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海外生活、迷っているならまずはやってみる


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記事:いいだれいこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は行くべきかどうか悩んでいた。
 
まだ1才になったばかりの子どもがいる。
夫は2年ほど前から上海に駐在している。ちょうど妊娠が発覚した頃に辞令がでた。さすがに中国の病院で初めての出産をする勇気もなく、このときは夫と別に暮らすことを選んだ。そして、私は実家に戻った。娘はすくすく成長し、半年が経った頃だろうか、育児に少しだけ余裕ができた頃だった。
 
頭にあることがふっとよぎる。
「帯同して家族一緒に暮らした方がいいよなぁ……」
 
子どもにとって父親の存在は大きい。あっという間に1才になり2才になる。そのめまぐるしい成長をそばで見て欲しいという気持ちもあった。
けど、小さな子どもを海外で育てるとなれば話しは別だ。まだまだ手がかかるし、しかも初めての子育てだ。言葉も通じない土地で満足の行く子育てが出来るかも分からないのにGOサインは出せない。
訳のわからないブラックボックスに突然足を踏み入れるようなものだ。そんなのただの賭けでしかない。
ネットで駐在妻の子育て事情について調べるも、それで納得できるような事ではなかった。少なくとも私にとっては。
 
なぜか。
それは場所が中国だからだ。
中国のいいニュースや話しを聞いたことがあまりない。だから、生活しても大丈夫そうだと思えなかったのだ。
 
・大気汚染(PM2.5)のこと: 空気が悪すぎて子どもに悪影響なのでは?
・食品のこと: 毒入りギョーザ、成長促進剤の過剰投与で爆発するスイカなど、
どんな食品が売られているかわからない。
・治安のこと: 中国では子どもの誘拐が多いそうだ。スーパーで目を離したすきに子ど
もが連れ去られるという話しを聞いたりする。安心して買い物も出来ないのか?
 
みなさんもどれかしらネットやニュースで見聞きした内容があるかもしれない。
これらが本当なら、上海で子育てなんて難しいに決まっている!
だから帯同することに踏み出せずにいたのだ。
私の脳みそは偏見でカチコチに固まっていた。
 
娘が1才になるころ、友人から上海へ遊びに行こうと誘われた。
私も彼女も同じ境遇の仲間だった。彼女は妊娠するまでご主人と上海で生活していたが、日本で子育てをするため、今は別々に暮らしている。
現地で生活できるか判断するのにいい機会だ。下見も兼ねて遊びに行くことにした。
 
2年前の3月上旬。初めての中国・上海に上陸。
空港の出口で夫が待っていてくれた。
「ここで生活していけるだろうか?」外の空気を吸いながら漠然と感じる不安。天気も私の心を表しているかのようなどんより曇り空。でも、少しでもその可能性があってほしいと期待も入り混じる。
1つ大きく呼吸をして、空港からタクシーで滞在先へ向かった。
 
さあ、模擬生活のスタートだ!
 
友人が当時生活していた頃の話しを聞きながら、様々なお店をたどって行く。日系のスーパー、おいしいパン屋さんやカフェ、日本食が集まる場所、ローカルな道を歩いて行くタオル屋さんやお茶屋さん、など。
生活に必要なノウハウが自分にインプットされていく。
「空気も思っていたより悪くない。ここ数日、晴れて青空だって見える! お店を選べば食品は問題なさそう。もうすでに、娘と二人でスーパーに買い物に行けているじゃない!」
模擬生活をしたことで、私が感じていた偏見は解消されていった。
頭の中で絡まっていたことが、線でつながっていく感覚。とても心地よい。
帰る頃には、上海生活のバイブルが頭の中に出来上がっていた。
 
上海生活はとても楽しかったのだ!むしろ、慣れてしまえば日本より子育てしやすそうな感じさえする。いい意味でギャップがあり驚きの連続だった。
私の持っていた偏見は、目覚ましい発展を遂げる今の上海で、大きな心配をするほどの事ではなかった。ほとんどが思い込みだったのだ。
 
もちろん、100パーセント問題なし!とは言えない。ある程度の妥協も必要だったが、現地で生活できるかどうかを判断するには十分な環境だった。
 
短期間でここまでポジティブになれたのは、友人がきめ細やかに情報を教えてくれたことも大きいだろう。彼女には本当に感謝している。
 
自分の思い込みは体の凝りのようだ。凝りを確認して丁寧にストレッチして解すように、思い込みと現在の状況を確認し、丁寧に擦り合わせていく。将来、自分がここで生活していることを想像しながら。
守るものが出来ると保身に走ってしまうからだろうか。いつの間にか、頭でっかち人間になっていた。「迷っているならまずはやってみる」ことの大切さをすっかり忘れていた。それを思い出させてくれた模擬生活であった。
 
家の窓から見える上海の景色は、大型ショッピングモールや公園、高層ビルにマンション……都会的で洗練された街並みだ。けど、少し歩くとローカル感漂う低層アパートが隣接していたりする。良い意味で新旧入り混じるおもしろい街だ。
街全体から感じられる勢いが私の背中を押してくれた。
 
「私は上海で子育てできそうだ」
 
思い込みでカチコチになっていた脳みそは、柔らかくしなやかになっていた。
その年の夏に、私は娘と上海へ旅立った。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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