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ふたごがケンカできる場所


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記事:スガイユカ(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
我が家には小学校2年生になる男女のふたごがいます。
ふたごたちは二卵性で、同じ日に生まれた姉弟です。生まれてからずっと一緒に暮らしているふたご。この2人、家の外では、総じて「仲がよい」と評されます。
3年間お世話になった保育園では、先生たちから「いつも仲が良いですよね」と言われ続けてきました。
でも実際はそんなことありません。
「いやいや……本当にケンカするし、お互いに手も出るし。たしかに、仲は良いかもしれないけれど、ケンカもするんですよ!」私が何度言っても「えー! 信じられない! 想像つかない!」と言われることばかりでした。
双子たちが小学校1年生になり、学童へ通うようになったときのこと。
お迎えに行くと、学童の先生から「2人って本当に仲が良いですよねー、お家でケンカとかするんですか?」と質問されました。
またこの質問。「しますします! 本当にします! なんなら、今から学校の門を出た途端にします!」私は全力で答えました。先生は、「信じられない! 2人はいっつも一緒に、仲良く遊んでいますよー」とのこと。
ふたごよ、外面が良すぎないか……。
たしかに、仲が良いのはわかる。けれども、家ではケンカもする。同い年・同レベル・平行線の戦いが繰り広げられることはあまり知られていません。私がどんなに言っても、あまり信じてもらえません。
「なんで家の外ではケンカしないのに、家ではケンカするの?」
ふたごたちに尋ねてみました。ここでいう外とは、私の目のない所という意味です。例えば私の前であれば、外出先でもおかまいなしにケンカをするのです。
すると、ふたごたちは、「え? それはそうに決まってるじゃん!」とハモりました。
まさか、理由があるなんて思いもしなかったので、外ではケンカしないのに、家でケンカする理由を聞かせてもらおうじゃないか。と思っていたら、娘がこんなことを言いました。
「家では、ママがいつも味方だから」
私が、味方だから……?
私が、味方だからケンカをする……?
私には、娘の言葉の意味が理解できませんでした。というのも、私はふたごたちがケンカをしたら、どちらの味方もしない。と決めているのです。
私がすることといえば、ただ両方の話を聞くだけ。どちらか一方の話を聞くと、聞いてもらえなかった方が怒る。かといって理由を聞いて私の目線で判断すると、お互いフラストレーションが溜まる。
だから聞くに留める。もちろん手を出した場合などは、その行為については注意します。
けれども、その前後関係なども含めて、まず話を聞くことにしています。もっと言うと、あまりにくだらない内容のときには関与しないことにしています。時が解決するのを待つ。というパターンもあります。
だから、「味方? ママはどっちの味方もしないと思うよ」と伝えました。
すると、ふたごが声を揃えて「そうだよ、ママは2人の味方をするでしょ。だからケンカができるんだよ、知らないの?」と言ってきたのです。
えーーーーーーーーー?
ふたごの母になって6年目、ふたごたちがそんなことを思っていたなんて、思いもしませんでした。
娘「ママはどっちが悪いって決めないでしょ。だからケンカできるんでしょ」
息子「ママは僕たちの話を聞いてくれるでしょ。だからケンカしても大丈夫でしょ」
ふたりとも、当然でしょ。そんなこともわからないの? とでも言いたそうに、口を尖らせていました。
私は、この2人の言葉には驚いてしまいました。ふたごの話を聞いていると、家の外でケンカをした場合、保育園でも学校でも、「どちらかが悪い」となってしまうそうです。
ケンカはするものの、そうなることは自分たちの本望ではない。だから外ではケンカしないとのことでした。
「まぁ、ちょっと”ウソげんか”はすることあるけどね」と言って二人で笑い合っていました。たぶん、怒られるほどではない些細ないざこざは発生しているんだろうと思います。
ということは、ふたごが私の前でケンカするのは、私が二人にケンカする場所を提供している。ということになります。
「なるほどねー。ママが味方をするから2人はケンカができるってことか。ということは、ケンカができる場所を提供しているママって素晴らしいお母さんだね!」とわざと声を大きくして言ってみました。
すると、娘が息子に向かって「ママってこういうところあるよね……ごにょごにょ(たぶん悪口)」と言って、2人で笑いあっていました。
正直なところ、ケンカの話を聞くのは面倒な時もあって……いや99%面倒なものです。疲れている日には、もうやめてくれー! となるし、一線を越えると、勝手にやってくれ! と遠い目になることもしばしばです。
ふたごの外面が良すぎて、私の苦労や苦悩は他の人には伝わらない……と思っていたのですが、聞いてみて初めて知ったふたごの気持ちがありました。
これからも、きっと「うるさいー!」と怒鳴るけど、ケンカの話はちゃんと聞こう。そんなことを思った出来事でした。
 
 
 
 
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2020-07-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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