中をよぎる。
 
そう思うと、今自分がしていることがバカバカしく思えてくる。
 
「こんなにチョコ食べて、こんなにお酒飲んで。何してんだろ笑」
 
そんなふうに思えてくる。
 
気分が落ち込んだときに、無理やり頑張ろうとしていたあの感覚とは違う。
自然と、前向きになれる。
 
「がんばれんときは、とことん駄目になってみてもいいかも。底までいけば、勝手に登ることを考えるよ」
 
この言葉の意味が分かった気がした。
 
ひとは、バランスを取ることが上手だ。
二足歩行で歩ける。右脳と左脳がある。両目が見えて、バランス良く映し出す。
 
きっと、考え方もそうなんだ。
頑張ろうと思うと、がんばれない方に心は傾く。
がんばらないでおこうと思うと、頑張る方にこころは傾く。
 
きっとそう。
心は、ひねくれものなんだ。
 
頑張ろうと思わないほうが、いいことも沢山あるんだなと学んだ。
 
「妥協していいの?」
これからも、過去の自分が聞いてくるかもしれない。
 
そんなとき、ぼくは、こう答えたい。
「うん。今は、頑張ることがしんどいから、いいんだ。とことん駄目になってみるよ」
 
 
 
 
***
 
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2020-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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