メディアグランプリ

道を引き返し、スタバに入り、僕はムッキムキになる


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中川誠斗(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
昔から周りの目を気にするタイプでした。といってもそれにはいろんなタイプがあって、たとえば「人前で話すと顔が赤くなる」だとか「人混みの中では顔をあげて歩けない」とか。
僕の場合はちょっと違います。「プライドが高いタイプ」です。
たとえば、人が大勢いる場所で道に誤ったと気がついても、すぐには立ち止まれずにしばらく歩き続けていました。ここでクルっと反対方向に歩き出したら、「なんだこの人、道間違えたのかよ」と笑われると思っていたのです。
あと、初めてカフェに行ったときも、ドトールには行けてもスターバックスには半年ほど行けませんでした。店員さんやお客さんに「なんかダセぇやつ入ってきたぞ」と思われそうでビクビクしていたのです。ドトールさんにもスターバックスさんにも謝らないといけません。当時はスミマセンでした。
そんなふうに、僕はとにかく周りの目を気にしていました。というよりむしろ、見られているんじゃないかと過剰に感じていたのです。5年くらい前までそんな状態でした。
その間に僕は学生から社会人になり、社会でモミクチャにされたおかげで今ではだいぶマシになりました。道を誤ったと知ればすぐに引き返します。スターバックスにも堂々と入れるようになりました。ドトールにも行きますよ。この原稿は今ドトールで書いています。
 
周囲の目を気にしてしまうのは、別に悪いことばかりじゃありません。そういう人はたいてい、お財布を拾っても中身をみずに警察へ届けるような人たちだと思います。少なくとも僕はそうです。
ですが悪くはないとはいえ、問題もあります。当の本人にはちょっとした窮屈感があり、それがひいては生きづらさにつながったり、人間不信に陥ることもあるからです。
だから僕は、この性格を少しずつ直したいと思っていました。そしてついこの前、自分が変わっていることに気が付きました。僕は、ポケモンが進化するみたいに第3段階を迎えていたのです。進化の石をくれたのは……ムッキムキな男たちでした。
 
僕はこれまで、たまに風呂上がりにふと鏡を見たとき「なんだこの細くて弱そうな身体は」と思うことがありました。
憧れる誰かがいたわけでもないし、好きな女の子がマッチョ好きだったわけでもありません。けれども、その身体を見ると、ジムにでも行って鍛えようかとしばしば思ったのです。でも仕事が忙しいだとか、お金がもったいないと言って遠ざけました。やらない理由を挙げていき、最後にはいつもこう思っていたのです。「こんな自分が行ったって笑われるからやめておこう」って。
 
ところが、年が明けてすぐの頃、それまで勤めていた会社を退職することになりました。その理由もまた、周囲を気にしすぎる性格と大いに関係していたはずです。うつ病の一歩手前でした。
退職したとなれば、話は変わります。時間もあるし失業保険だってある。ジムに行かない理由がありませんでした。それに、その頃にはもう気がついていたのです。
周囲を気にしすぎて苦しくなる。これをどうにかしないと、僕は仕事を変えても何を変えたって同じだということに。
だからこそ、まずは肉体的に変わろうと考えました。
 
ジムを見学してみると、みんな自分のトレーニングに集中していました。ムッキムキの男ばかりでしたが、それが好印象でした。僕と同じような、細くて弱そうな身体をした人ばかりいてもゲンナリするじゃないですか。そんなジム行きたくありません。見学を終えると、すぐに契約しました。
 
数日たって迎えた初日は、ひどく緊張していました。見学したときには、僕のようなヒョロっとした人は誰もいなかったからです。そこが良いと思ったのですが、いざその中の1人になろうとすると震えてきました。やはり場違いなんじゃないか……。ネガティブなので、不安なイメージが次々に浮かんできます。
たまたま見学したときにはいなかっただけだ!。そう自分に言い聞かせましたが、行ってみてすぐにわかりました。
誰一人、本当にいないのです。
そこにいるのはムッキムキな男たちと、フィットネス教室に参加しているオバサンたちだけでした。
 
うわぁやっぱりそうじゃん!。
契約するときは気分が浮かれていただけだったんだ。
まずい、変な目で見られる。
 
早くも後悔しそうになったのですが、違いました。見られているんじゃないかと思って周りを見渡してみても、人はいるのに誰とも目が合いません。彼らはみな、僕のことなど見ていませんでした。まるで興味などないかのように、知らん顔です。
少しすると、その理由がわかりました。本当にみんな、ビックリするほど、他人には興味がないようです。
鏡を見てはボディビルダーのようにポーズを決める人。
何キロなのかまったく想像できないダンベルを、歯を食いしばって持ち上げる人。
誰も、僕のことなんか見ていません。道を引き返したときやスタバに入ったときと、まったく同じでした。ジロジロ見られたり、笑われることもありません。通い始めて4ヶ月、今に至るまでただの一度もないのです。
 
そんなムッキムキな男たちの中で1人浮いた状態でトレーニングをしていると、不思議とやる気が出てきます。そして気が変に盛り上がるのか、途中から、屈強な男たちの心のささやきが聞こえてきます。
「がんばれ!」
「応援しているぞ!」
「オレも昔はそんな身体だったぜ!」
そんな気がしてくるのは、僕がまだ周りを気にしすぎているせいかもしれません。でも、本当にそう言ってくれているような気がするのです。まるで数十頭の大型犬と一緒にいる、1頭のチワワみたいな。変に守られている感じがするし、そのおかげが僕は毎日ジムに通うようになりました。
 
外を歩いていて、1つ気がついたことがあります。周囲の目を気にしているというより、むしろ自分を見せるようにして歩いている自分がいました。姿勢が良くなり、胸を張って歩いている気がします。
どうやらジムに通うと、肉体と同時にメンタルまで鍛えられていくようです。これは完全に誤算でしたが、僕はこれからの自分に少しワクワクしています。
もし読者の中にメンタルを鍛えたいという人がいるならば、わかりますね、僕はジムに通うことを全力でオススメします。ムッキムキな男たちがいるジムならさらに良いです。
今からでも遅くありません。一緒に心のマッチョを目指しましょう。ついでに肉体も。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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