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神様が選んでくれたので、文句は言いません


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:東方小百合(とうぼう さゆり)(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あれ? 前回、言わなかったっけ?」と医者から言われた。
 
実は、6ヶ月に入った頃から、臨月まで毎回の検診で、聞いていた。
 
「お腹の赤ちゃんは、男の子? 女の子?」
 
二人目は、女の子がいいと本気で思っていた。
 
それは、当時の私と母の関係のように、私の将来も私と娘という
青写真が出来ていた。
 
買い物、旅行、悩み事の相談、子育て相談など、何でも話せる親子関係を想像していた。
 
女の子を産むために、産み分け法で、出来ることは、すべてやった。
食べ物に気をつけ、基礎体温を測り、婦人科へ通院もしていた。
私は、3歳になった長男を連れ、労力と時間を使った。
 
そして、半年後
「ご懐妊です」
 
それから、私は、願い、祈った。
「女の子でありますように」
 
そして、迎えた11月22日 3056gの男の子が、誕生した。
 
この日は、もちろん、新しい生命の誕生に喜びを感じた。
健康で生まれてきてくれたことに感謝し、命がけの出産が、終わったことに安堵していた。
 
その一方で、生まれる前から性別が分かるという、現代の医療の凄さに感心していた。
 
それから、オムツ替えをする度に、男の子だと思い知らされ、少しがっかりしていたことを今、白状しておこう。
このことは、次男には、これからも内緒である。
 
次男の誕生と共に、当たり前だが、二人の息子の母になる。
現在、二人の息子は、23歳と18歳になった。
私の女の子欲しかった病は、いつの日からかなくなり、男の子二人で、よかったとさえ、思えるようになっていた。
 
兄と弟……。
男同士は、特別なようだ。
今では、お互いに1番の良き理解者である。お互いを認め合い、何でも相談出来る仲である。親にも友達にも言えないことでも、共有出来ているようだ。
 
しかし、そんな二人が、コロナ禍の中、大げんかをした。
 
「お前、いい加減にしろ! お前、自分勝手なんだよ!」
長男の危機管理能力の低さに次男が、キレたのである。
 
コロナに対しての危機管理の家族間ギャップである。
完全自粛を心がけている次男にとって、不要不急な外出をしている長男が許せなかったのであろう。
 
生まれて初めての次男の逆襲だ。
いつもは、面倒見のいい長男。
頼りにしつつ、兄を立てる弟の図が、崩れたのである。
長男も反撃する。
「自分で何でも出来ない、お前に言われたくない」
「お前が、偉そうに俺に言うな」
 
さぁ、兄弟どうなる??
 
激戦の結果、長男が選択してのは、家を出ると言うことだった。
家出を解決方法にしたのだ。
 
家族とのギャップを埋めるには、自分がいないほうがいいと長男が判断したのだ。
 
昔の私なら、必ず、救済者になって、長男と次男の間に入り、私が色々なことを決め、丸く収めていたに違いない。
 
でも、私も成長したのだ。
二人を見守ることにした。
 
子どもたちのとびきりのコーチでありたいと思ったのである。
 
コーチとは、相手の未来を一緒に想像し、伴奏する人だと思っている。
何かを勝手に決めて、やらせる人では、ないのである。
 
以前の私は、子どもたちのことを、弱者で、何も知らない、何も出来ない人だと思っていた。私の言う通りにさせようとして、すべてのエネルギーを使って、疲弊していた。
子ども達がどう思うか、どうしたいか? などは、全然考えていなかった。
おかしな話だ。誰の為? 私の為だったに違いない。
私が、コーチでいるには、子どもたちの可能性を信じて、見守ることが、彼らにとっては、いいことだと今なら、分かる。
 
コーチである私は、全力で、応援し、サポートしていきたい。
でもそれは、彼らから、SOSが来た時だけとする。
その時は、喜んで手をかそう。知恵をかそう。
 
親から見ると子どもたちが、歩く道は、寄り道かも知れない。
あるいは、遠回りかも知れない。
 
それも彼らが、迷い、失敗し、自分で責任を持って決めていけばいい。
 
5月25日、緊急事態宣言が、解除された時、長男に連絡を入れた。
「いや、いいや。このままで」と長男は、戻ることはなく、一人暮らしをしている。
長男が、自分で決めたことなら、見守ろう。
 
この出来事は、長男の自立にとって、意味のあることで、大きな第一歩だったのかもしれない。
 
長男と次男もいい関係、いい距離をとって、更に仲良くなっているように思う。
やはり、男同士は、いい。
 
今では、私も息子二人の母であることを嬉しく思える。
男でも女でも、どちらでも、この世に命を授かることは、奇跡に近いのだから、出会えたことに感謝しかないと心から思える。
 
18年前のあの日。
「お腹の中の赤ちゃんは、男の子ですよ」と検診で言われたら、
 
「男の子ですね。長男が喜びます」と笑顔で言えるだろう。
 
実際、長男は、
「弟でよかった。その下にも弟なら、もう一人いてもよかった」と、とびきりの笑顔で言うのである。
 
性別は、選べない。選ぶ必要もないのかも知れない。
家族の形は、それぞれだけど、すべては、偶然でなく、必然なのかも知れない。
 
 
 
 
***

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2020-07-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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