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どうやら猫背がいいらしい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:坂田文(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「おまえ、肩こりやろ」
 
そう言われて、私は驚いた。
普段、そんなに口を聞きもしない上司に、しかも勤務時間中に言われたのだ。
 
「なんでそう思うんですか?」と聞けば、
「だって、おまえ首細いやん」との答え。
 
なるほど、今まで自分では考えてもみなかった。
 
けれど、実際に、私は肩こりなのだ。
というよりは、私の肩をさわった人には一人残らず言われる。
「硬っ!」
 
物心つくころには、すでに私の肩は硬かったのだろう。
正直なところ、自分が肩こりであるとか、肩がこってつらいとかいう感覚はそれほどなかった。
 
しかし30代も半ばに差しかかったある日、私は左肩から背中にかけての激痛に襲われた。
最初は「少し痛いな」くらいだったのを放っておいたがために、痛み止めを飲まなければ日常生活を送れなくなっていた。
 
「これ、肩こり?」
そう思いながらも、自分で対処できないとあきらめた私は、整体に行くことにした。
 
整体に行くのは高校時代以来で、バレーボール部のマネージャーをしていた私は、選手に付き合って一度だけ行ったことがあった。
その時の整体は、痛いやらこそばいやらで、それしか記憶にない。
 
インターネットで整体を色々と調べたあげく、以前の上司の言葉も引っかかっており、「ストレートネックでお悩みの方」というところを選んだ。
上司に言われて以来、首が細長いことが気になっていたし、けれども頭の大きさが他の人に比べてもちろん小さいわけではないことも知っていた。
つまり、大きい頭を支える、この細長い首には、さぞ負担がかかっているだろうと、それがこの激痛の原因だろうと考えたのだ。
 
実際に施術を受けてみると、高校時代のそれとは比べ物にならないくらいのやさしさだった。
関節を正しい位置に戻すよう、「やさしく触ってくれている」感覚だ。
 
そのやさしい施術に惹かれ、私は通い続けた。
その経過で、気絶しそうなくらいに痛みが増すこともあったけれど、なんとか状態は上向いていった。
 
そうして肩の痛みもほぼなくなったある日、施術後に先生はこう言った。
「ひとつお願いがあって。“猫背”になるように気を付けてほしいんです」
 
先生は以前からこう言っていた。
「背骨には、丸みがあるのが自然なんです」
 
現在では、「猫背で姿勢が悪いことで、身体に悪影響が出る」なんていう話はよく聞く。
「姿勢がいい=健康にいい」と、多くの人が思っていることだろう。
 
かく言う私も、常に姿勢正しく、ぴんぴんに背筋を伸ばしてきた。
それは、「健康にいいから」という理由よりは、「レストランのサービスマンとしてかっこよくありたいから」という理由ではあったけれど。
その影響で私の背骨はまっすぐになり、内臓をやさしく包み込む背骨のカーブは消え去り、身体のバランスを取るために本来あるべき首のカーブまで奪ってしまったのだ。
 
首から背中にかけて、一本の棒のようにまっすぐになってしまったその骨には、もちろん柔軟性などない。
内臓を包み込む空間がないのだから、内臓の動きも少なくなる。
身体のバランスが取れていないことにも気づかなくなる。
結果、小さな不調がつみ重なり、私のようにある日突然、激痛に襲われるということが起きるのだ。
 
先生のアドバイスを受け、私はその日から“猫背”を実践することにした。
それまで何年もの間、背筋を伸ばし続けてきた私にとって、“猫背”の姿勢をキープし続けるのは、それはそれで大変だった。
おそらく、“猫背”でいるには、背筋を伸ばし続けるのとはまた別の筋肉なり何なりが必要なのだろう。
それでも、たまに背筋を伸ばしたりしながら、可能な限り“猫背”であり続けた。
 
それから半年ほど経った。
体調はすこぶる快調で、もう肩の痛みなんか戻ってこないんじゃないかと思っていた。
 
そんなある日、いつものように朝のシャワーを終え、お風呂場から出る、その瞬間だった。
一瞬にして、私の肩に痛みが走った。
それはまるで、私の身体の中にある薄いガラスにひびが入ったような、そんな感覚だった。
 
けれど、私は冷静だった。
今まで、それなりの体調の上下を経験してきた。
痛みが出たなら、それは直近の生活に原因があると知っていた。
 
そして、わが生活を振り返り、思った。
「あー、“猫背”が足りなかったかもしれんな」
 
半年たって、“猫背”に慣れてきたとはいえ、いまだに昔の“背筋ぴんぴんの私”が顔を出してくることがある。
それは痛みがなく、調子が良ければ良いほど。
 
そんな“背筋ぴんぴんの私”で生活していると、やっぱり首も背中もまた一本の棒に戻り、結果、身体のバランスが取りにくくなって不調を起こすのだ。
 
その日からまた、“猫背”を意識し始めた。
“猫背”であり続けることで疲れもしたが、少しずつではあるものの、調子は上向いていった。
本来あるべき骨のカーブを取り戻し、自分できちんとバランスがとれるようになっていったのだろう。
 
今は、ほとんど痛みのない生活を送っている。
 
この世の中には、色々な意見がある。
 
その中で、私は一つの答えにたどり着いた。
 
私には、どうやら“猫背”がいいらしい。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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