大声を出して泣いたほうがいい ―テレフォン人生相談に学ぶ―
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:チエ子(ライティング・ゼミ日曜コース)
「半年前、44歳の娘が亡くなりました。毎日一人になると涙が止まりません。これからどう前を向いて生きていったらいいでしょうか」
70代の女性に、こんな相談をされたら、何か返す言葉があるだろうか。
私たちの人生には、大切な人との別れはつきものである。しかし、こんなに大きな悲しみを抱いている人に対して、ちゃんとした答えなんてなかなか用意できるものではない。
下手なことを言って、二重三重に傷つけてしまうかもしれない。
黙って、立ちすくむ。私なら、それしかできない。
しかし、このような悩みにも、その他のどんな悩みにも正面から答えてくれる電話相談があるのをご存じだろうか? それは、テレフォン人生相談。NRN加盟局を中心とする23局で放送されているニッポン放送のラジオ番組だ。
1965年から放送されている人気番組で、各界の専門家が相談に応じてくれる。
2020年6月4日放送回。嫁いだ娘を半年前に脳内出血で亡くし、毎日泣き暮らしているという女性。パーソナリティの加藤諦三先生は言う。
「大声を出して泣いたほうがいいですよ」
「我慢して耐えられるようなものではないですから。むしろこの悲しみを表現したほうが気持ちを癒してくれるんですよ」
悲しみを乗り越えるには、段階がある。否認、絶望、再生への希望。その段階をきちんと踏んだほうが新しい人生をスタートできるという。
加藤先生は、社会学者であり評論家。心理学に関する著書も多い。悲しみにくれる相談者に、喪失からの道のりを筋道立てて話すが、その声は限りなく優しい。
相談者は、半年間、思い切り泣いてきたからこそ、少しずつ悲しみがやわらいだことを振り返り、最後は少し、希望をもって受話器を置いていたようだった。
この放送を聞いて、私は考えてしまった。
通常、「いつまでも泣いてばかりいてはだめだよ」などという言葉をかけてしまいがちではないだろうか。でも、そうではないというのだ。
大声を出して泣いたほうがいい。
いつの頃からか、私自身、人前で泣いたり怒ったり、感情をあらわにすることを自分に禁じるようになっていた。みっともないと思っていた。
でも、「泣く」って、ちゃんと意味があるんだな。
泣くのはむしろ、いいことなんだ。前を向くために必要な過程なんだ。
しっかり泣ききってこそ、次に向かえるんだ。
ちょうどこの頃、コロナ・ウイルス対策で休園となっていた幼稚園が再開した。3歳の娘が幼稚園に通い始めた。
娘は、はじめの3日間は張り切って幼稚園に通ったものの、どんどん表情が暗くなっていった。
憧れの幼稚園。でも、だんだん現実が見えてきたのだろう。
ママとこんなに長い時間離れるとは思わなかった。右も左もわからない場所で、初めて接する先生と、お友達に囲まれ、とっても疲れて、心細い。
翌週から、朝、大号泣するようになった。
「幼稚園に行きたくない! 幼稚園に行きたくない! ウワーン!」
大粒の涙を流す娘を抱きしめながら、私は、ふと加藤先生の言葉を思い出していた。
「大声を出して泣いたほうがいいんですよ」
娘は今、新しい環境に戸惑っている。ママと離れなければならない寂しさと戦っている。
この気持ちを消化するために、今、力いっぱい泣いているとしたら、ちゃんと泣かせてやったほうがいいんじゃないか。
「先週、毎日、幼稚園頑張ったね。幼稚園にはママがいなくてさびしかったね。いっぱいがんばったね」
娘はもっと激しく泣いた。私もちょっと泣いた。
そして、園バスの時間になると、泣きながらバスに乗り、登園した。
園でも、一言もしゃべらずに過ごした日もあったそうだ。次の日は、一日泣き暮らした。その次の日は朝のうち号泣したが、その後はみんなと活動できた。
「最初の3日間は、泣きも笑いもしないで、難しい顔をして過ごしていたの。この頃は、泣くこともあるけど、笑うようになった。慣れてきた。きっと、思い切り泣いたから、それが良かったのね。泣いたほうがいいのよ」
担任の先生は、幼稚園の大ベテラン。へえ、先生も、泣いたほうがいいって言うんだ。
加藤先生と同じだ。
20分間の短い番組だけど、毎日聴いていると、相当な智慧を授けてくれる。
相続や土地や建物の権利など、誰しもいつふりかかるかわからないトラブルに関しても、弁護士軍団が歯切れよく答えてくれる。民法など、詳しく知らなかったことばかりで、これも大変勉強になる。
「今日、幼稚園泣かなかったよ!」
「楽しかったよ!」
入園し、1カ月。娘は徐々に幼稚園に慣れてきた。
娘の涙に無理にふたをしなくてよかった。そう思った。
テレフォン人生相談は、人生の羅針盤。荒波を進むのは自分自身だけど、「この方向で合っている?」「どっちへ行けばいいのかな」と迷うときに、ヒントをくれる。
みなさんも、一度聴いてみませんか? 多くの地域では、月曜日から金曜日、午前11時から11時20分までの放送です。
あなたの人生にも何か、ヒントを与えてくれるかもしれません。
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