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メディアグランプリ

#Black Lives Matter は誰に向けられているか


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ごうだ さとし(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「そんなん言うたらあきませんよ!」
カフェでコーヒーを飲みながら、思わず私は強い口調で言い返してしまった。
しかも以前は上司と部下としてお世話になり、プライベートでも可愛がってもらっている10歳上のY先輩に対してだ。
Y先輩は普段穏やかな私が珍しく真剣に言い返したので、笑った顔を少し引きつらせながら、バツが悪そうにコーヒーカップに目を逸らした。
一瞬、言い過ぎたかとも思ったが、彼の発言をどうしても許せなかった。
 
思えば私は幼い頃から色黒で、それが原因でいじめられもしたし喧嘩もした。
黒んぼ、黒人、難民などと、子供はその歴史的背景も知らず、残酷にも面白がってはやし立てる。
当時はそれが本当に嫌だった。
対抗手段は、怒って喧嘩になるか、無視してやり過ごすしかなかった。
大人になってからも、それをネタに笑いにされることは時々ある。
子供のようにストレートな表現ではなく、日本人に見えないな~とか、中東やインドのほうの出身ですか?といった具合に茶化すのだ。
しかし今となっては、私もその場を和ますために、それに同調して笑いを膨らませることもする。
笑いになるということは、当事者に差別意識はなく、ただ私のキャラクターを面白おかしく親しみ易くするためにその特徴を利用する場合が多いので、私もそれを本当の悪意と取ることはほぼない。
対抗手段として、笑って乗っかることを身につけた。
 
日本ではよくあることだ。
真剣に怒るほうが大人げないと見なされるし、他人にはない個性だと前向きに捉えるのが賢明だ。
頭が剥げてるとか、背が小さい、太ってる、顎がしゃくれているとか、身体的な特徴をいじって笑いにする。
TVなどでも日常的に繰り返されている、情けないがこれはある意味"日本の文化"なのだ。
先日、テニスプレイヤーの大坂なおみ選手が、人種差別についてSNSで発言したを受けて、一部のフォロワーから「日本には差別などない」といった反論が起きたニュースを見た。
いかに差別が無意識のうちに"日本の文化"として、私たちの日常に横たわっているか、改めて思い知らされた。
 
遡って2年前、定期的に開催している仲間内のテニスサークルに参加した時だった。
テニスを終えて、近くのカフェで仲の良い先輩たちと談笑していた。
その当時、私はインターンで来日しているカナダ人の黒人女性Cから、毎週中野のカフェで英会話の個人レッスンを受けていた。
彼女はまだ若く、日本語も話せず教師としての経験もなかったが、親子ぐらい年の離れた初心者の私に、誠実に必死で授業をしてくれた。
彼女の明るく気さくで真面目な性格が大好きで、私は数か月間楽しく英会話を学ぶことができた。
彼女がカナダに帰国する際は、東京の観光スポットを案内してあげたりもしたし、昨年私がアメリカとカナダを旅行した際は、彼女が3日間も同行してくれてトロントを案内してくれた。
言葉は100%通じる訳ではないが、まるで娘のように可愛らしく、今もかけがえのない友人だ。
 
私がそのカナダ人Cとのエピソードを話したら、いつも私を茶化したり自分のことも笑いにする楽しいY先輩がニヤけながら、「黒いもん同士でか?」と茶化してきた。
日本人には意外とよくある感覚であり、親しければつい口にしてしまうこともある発言だ。
いつものように茶化して笑いにするのと同じ感覚なのだ。
「そんなん言うたらあきませんよ!」
私は珍しく怒った。
思ってしまったのは仕方ない。
でもいくら親しかろうが、それを口に出してしまうのが情けなくて腹立たしかった。
そして何より、私だけならまだしも、面識もないCのことを肌の色だけで茶化したことが許せなかった。
私のようにいじられて笑いにするというレベルでないことは、容易に想像できるはずだ。
 
#Black Lives Matter
「黒人の命は重要だ」
黒人男性が白人警官に喉を押さえつけられ死亡した事件に端を発し、世界中で人種差別反対のデモやSNSなどを利用してキャンペーンが巻き起こっている。
先述のハッシュタグは、世界中に拡散され、デモなどでも掲げられている言葉だ。
これに対し、「White Lives Matter(白人の命も重要だ)」、「All Lives Matter(すべての命が重要だ)」といった言葉が、白人の側から返されて物議を醸している。
 
何か問題提起された時、いやいや、それだけじゃない、こっちだって大切だ、と声を上げる風潮はよくある。
そりゃ誰だって大変だ。生きるって簡単なことじゃない。
誰だって苦労したり傷ついたり、嫌なことは山ほどある。
しかし、当たり前にあるはずの人間としての尊厳や自由を奪われ、国や社会情勢によっては、恐怖を日々感じながら生きている人たちに、その理屈を向けるのは変だ。
そもそもの立ち位置が違うのに、同じ土俵で反論するのは筋が違う気がする。
表向きは平等に、法的に守られているかも知れないが、黒人と白人の立場は明らかに違う。
いくら取り繕うが、差別というのは意識の根底にマグマのように流れていて、日々のいろんな局面で図らずとも顔を出し、言葉や行動に表れる厄介なものだ。
ただ私は白人を非難したい訳ではない。
 
「人種差別って日本人は身の回りで感じたことがないからよく分からないけど……」とか、「アジアの人も海外に行ったら少なからず差別されるよね~」などと、軽妙に語るコメンテーターをTVで見かける。
しかしそのスタンスが改まることのない限り、日本人は自分は差別をしていないと思い込み、知らず知らずに他人を傷つけたり、被害者側に立った物言いでこの問題をやり過ごすのだろうと思う。
私たちは、この国には差別はないとハナから問題意識すら持たず、他人事と思ってしまってないだろうか?
身体的な特徴を面白がって茶化したり、笑いになるからいいじゃんと勝手な理屈を相手に押し付けて笑っていないだろうか?
 
いじられて笑われる程度の自分なんかよりも、そのことで暴力を振るわれたり、汚い言葉を吐きつけられたりすることのない平和な日本で生きている自分なんかよりも、差別によってもっと苦しい思いをしている人たちがいる。
アメリカのニュースに触れてから、私はそのことを考えながら、自分にできることを改めて自問自答している。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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