リミットをはずしたら、グアテマラまで来れた
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記事:スエミツヒロエ(ライティング・ゼミ 日曜コース)
1昨年の12月25日。クリスマスの日に成田空港からグアテマラに向かって出発した。
グアテマラ。メキシコの南、中米に位置する国。古代マヤ文明の遺跡やコーヒーが有名である。が、日本から観光で訪れる人は多くないだろう。
遡ること6月、若手起業家やユニークなことに取り組んでいる人たちの話を聞くイベントが、私の住むT市で行われた。私は一人で参加したのだが、地元でこんなに刺激的な人たちと出会い、面白い話が聞けるなんて、と感動していた。
イベントの懇親会で、私は登壇者の一人であるKさんと話していた。Kさんは、20代のほとんどを、メキシコで馬を何十頭も連ねて、旅から旅へと遊牧民生活をしてきた人。写真家でもあり、自分の好きなことをして生きている。帰国してからは「デジタルヒッピー」と紹介されていた。
「Kさんは、自分の好きなことをして、仕事になってすごいですね」Kさんの話を聞いての、私の率直な感想だった。
「じゃあ、何で仕事って考えると、好きなことをしちゃいけないって考えるんですか?」逆に、Kさんから問われて、私は口籠ってしまった。
「でも、なかなか……」
「リミットを外してみることです。例えば、缶詰があって、缶切りがないと開けられないって、諦めてしまう。でも缶切りがなくても、開けられる方法はある。自分の固定概念に囚われないことです」
リミットを外す……。淡々と語るKさんは、決して、怪しい感じでもなく(これは大事)、誠実な人だった。私の頭の中で、「リミットを外す」という言葉が反芻していた。
そしてイベントの最後に、司会進行役のTさんから、Kさんの企画で、年末年始にグアテマラ・リトリートツアーがあると紹介された。12月25日から1月1日まで。同時に流された映像も魅力的だった。グアテマラの聖なる湖、アティトラン湖を見下ろす絶好のロケーション。そこでのリトリート、自分を癒す旅。最後は、世界中からヒッピー(!?)が集まるフェスに参加して、解散。
「みんなで、年末年始はグアテマラに行こう!」
Tさんの言葉で、その会は締めくくられた。
「行ってみたい!」直感で思った。しかし、年末年始に家族を置いて、旅行したことはなかった。仕事も年末ギリギリまであるし、といつものように無意識に行けない理由を探していた。
その時、「リミットを外す」その言葉が私の頭の中で弾けた。これ、行こうと思えば、行けるんじゃないか?そして、この機会を逃したら、グアテマラに行くことは難しいだろう。
「行きたい!」という気持ちを優先させた時、行けない理由は意外とつぶせていけた。
同居している認知症の義理の母がいる。でも、姉の家族に頼めば、預かってもらえるだろう。
毎年、家族と過ごす年末年始も、長女が海外留学中。一人欠けているなら、私が欠けても、いいだろう。夫と次女で過ごす年末年始もありかもしれない。
仕事だって、自分の仕事を終わらせていけば、休みが取れないことはない。
費用についても、調べてみると航空券もそれほど高くない。ツアー代金と合わせても、捻出できる範囲である。
これは、行けるかもしれない。そう考えると、気持ちが高揚して、ワクワクが止まらなくなってきた。一人でも行く気満々だったが、高校時代の親友に声をかけると、彼女も行ってみたい、ということで、トントン拍子に、ツアー参加が決まってしまった。
そして、12月25日の夜、グアテマラに着いた。
ツアーメンバーは、20代から、我々50代まで12人。バラエティに富んだ面々だ。古都アンティグアで1泊し、翌朝、2台の車に別れて、アティトラン湖畔の街、サンマルコスに向かった。
サンマルコスは、ヒッピーが集まる町としても有名で、細い路地には洋服やアクセサリーを売る露店が出ており、犬は放飼で安全。自由でのどかな雰囲気だった。
翌朝は、船で湖を渡って、対岸の町に行き、市場を見学したり、ショッピングを楽しんだりした。鮮やかな刺繍の入った民族衣装をつけた小柄なマヤ族の女性たち。香辛料や見たこともないフルーツ。市場はカラフルな色で溢れていた。そして、ノスタルジックな町並。みんなでピックアップトラックの荷台に乗って移動した。楽しかった。はるばるグアテマラで来たことを実感した。
そして、湖を見下ろす、イーグルズネスト(鷹の巣)と呼ばれる宿泊施設に移り、リトリート・プログラムが始まった。
中でも、強烈な体験と気づきをもたらしてくれたのが、ブレスワークというプログラムだった。仰向けになり、呼吸に意識を集中して、瞑想状態に入っていくもの。音楽と言葉で誘導してくれる。
私は、意識の中で、小さかった頃の自分に戻り、それから、亡くなった人たちが次々と頭に浮かんできた。そして、突然、私が大きな愛の流れの中にいることがわかった。すると、涙が自然と流れてきて、ついには号泣。身体を震わせて、大泣きしていた。嗚咽が止まらなかった。
ブレスワークの後は、身体が抜け殻になってしまったかのような疲労感とすっきりと浄化された感覚を味わった。
皆がそれぞれ違った体験と気づきを得ていた。私は、すっかり生まれ変わったような清々しさで、日本に帰った。
1月1日に現地を出発して、日本に帰ったのは時差の関係で、1月3日。駅まで迎えに来てくれた夫に、大きな愛に包まれていることを実感し、幸福感でいっぱいの私は、満面の笑みで駆け寄ったのだが、なぜか、ものすごく不機嫌な夫の様子に、いきなり現実へと、引き戻されてしまった。
という落ちがあるのだが、年末年始、私にとって最高のグアテマラの旅だったことは間違いない。
自分の中で無意識にかけているブレーキ、リミットをはずしたら、思わぬところまで到達できるかもしれない。旅も人生も一緒である。
あなたもリミットをはずしてみませんか? きっと違う景色を見ることができるはず。
***
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