メディアグランプリ

やらなくてもいいけど、やってみたら楽しいこと 


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記事:笠原水香(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
昨日のこと。ちょっとしたことで小5息子と衝突。
息子は泣き叫び、わたしは大声で怒鳴る。2人ともわかってほしくて真剣。
 
その後、お互いにダンマリ、ツンケンしながらも、衝突前に決めていた予定を決行。朝から一歩も外へ出ていないので、散歩がてらに翌朝食べるスイカを買いに行く。
 
わたしは心のどこか遠いところで、
「言い過ぎたからあやまろう。あやまるのがいいに決まってる。あやまりたい」と確かに感じながら歩いていた。
突然目に入ったベンチに吸い寄せられるように座った途端、動く気がしなくなってしまった。
「ふてくされた精神的に幼い母親だ」と自分を責める声が聞こえて、心配そうにわたしをのぞきこむ息子の顔もはっきり見えた。しばらく、どうにもしようがなかった。息子の「大丈夫なの?」と言う問いかけにも、口角をピクッと動かすくらいの反応しか返せない。
体も心も動かない。
 
そんな中、強烈につけていたマスクをはずしたくなった。コロナ禍で、外出時のマスクはもうあたりまえで嫌とも思わなくなっていたのに。
はずしたら、顔まわりがスッとして心地良く、体の底の方から突き上げられるような大きな深呼吸が起こった。やっと息を吸うことができたような安堵感でホッとした。
 
まるで、水の中でおぼれていたのに急に気がついたみたいだった。
わたしは無茶苦茶にもがきたかったのだ。手足を思い切りバタバタさせて、小さい子どものように怒りたかったのだ。
「もうマスクなんてつけたくない!」いろんな事情は脇に置いて、思い切り拒絶したかった。
「怒ってもしょうがないし。わたしは大丈夫。ありがたいことにそんなに生活は変わっていないし、元気にやれている。わたしはそんなことで怒る人間ではない」
怒りなんてなくてもいい感情。怒らずにすむのなら、それにこしたことはない。怒りはコントロールすべきもの。そんな風に疑いもなく思っていた。
 
今朝のこと。息子が志村けんのようにスイカを食べてみたいと言っていたのを思い出した。それを聞いた時はとっさに、周りがスイカの汁で汚れるし面倒くさいなと思ったのだが、
「何でもやってみたいことはやらせるべきだ。体験できることはやらせてみるのがいいことだ」そんなどこかで聞いた子育てのマニュアルを疑わずに実行するように、床に新聞紙を広げて、いざスイカの早食いを決行。
息子は大きな笑い声をあげてキャッキャと楽しそうに美味しそうにスイカを食べた。
わたしは昨日の罪滅ぼしができたような気持ちも上乗せされ、とてもとても嬉しくて、腹の底から一緒に笑った。
 
そしてふと「わたしもやってみよう」と思いたった。頭を左右に動かしながら、スマイルカットしたスイカに勢いよくかぶりついて食べた。
「なにこれ。結構むずかしいね。志村けん、すごいなぁ!」
「オレは思ったより簡単だと思ったよ」
昨日の二人の間の気持ちのわだかまりは完全になくなっていて、ただただ面白く楽しいだけの時間だった。
 
恐るべし、スイカの早食い。
自分では絶対にやることはないと、スイカを食べる直前まで疑いもなく思っていたけれど。たったこれだけのことで「人生って楽しい」なんて思えるとは。
 
やりたいことは素直にやってみると楽しい。感じたことは感じきるのが気持ちがいい。
本来人間はワクワクしているのがあたりまえなんだと聞いたことがある。
感じたことは一つ一つ感じきって終わらせていかないと、次のやりたいことに素直に向かえないのかもしれない。
 
怒りをあらわすこともスイカの早食いをやってみることも、わたしにとって大事なことだった。好き嫌いや喜怒哀楽。やってみたい気持ちややりたくないとだだをこねる気持ち。その中から望ましいものを取捨選択しながら生きていくのだと思っていたけれど。そもそも感情は勝手にわいてくるものなのにコントロールなんてできるわけがなかった。
 
全て感じて生きていくことそのものが生きることなんだ。それが正しいのか間違いなのかはわからないけれど、そう思って生きていくことができるならと考えると「人間はワクワクしているのがあたりまえ」という言葉が急に説得力をもってせまってくる。
わたしの人生がこれまでも、これからも丸ごと全部肯定されたような、思わずニヤニヤしてしまうようなうれしさがこみあげてくるのだ。
 
さぁ。またまっさらな一日が始まる。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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