メディアグランプリ

介護とは、他人事ではない。


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記事:ittu(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
随分とよくなられました。自立歩行もできています。
義父の様子を看護師さんから報告を受ける。
 
4月上旬、日本中がコロナ騒動で自粛ムードが最高潮のころ、義父は圧迫骨折で入院をした。
これからどれだけこの病気が広がるのだろう……。 予想もつかない日々、うんざりするほどのテレビの情報。そんな最中の入院。
 
90歳の義父は、自室で滑って転んだ。ちらしで滑って転んだというのだ。たった一枚の折り込みチラシで義父は動けなくなった。
2日間、痛みは続いた。義父は、持病もあるため夫と私は救急車をお願いすることにした。小柄だが、脱力状態、痛みがある大人を病院へ運ぶことは不可能だ。
診断結果は圧迫骨折。入院となった。入院先は、この地域では医療体制の整った総合病院だ。
2週間ほどでなんとか座れるようになったため、リハビリを中心とした病院への転院となった。医療崩壊を防ぐためだろう。それは当然のことだった。
転移先の病院でも警戒態勢が続き、面会もできず着替えを受付に運ぶだけの日々が続いた。約2か月間、義父の顔を見ることもできず日々が過ぎていった。
 
そんなある日、今度は義母が軽い熱中症で倒れた。急に暑くなった季節の変わり目、畑仕事の帰り自宅前で倒れた。近所の人が助けてくれたおかげで、大事なく済んだが、義母も動けなくなった。95歳と超高齢。それでも、まだまだ元気で畑仕事に行くという、近所でも有名な義母である。
なんとか病院を受診し、骨折などもなく問題なしとのこと。倒れてから約3週間が過ぎ、義母もようやく元気を取り戻しつつある。日々、畑仕事で鍛えているだけのことはある。
しかし、これまで以上に手助けや世話が必要になり、私は、遅ればせながら、コロナ無関係の自宅勤務となった。介護が他人事じゃなくなった。
 
ほどなくして、義父の退院要請が届いた。担当医師や、看護師さんの話しぶりでは、早々にという感じだった。しかし、義母もこんな状態で。
一気に不安になる。一日洗濯をして、気づけば食事の用意をして、何度も声掛けをして……。義父母二人を自宅で介護、仕事をしてというのは、とても難しい問題だ。
 
さすがに、夫も介護施設を検討し始めた。
介護施設は、希望さえすればすぐ入居できるものだと思っていた。
認定をもらっているし、大丈夫だろう。
 
この冬、生活に不安がでてきた二人に、介護認定の申請をした。介護の段階を決めてもらい、それによって介護支援の範囲が決まることを知ったのも、この時だった。
 
しかし、私たちが想像していたものとは全く違っていたのだ。
念のため、インターネットをさらりと確認すると、待機人数360人とか186人とか記載がある。あれ、どういうことだ?。
さらに、施設にも種類もいくつかあって、どれが利用できるのかもわからない。ケアマネさんを通さなければ手続きができないことにもようやくたどり着いた。
早速に、相談をすると、ケアマネさんは、施設にも種類が色々とあること、それからどの施設が利用できるかということをスラスラと説明してくれた。しかし、全く理解ができないものだった。
トクヨウ、ロウケン、ヨウリョウガタ……。 介護付き有料老人ホーム(ここは、漢字に変換ができた)、グループホーム……。なんと、複雑かつ理解不明なものだろう。
 
私がインターネットで見た待機人数の多い施設は、トクヨウ=特別養護老人ホームで、身体介護、日常的な生活支援、リハビリ、レクリエーションなどの介護サービスを受けるという私が想定していた施設だった。しかし、重度な方からの入居となるため、なかなか入居ができないらしい。それが待機人数の数値だった。
 
今は、ちょっと難しいかもしれないですね。
と、ケアマネさんは言う。ここにもコロナの影響があり新規入居を断っているところが多いというのだ。
近所にもいくつか施設はあるし、施設の車を見ない日はない。
こんなにたくさんの施設があって、さらに新設しているところもあるのに、入居できないなんて!
 
ようやく、紹介してもらった施設はとても良い環境のところだった。介護老人保健施設(これがロウケン)で、病院とも提携している。この情勢が落ち着いたら、外出や面会も比較的自由だ。入居のハードルは低そうだが、とてもハードルが高い一面があった。そう、それは費用面だった。年金だけではとても賄えない……。やばい。
 
いや、ちょっと待てよ。まだまだ先と思っていた老後が、急に身近になった。
だれでもその時はやってくる。きっと私にも介護が必要な時がくるだろう。子供たちの世話になるのだろうか。
義父母の時代と違って、私たちは、施設に行くことにさほど違和感はない。友人とも同じ施設で老後を楽しもうなんて言っているぐらいだ。
それであれば、早いうちに、老後を快適にすごす場所を想定しておくべきだと感じた。
 
将来的に、年金はアテにできないなんて話も聞く。老後にはやっぱりお金が必要ということだ。じゃ、頑張って働かなくちゃ。あっ。趣味もつくらなきゃ。
 
介護は他人事でなく、自分事だ。今から老後に備えて色々準備が必要なのだ。
これから忙しくなりそうだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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