「私は宇宙人」は結婚生活を豊かにしてくれる魔法のフレーズ
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記事:市原冴也香(ライティング・ゼミ通信限定コース)
「なんで自分だけゆっくりして、家のことなんにもしてくれないの!」
これは新婚時代に私が夫に言った言葉だ。
その当時、私は仕事をして帰ってきて座る暇もなく料理を作り、食事をして、あと片付けをしていた。仕事に行く前に掃除機だってかけているし、夜に風呂に入る前にトイレ掃除だってする。
勤務時間の関係だが夫の方が先に帰ってきているのに、やってくれるのはゴミ捨てと、洗濯物を取り込んで畳むこと、風呂の浴槽を洗うこと。それが不満だった。
毎日「私だって疲れて帰ってきているのに、なんで一緒に家事をしてくれないの?」とイライラが募っていった。
ある日、ゴロゴロと疲れを癒している夫の背中を見たときに、ドワっと感情が押し寄せた。そしてついに爆発して、「なんで自分だけゆっくりして、家のことなんにもしてくれないの!」と言ったのだった。
夫は慌て、そして謝ってくれた。次の日から食後のあと片付けを一緒にやってくれるようになった。
だが、私の心は晴れなかった。
それは「怒って爆発したことで、相手を動かしたから」だった。
夫は大変人柄が良い。穏やかで優しく、相手を思いやる心が私の10倍はあるだろう。私が怒って爆発したことで夫のその人柄につけ込んでやらせた感じがして、ムズムズと気持ちが悪かったのだ。
おまけに私は人間関係を扱うコーチなのだ。人様の人間関係は扱いながら、自分は家で爆発して夫に言うことを聞かせているなんて、なんとも情けない。自分自身で商売を妨害してどうするのだ!
そこで、あのゴロゴロと疲れを癒している夫の背中を見たときに、なぜ爆発したのか思い出し、自分自身をコーチしてみた。
すると出てきたのが「背中を向けられているのが寂しかった」という気持ちであった。
その思いが出た時にすごく納得感があった。
背中を向けてゴロゴロしている視界に私はいない。
そして、夫が自分の世界に私を入れてくれてないような態度が、必要とされていないみたいで寂しかったのだ!
もちろん、本当に私を必要としていないなんて思っていない。
だけれども勝手に寂しくなって、勝手に爆発させたのだと分かった。
「背中を向けられているのが寂しいって思ったの。爆発してごめんね」
そう夫に告げた。
告げた時に夫に抱きしめられて、
「私の本当の思いが伝わった」
という実感があった。
またある時、夫が飲み会の日があった。
何時になっても帰宅の連絡がない。ソワソワとした気持ちになり、やがて「なんで帰ってこないの!!」とイライラに変わっていった。
もちろん私だって飲みに行くし、友人と旅行にだって行く。
夫に楽しんで欲しい気持ちがあるのに無性にイライラしてきた。
0時を過ぎて「これから帰るね」と連絡をしてきた夫に、イライラをぶつけそうになったところで、ふと冷静に「なんでこんなにイライラしているのだろう?」と考えてみることにした。
すると出てきたのが「夫に忘れられて、ひとりぼっちになったみたいで寂しい」という思いだった。
「そうか寂しいと思っていたんだ」と思った私は思わず一人で笑った。寂しいから夫に対してイライラしているなんて、おかしな話だ。
「ま、遅くなっていっか」と思い寝る準備を始めた頃に、千鳥足の夫が帰宅した。その手にはお土産のスイーツがあった。
それを見て心の中で「忘れるわけないよね。勝手にイライラしてごめんね」と思った。
そんなことが続いたので、結婚生活がうまくいくために必要なことを考えてみた。
それは「自分が宇宙人であることを自覚する」ことではないだろうか。
こちらは宇宙から来たので地球の人間の考えを知らない。そして人間もこちらが大切にしていることは何も知らないという前提を持つのである。
こちらは地球にお邪魔した宇宙人だからこそ、ちゃんと心の声を伝えて理解してもらう必要があるのだ。
なお、この宇宙人の感情には特性がある。
それは、表に出てくる感情と、奥にある感情のふたつがあるということだ。
自分の故郷では表に出てくる感情だけですべてを察知してもらえていたが、ここではそれは通用しないのだ!
特に最初はお互いに理解し合いたいという思いに溢れているはずだから、「私は地球の人間と結婚した宇宙人」と自覚し、自分の思いを伝えることが重要になる。
これを怠ると、いずれ分かり合えない深い溝が生まれてしまうのだ!
それから、夫に対してのことだけでなく、自分の身の回りで起きたことについて自分の奥にある感情や思いを伝えるようにした。
伝える前はちょっと抵抗感が生じる。
自分にとって大切だからこそ「どう思われるかな?」と言う思いが湧いてくるからだ。
しかしその抵抗を乗り越えて伝えることで、夫と繋がる感覚ができる。
同じように夫から思いを告げられると「夫はこういう時にそう感じるんだ!」と知ることができた喜びと、信頼して告げてくれた感謝を感じるのだ。
お互いに繋がる感覚が増えれば増えるほど絆が深まる。
これからも絆を深めるために「私は宇宙人」であり続けていくのだ!
***
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