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「嫌い」はいつか「好き」になるかもしれない


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:佐藤純平(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「無理、無理、無理、本当に無理」
誰だってこうなるだろう。
奴らを見れば。
ぼくも無理、無理、無理だ。本当に無理だ。
 
突然現れる。
いつからいたのか。
どこからきたのか。
どこへいくのか。
そのことを知るものはきっといない。
 
真っ黒で光っていやがる。
カサカサっと尋常じゃない速さで動きやがる。
触角がウニョウニョ生えてやがる。
羽も生えてやがる。
飛びやがる。
飛びながら向かってきやがる。
殺虫剤じゃ死なないこともありやがる。
 
好き嫌いはよくない。
でも、でもでも、こいつだけは好きになれない。
バッタリ出会すことってだいたいロマンチックなもの。
だけど、こいつだけは違う。ロマンのかけらもない。
 
出会したらいったん逃げる。
襲われるわけじゃないけど、逃げる。
ただ見逃さないように、姿は確認しておく。
うわぁぁ、気持ちわりぃ。
殺虫スプレーを取りに行く。
はやくしないとどっか行っちゃうよ。はやくはやく。
 
……シューッ。
 
ようやく退治。
あぁ、死んだコヤツをどうしよう。
ティッシュを何重にもとってなんとかつかむ。
うっ、気持ち悪い。
丸めてゴミ箱へ。
はぁ、疲れた。
 
それからしばらく背後が気になる。
天井にいるんじゃないか? って疑う。
なんか気配を感じると、スッとそっちを見る。
 
……いない。あぁ良かった。
くっそなんでアイツのことばっか考えちまうんでい。
 
本当に苦手。
この世で一番苦手かも。
「もういっそ世の中からいなくなっちまえ」とも思える。
 
そう、ゴキブリのことだ。
 
文字を見ただけでも嫌だ。
なるべく言葉にするのも嫌だ。
なんか嫌だ。
とにかく嫌だ。
いつからか、何がきっかけで嫌いになったのかはわからない。
ただ見かけるたびに怖がるようになっていた。
 
嫌いな理由はなんだろう? と考えてみる。
 
黒光ってること??
素早い動き??
ウニョウニョの触角??
飛ぶところ??
溢れる生命力??
 
一言で言ってしまえば、「気持ちが悪い」から。
ただ見た目が気持ち悪いって理由だけ。
それだけで嫌っている。「いなくなれ」って思っている。
 
それってよくないかもしれない。
そもそも3億年前ぐらいから生き残っている種だ。
恐竜が滅んでもゴキブリたちは生き残ってきた。
ぼくたち人間たちよりもはるかに長い。
人間がこれだけ嫌っているのに、滅ぼせない。
だからたぶん、地球には必要な存在なのかもしれない。
 
それなのに、見た目が気持ち悪いからってだけで嫌っている。
いなくなれって思っている。
理解をしようともしない。
よく知らないくせに、見えている部分だけでこうだ! と決めつけている。
それってダメじゃないか?
 
そう思って、ゴキブリの良いところも調べてみた。
諸説はあるだろうが、ゴキブリは「自然界の掃除屋」と言われているらしい。
好き嫌いなく、なんでも食べる雑食なんだそうだ。
自然の中でいらなくなったものを分解してくれる。
また雑食だから、食糧としても栄養価が高いらしい。
ゴキブリを食べている人間もいるそうだ。
そうやって食物連鎖の循環の中で、必要な役割をきちんと担っている。
だからゴキブリがいなくなったら、何かしらの影響があるのかもしれない。
人間にとっても困ることが起こるのかもしれない。
 
「ゴキブリすごい! めっちゃいい奴!! 大好き!!」
ゴキブリの良いところを少し知ったからといってこうはならない。
だけど、ぼくが嫌いなだけで、ある視点から見たら、きちんとした役割があるのだなと思った。
 
当たり前だけど、ぼくたちは知らないことがいっぱいある。
地球のこと、世界のこと、日本のこと、友達や家族のこと。
自分のことですら知らないことばっかりだ。
それなのに、知らないことを自覚もせず、好き嫌いの判断をしてしまう。
自分が知っている部分が、そのものの全てだと思い込んでしまう。
 
物事には自分が知らない部分があって当然だ。
だからこそ、自分は知らないのだと気づくことが必要なんだと思う。
 
ぼくはゴキブリのことをほとんど何も知らなかった。
見た目が気持ち悪いぐらいのことしか知らなかった。
よくも知らないまま嫌いになっていた。
でもそれはよくないと思った。
知らないことに気づいたからこそ、知ろうと思った。
そして知ったけど、結局好きにはなれなかった。
でも知ることで自分はまだまだ知らないことがあると、より自覚した。
 
「ゴキブリを絶滅させる方法は今あるのか?」
「ゴキブリが絶滅したら世界はどうなるのだろう?」
「人間はどうしてゴキブリを気持ち悪いと思うのだろう?」
知らないことをさらに知ることで、もしかしたら好きか嫌いか、判断が変わるかもしれない。
 
物事の全てを知ることなんてできない。
でも考えたり、想像したり、調べたりして、少しでも何かを知ろうとすることはできる。
知ることは、いまの自分の判断を変える可能性がある。
 
だから何も知らないで、好き嫌いを決めつけていてはダメだ。
知った上で判断し、より詳しく知って、自分の好き嫌いの判断が間違っていないか確認し続けるといいのかもしれない。
 
いつかぼくも「ゴキブリはめっちゃ大事な役割を担っているすごい奴なんだ! 好きだ!!」ってなる日がくる……かな?
 
 
 
 
***
 
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2020-07-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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