メディアグランプリ

困難を突破するための、秘密の鍵は自分の内面にあった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:木内文昭 ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース
 
 
「考えるな、感じろ」
上司との1on1面談でそう言われたとき、一瞬意味がよくわからなかった。
 
「ブルース・リーかよ! 」
と、心の中で突っ込んでいる自分がいた。
 
もちろん言っている言葉は理解できるのだけど、その意味が理解できるまで少し時間かかった。
 
「木内はさ、経営大学院とか通って勉強熱心なのは良いと思うけど、理屈だけじゃ人は動かないんだよね。そもそもメンバーの話、ちゃんと聞いてんの?」
「はい、自分なりに相手の話をちゃんと聞いているつもりです」
「相手の発言を遮ったり、論破しようとしてない?」
「……」
図星だった。
 
その時私は社会人大学院に通っていて、論理的に、一貫したストーリーで説明することがとても重要だと学び、それを実践してきたつもりだ。
 
メンバーと自分との対話の際に、メンバーは「わかりました」と言って終わるのが最近よくあるパターンだった。結局自分が相手を論破することに躍起になって、メンバーのモチベーションは下がる一方だったことに気づかされた。
 
大学院で学んでいることを実践するため、事業責任者(といっても最初は担当は私一人だった)を経験したくて飛び込んだ異業種の業界。
法人向けの営業の会社から個人向けのインターネットサービスを、ある大手企業と一緒に共同事業ということでユーザーにサービス提供する。
転職して2年ほどが経ち仕事にも慣れ、10名ほどの部下を持って1年ほど経った頃、
最初はうまく回っていたことが段々とメンバーからの不満が多くなってきた中での上司に言われた、「考えるな、感じろ」という話だった。
 
仕事は論理的に考えていくもので、感情を持ち込むなんてことは考えたこともなかった。
 
そして結局すぐにチームの状態を改善することができず、結局一人のメンバーが休職となり、
多くのメンバーが自分の元から離れ、最小構成の体制でやり直すこととなり、自分としても非常に肩身の狭い毎日だった。
 
その後1年ほどして冒頭のアドバイスをくれた上司は転職し、別の上司の元で引き続き担当事業を伸ばすことになった。
この時期、事業をサバイバルさせるために本当に必死に働いた。朝早く出社し、週の2,3日は深夜タクシーで帰る毎日だった。
その間色々なことが起こったけれど、1年間メンバーを引っ張った挙句に私はその事業を伸ばすことができなかった。
結果会社としてその事業から撤退を決定し、別の会社へ譲渡することになった。
 
事業譲渡先を探し、様々な調整を進めながら、
「なぜ事業がうまくいかなかったのか?」
と振り返る毎日だった。
論理的にダメだった理由はいくらでも思いついた。
 
でもある日、決定的なことに気づく。
その事業が自分の「心からやりたいこと」ではなかったことに。
 
愕然とした。
ずっと、ブレーキを踏みながらアクセルを踏もうとしていたことにハッとした。
一緒についてきてくれたメンバーに申し訳なさ過ぎて、どうして良いかわからなかった。
 
「考えるな、感じろ」という意味が、やっと分かった気がした。
良い仕事をする上で自分の感情に目を向けることは、本当に大事なことだったのだ。
 
数ヶ月の後、私はまた別の新規事業を共同創業で立ち上げることになった。
 
新しいビジネスをゼロから立ち上げるのは、なかなか大変な仕事だ。
ビジネスの流れがないところに、新たな流れを作っていく。
まだ認められてないサービスを、たくさんの人にまず知ってもらい、
そして興味を持ってもらって利用してもらう。
 
今まで世の中になかったサービスを作っていく際には
いろんな人がいろんなことを言う。
自分たちがやろうとしていることに共感を示してくれて、
応援してくれる人もたくさんいる。
一方で否定したり、ダメ出しをしてくる人もいる。
「そんなサービス、うまくいかないんじゃない?」と面と向かって言われたこともある。
 
実績がついてこない時期は何を言っても説得力がなく、本当に悔しい。
預金口座は日々残高が減っていく一方で、
成功の兆しが見えない時期が続くとどうしても社内の雰囲気も悪くなっていく。
 
我々の事業も最初は数年間赤字が続き、苦労する日々が続いた。
そんな苦しいときが続くと、よくこう思うことがあった。
「自分はなんでこんなに苦労してこの仕事をしているんだろう…… 」
 
そんな時、決まって
「考えるな、感じろ」
と自分の中でささやく声があった。
 
「そうそう、自分は心からこのビジネスが世の中にとって必要だと思うからやってるんだよな」と、自分の感情を振り返り、目指す方向は間違ってない、と励ますもう一人の自分がいた。
 
いつの日からか、仕事でしんどいことがあっても、
「で、自分はどう感じているの?」
と自分に問いかけることが習慣になっていた。
 
自分の感情が「やりたい! 」「やるべき! 」と感じている時は、
どんなに成果が上がらなくても、耐えられた。
 
一方で一見良さそうな話をもらっても、
「やりたくない」と感じるときは、断ることにした。
やりたくないことをやるために、しんどい思いをして事業を起こしたわけではないからだ。
 
数年後、私たちの会社はなんとかサバイバルすることができた。
創業から6年半で上場も果たし、今では名だたる大企業の新規事業に関する支援を行うコンサルティングをチームメンバーとともに行っている。
 
そんな時、私が決まって言うことは「自分の感情に意識を向けて、自分が心から実現したいビジネスを作りましょう」ということだ。
 
クライアントに対して「考えるな、感じろ」とはさすがに言わないけれど、感情の力を活用するのがいかに重要なことか、今はよくわかる。
冒頭の上司のアドバイスは、真実だったのだ。
 
感情の力が持つパワフルさに気づいてしまったからには、上司が私にしてくれた様に私も多くの人にその大事さを伝え、新たなビジネスを数多く作り出す支援をしていきたい。
 
「考えることも大事だけど、自分の感情に意識を向けることは、もっと大事」
自分のメンバーに、クライアントでご一緒する困難と対峙している方々に、今はそう伝える様にしている。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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