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デパ地下の宝塚


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:toko(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
不要不急の外出を控えるよう求められた今年の春先の日々を通じて、どれだけ「不要不急」が自分にとって重要なのか改めて実感した人が多かったのではないだろうか。
不要不急と言われるありとあらゆることは、日々の生活をその人らしく彩るものだと思う。
趣味、と言い換えてもいいだろう。
 
私にとって、会社と家を往復する日々を彩ってくれる「不要不急」の一つは、宝塚歌劇団の舞台 を観劇することだ。約3時間の芝居やショーは、観客を漏れなく非日常へと誘い、笑い、涙し、感激の嵐に巻き込んでくれる。そして帰り道は、今目にしたものを忘れまいと同行者とのマシンガントーク感想合戦となる。
 
ああ、麗しき宝塚歌劇の世界。
 
ただ、宝塚ファンと非宝塚ファンの間には、些か深すぎるとも思える溝がある。
これは、例えばサッカーファンと非サッカーファンとの溝とは比べ物にならない深さだと感じる。
非サッカーファンの多くは、「特に応援しているチームもないし、スポーツニュースでJ1の順位くらいは知ってるかな。W杯では日本を応援してるよ!」といったスタンスかと思うが、非宝塚ファンのそれはより距離を感じさせる。
そのスタンスは2種類に分けられ、1つは、宝塚を観てみたい気持ちはあるものの、敷居が高そうで思い切れないタイプ。もう1つは、女性だけで構成される華々しい歌劇団を冷ややかな目で見ているタイプだ。
 
その両者に、宝塚歌劇団の魅力をなるべく多く伝えるべく、今日は「宝塚歌劇団は、デパ地下のお惣菜コーナーである」という持論を用いたい。
 
まず宝塚歌劇団は敷居が高いと感じられる方へ。
百貨店の地下で、お惣菜を買われた経験はおありだろうか。
もちろん日々デパ地下でお買い物をされる富裕層もいるとは思うが、多くの人にとっては 「ちょっとした贅沢」として夕飯のおかずを買う、そんな場所ではないだろうか。
 
宝塚を観劇することは、実はその「ちょっとした贅沢」に近い感覚だ。
劇場2階のB席なら、1席の値段は3,500円である。東京で一回飲みに行くより安いだろう。
そう、宝塚は1公演1回しか観劇しないのであれば、実はリーズナブルな趣味なのだ。
(但し、沼に嵌った多くのファンは、1公演につき複数回観劇する。舞台から遠い席からの観劇はオペラグラスが必須となるので、1度目はご贔屓中心に観劇し、次回は舞台全体を見る、というように)
 
また、舞台の端から端まで見渡しても、公演の最初から最後まで見通しても、「美しい人しか出てこない!」という感想は、お惣菜コーナーでの「どれも美味しそうすぎて選べない!」という幸せな悩みによく似ている。
 
このタカラジェンヌの美しさと、それに熱を上げるファンの熱意もまた、敷居の高さを感じさせる一因となっているようだ。
 
宝塚ファンの多くは、それぞれに贔屓のタカラジェンヌがいるものである。
既にスターとして活躍している生徒(=タカラジェンヌは退団するまで生徒)から、入団したての初々しい生徒まで、好き好きに応援しているのだ。
そこにファンになった早さによる優劣はない。同じ生徒を応援する者同士、その生徒の魅力を共有しながら観劇を楽しむものだ。
隣のベテラン宝塚ファンは怖くない。むしろ生徒に纏わる過去のおもしろエピソードを教えてくれる、貴重な情報源になるかもしれない。
 
せっかく宝塚という世界に興味があるのなら、ぜひ4,000円で(B席チケット代+オペラグラスレ ンタル代)そのチャンスを手にしてほしい。
たまたま隣に座った人は、宝塚の世界を存分に分かち合える友になる可能性だってあるのだ。
大丈夫、宝塚は怖くない。
 
続いて「宝塚って女同士でイチャイチャして、派手な羽背負うあれでしょ?」と冷ややかな目でご覧になっている方へ。
 
これもまた、デパ地下お惣菜コーナーを思い出してほしい。
百貨店に店を出す惣菜屋なら、必ず自分の商品に何かしらのこだわりがあるだろう。 イタリア直送の素材を使っていたり、オーガニック野菜のみを扱っていたり、秘伝のソースを使っていたり……。
それは一重に店ごとの個性やクオリティを保つための、プライドとこだわりだろう。
 
宝塚が女性だけで構成されているのも、それと同じこだわりだ。
女性のみで演ずることによって、生々しさのない男女の恋愛を描き、揃ったダンスや美しい歌を聞かせてくれる。このような劇団は、他にはない。
また女性が男性を演じるために、男役は日々男として生きる。男役10年という言葉もあり、自然に男らしく振る舞えるようになるためには10年もの時を要するのだ。
スカートを履かず、低く渋い歌声が出るよう練習を重ね、後ろ姿だけで男の色気を出せるよう、ストイックな努力を重ねている。
その努力の成果を舞台上で感じることも、観劇の醍醐味の一つ。
特に、下級生の頃から応援していた生徒が、いつの間にか押しも押されぬいい男に成長した日には、何事にも変えがたい喜びを感じる。
 
宝塚は女性同士がイチャイチャしているのではなく、男役は女性の理想としての男性像を追求し、女役は男役を立てる女性らしさを追求し、お互いの努力の結果が演技という形に結晶したものなのだ。 そしてもちろん、トップスターが舞台の最後に背負う大羽根は、華やかな舞台を締めくくるには欠かせない。
 
いかがだっただろうか。
 
この文章を最後まで読んでくださった貴方にとって、宝塚歌劇団がデパ地下のお惣菜コーナーのように、毎日は行かないけれどたまに行くとプロのこだわりを心ゆくまで楽しめるちょっとしたご褒美、そんなイメージに変わると嬉しい。
そして、実際に足を運んで観劇してもらえると、もっと嬉しい。
重ねて言うと、私の贔屓の組の舞台で贔屓にしているタカラジェンヌに注目してもらえると尚のこと嬉しいのだが、長くなるのでこの辺りにしておこう。
 
最後に、母の影響で宝塚沼に嵌った私からのアドバイスだが、宝塚を観劇するなら詳しい人と一緒に行ったほうがいい。観劇後の言葉にならない感動やもっと知りたいと思う気持ちに、100%応えてくれるからである。仲間は多いほうがいいものだ。
 
劇場を訪れた貴方に、新しく楽しい「不要不急」が一つ増えますように。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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