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「自分の容姿に自信を持つ方法」


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記事:福田美弥(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「うわっ、キモ!」
「ないわー」
 
スーパーの入り口で、すれ違う人がクスクス笑いながら通り過ぎる。
 
また言われちゃった。私は体を固くしながら傷ついた気持ちを抑えて、何も聞こえなかったように無表情で歩いた。
 
4,5歳ぐらいの頃から、私は自分の天然パーマの髪をとても気にしていた。
両親ともに天然パーマという必然的な遺伝。毛先がクルンという可愛いものではなく、
根本からうねっている上に太くて量も多く、伸ばすとふくらんでしまうため、父の命令により私はいつもベリーショートだった。
昭和50年代の女の子の髪型で、くせ毛のベリーショートの子は希少だった。
その上、奄美大島出身の両親の血で、目鼻立ちが他の子に比べて凹凸があった。
学校へ行くようになると、たまに「沖縄出身なの?」と聞かれた。自分の顔が好きだったなら何とも思わないこの言葉にさえ傷つくほど、私は自分の顔も髪もキライだった。
親とさえリラックスして話せないほど極度の引っ込み思案だった私は、容姿が人と違っていて目立つことがすごくイヤだったのだ。
 
それでも小学生の頃は、ピアノや勉強を頑張って、何とか自分に自信を持っていた。
しかし、5,6年生になって好きな男の子のことを意識するようになると、自分の容姿にひどくコンプレックスを持つようになった。もともと内向的だった私はさらに自分の殻に閉じこもるようになり、中学生になって他の小学校からのクラスメイトの方が多くなると、ますます同級生とコミュニケーションを取ることに苦手意識を持つようになった。
私は、中学では親友一人、高校では友達がいないという、超絶暗い青春を送った。
 
私はその頃から、人が何か悪口を言っていたら、自分のことを言われているのだと感じるようになった。今、冷静に考えれば、それは私の被害妄想だったと分かるのだが、その当時の私は本気で自分の容姿の悪口を言われていると信じていた。
 
そんな私が変われたのは、恋愛と外国生活のお陰だ。
26歳の時、私は自分の夢を叶えたい! という自分でも信じられないほどの情熱が溢れ出てきて、チャンスを掴んでドイツへ行った。その直前には初めての彼氏ができた。
それまで万年片思いで告白することさえなかった私は、彼氏に愛される経験をしたことで自分に少し自信がついたのだった。
留学の話は突然決まったため、私はドイツ語を勉強する時間がなかった。おまけに英語もほとんど話せなかった。
ドイツ語も英語も話せなくても、話さないことにはどうしようもない。助けてくれる日本人もいなかったから、私は辞書を引いてドイツ語文を紙に書いて、用事に出掛けた。
引っ込み思案であろうと、「勇気を出して話す」以外の選択肢はなかった。
 
そのように、話さなければならない状況に置かれたことで、私の引っ込み思案は直っていった。さらに、よくある話だが、ドイツでは自分史上最高にモテた。もともとがゼロに等しかったので大したことはないのだけれど、日本ではどんより曇った目でしか男子に見られなかったのに、ドイツではたまに瞳にハートを浮かべて見つめてくる男子がいた。
このことで私の容姿コンプレックスは大きく解消された。異性に評価されることは自信がつくのにとても有効な方法なのだ。
 
帰国後、容姿コンプレックスが小さくなった私は、婚活をして夫に出会い大恋愛をして結婚した。
これで、めでたしめでたしと話が終わるはずだったが、専業主婦になって子育てに専念しているうちに、私はまたもや自信を喪失した。まったく化粧もせずボサボサの髪にダサい服装の自分を見ているうちに、またもや容姿へのコンプレックスが再燃したのだった。
今度は、解決策としてメイク教室へ通うという方法を選んだ。幸いなことに心理学の知識とスキルを持った先生に習えたため、メイクの技術以上に、マインドへのアプローチをたくさんして下さった。自分や他人の顔の良いところを褒めるという行動ワークをやっているうちに、私は自分の顔がキライではなくなっていった。「素敵ですね。キレイですね」と褒められることで、自分は美人なのだとまで思えるようになった。
また、メイクを習って、自分が思う「キレイな顔」に自分で近づけるという行為は、自分で自分を承認する行為だ。他人からの評価ではなく、自分からの評価を得るための行為なのだ。
自分の顔が好きになったら、くせ毛のベリーショートも受け入れられるようになった。
誰かが自分の容姿の悪口を言っている、とも思わなくなった。
 
容姿に自信を持つためには、他人からの評価を得ることと、自分からの評価を得ること、二つとも必要なのだと、容姿コンプレックスが酷かった私は思っている。
 
「ハーフですか?」
現在の私は、そう言われると嬉しくなるぐらい自分の容姿を受け入れている。
自分の顔の全部が好きという訳ではないけれど、自分の個性が好き。
そんな今の自分が私は好きだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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