ハイタッチには、夢が詰まっている。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事;長尾創真(ライティング・ゼミ日曜コース)
ハイタッチが、大好きだ。
感情が高ぶって、手と手が一瞬だけ重なる。
パチン! という音とともに、喜びが弾ける。
そこには、頑張ろうという意味があったり
やったな! という意味があったり。
ハイタッチには、マイナスな気持ちがない。
だから、ハイタッチが好きだ。
特に、ハイタッチが好きになった出来事がある。
それは、大学生のときの部活に遡る。
大学生の時、ぼくはヨット部に入っていた。
日本一を目指す部活だった。
高校までサッカーをしていたぼくは素人でヨットを始めた。
日本一を本気で目指す先輩たちに憧れて入った。
小学生の頃からヨットをしている人もいる中で、
ただひたすらに上手になることを目指して努力した。
日本一になるチームで、レギュラーになって、ヒーローになりたい。
そう思って、毎日毎日頑張っていた。
でも、最初のうちはなかなかうまくいかない。
2年生のころは、悔しい想いばかりしていた。
ぼくは足が速かった。
下級生のときは、ヨットの上手さなんて対して変わらない。
でも、足が速くて、下級生の中で目立ったから、2年生からレギュラーに選んでもらえた。
周りの同期には羨ましがられながら
先輩からは期待をかけられながら、レギュラーをしていた。
でも、ヨットが下手くそなのは変わらない。
どれだけ一生懸命練習をしても、
どれだけ一生懸命考えても、結果が出ない。
大学のヨットは、二人乗りの船だ。
だから、ぼくは上手な先輩と組ませてもらえていたけれど、自分が乗る船乗る船、全部結果が出ない。
先輩は上手なのに、結果が出ないってことは、自分が下手くそなのにレギュラーになるからいけないんだと思っていた。
良い結果を収めていたペアのハイタッチを見るのが嫌だった。
「あぁ、レギュラーになんてなりたくない」
と、思っていた。
2年生の一年間は本当にしんどかった。
全然楽しくなかったし、充実感もなかった。
結果が出ないことの焦りと
同期から「なんでお前がレギュラーなんだ」という圧と
先輩からの「結果を出せよ」という圧と。
色んなことが重なってしんどかった。
もう辞めてしまいたいと思ったこともあった。
でも、なんとか続けた。
上手くなれば楽しくなると思っていたから。
上手くならなきゃ、楽しくならないと思っていたから。
なんとか、続けた。
三年生。
ついに、努力が花開く。
1つ上のK先輩と組むことになった。
いつも明るくて、いつも楽しくて、いつも笑ってて。
それでいて、内に秘める闘志は人一倍な先輩。
その先輩と、組むようになって、日に日に成長した。
部活以外の時間も集まって、2人きりでミーティングして。
自分たちの良いところや改善するところを洗い出して、できることを少しずつ広げていった。
練習の中で、確実に成長を実感した。
できることがどんどん増えた。
練習合間の休憩時間は2人で話して、大爆笑していた。
練習になるとキリッと切り替えた。
筋トレもめちゃくちゃして、体を改造した。
少しでも、うまくなれるように。
この人と、一緒にレギュラーになって日本一になれるように。
毎日毎日、考えた。
その結果、少しずつ結果が出るようになった。
レースのたびに、成績が上がっていった。
良い結果がでるたびに、ハイタッチをした。
好成績を残すたびに、ハイタッチをした。
2人の努力を祝うように、2人の功績を称えるように。
何度もハイタッチした。
そのハイタッチの瞬間は、言葉に言い表せないほどに、最高の気分だった。
そして、僕たちが日本一を目指した大会。
K先輩の最後の大会。
その最後のレースで、僕たちのペアは、全国の舞台で72艇中3位の成績を残した。
二年生のときは、地方でも勝てなかったぼくが、全国で3位になれた。
喜びが爆発した。
喜びの尾が切れたように、今までにないほどの強さで先輩とハイタッチをした。
「最高の一年だったな!」
「最高の一年でした!」
そう言い合って、最後の大会を最高のハイタッチで終えた。
ハイタッチは、最高だ。
ハイタッチに、いい思い出が全部詰まっている。
就職をして、ハイタッチをする機会はなかなか無くなった。
仕事が上手くいっても、ハイタッチすることはない。
でも、ハイタッチをするくらい努力したいと思う。
今でも、あのときのことを思い出すと、頑張ろうと思える。
夢中にやっていたあの頃。
日本一を目指して、挑戦していたあの頃。
先輩と一緒に、最高に楽しい日々を過ごしていたあの頃。
最高のハイタッチをしたあの頃のように、今も頑張ろうと思える。
だからこそ、あの時を思い出すだけじゃなくって。
これからも、最高のハイタッチができるような仕事をしようと思う。
最高のハイタッチができるような人生を歩んでいこうと思う。
***
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