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記事:篁五郎(リーディング倶楽部)
紹介する書籍:「ギラギラ幸福論・黒の章」(鈴木みのる著/徳間書店)
 
 
「なあ、お前をぶん殴らせろよ。そのベルトをそこに置いていけ!」
 
「俺を誰だと思っているんだ? プロレス王、鈴木みのるだぞ!」
 
リング上で悪態をつき、笑いながら相手を殴る悪役レスラーの鈴木みのるの著書が「ギラギラ幸福論」(徳間書店・2020年)である。
 
新日本プロレスでデビューをしたのが32年前。もしかしたらこの記事を読んでいる人の中には鈴木のレスラー生活よりも若い人がいるかもしれない。何せ、今のプロレス界トップレスラーであるオカダカズチカと同じ年齢である。それを知るだけでも長い間プロレスラーをしてきたのがわかるだろう。
 
しかも単に長くプロレスラーをしてきたのではない。
 
今でもトップ戦線を走り、大会場でメインイベントを任せられるほどの存在感を出している。今年53歳を迎える鈴木が何を考えているのか覗けることができるのが「ギラギラ幸福論」なのだ。
 
鈴木は順風満帆でデビューを果たし、将来のスター候補として期待をされていた。何せデビュー9ヶ月で全盛期のアントニオ猪木とシングルで対戦をし、猪木自ら
 
「俺が鍛え上げてやるよ」
 
と声をかけるほど。しかし猪木の誘いを振り切り、社会現象とまでいわれるほどの大ブームを起こしていたUWFへと移籍。そこでもスター候補生として期待をされていた。
 
その後、先輩レスラーと色々とあって仲間達と理想のプロレス団体を旗揚げ。その団体でチャンピオンに輝き、レスラー生活の頂点を迎える。
 
しかし、その後から転落していく。首のヘルニアによる体調不良で勝利から見放される。出ては負け。出ては負けを繰り返す。
 
「あんな弱い奴早く辞めたらいいのに」
 
こんな心ない言葉も浴びせられるほどどん底まで落ちた。そこから復帰して今がある。
 
どん底まで落ちたときのの心境、そこから復活した今、何を考えてプロレスという仕事に臨んでいるのかを包み隠さずに語ってくれている。
 
例えば、40代以上の男子なら誰でも知っている悪役プロレスラーのアブドラザ・ブッチャーとタッグを組んだときのことだ。
 
ブッチャーといえば、代名詞がフォークを使った凶器攻撃。TVのゴールデンタイムでプロレス中継されていた頃から悪役レスラーとして活躍していたブッチャーは当時からベビーフェイスといわれる善玉のレスラー相手にフォークで攻撃をしていた。
 
どうしてフォークを使っていたのかをブッチャーは鈴木に話してくれたそうだ。そのときのやり取りを語ってくれている。
 
キーワードは「バイオレンス」と「イマジネーション」だ。
 
残虐性をいかに観客にイメージさせるかが悪役プロレスラーの役目だからそのためにフォークを使ったそうだ。そのとき、鈴木はブッチャーにこんな質問をしたという。
 
「じゃあ、俺はどうやってバイオレンスを見せられるんだ?」
 
その答えはこうだ。
 
「お前は大丈夫だ。あんなに嬉しそうに人をぶん殴る奴はいない」
 
そう、鈴木は悪役レスラーとしての必須条件を既に備えていたのだ。アントニオ猪木の弟子として育ったプロレスラーの中にそんな存在に育ったのは他にいない。
 
そして、今でもハードな練習をして自分よりも一回り以上若いレスラーを相手に戦っている。その理由もすごくシンプルだった。
 
「俺は今でも誰よりも強くなりたい。だから練習するんだよ」
 
どうして? 今でもプロレスの世界で新しい敵、新しい刺激を求め続けているから。NEXTを常に探すために練習をして強くあり続ける。何せ後ろ盾のないフリーのプロレスラーは弱くなったらどこからも声がかからない。
 
いつでもどこでも声をかけられるように身体を鍛えて準備をしておく。
 
ただ、50歳を超えた鈴木の身体は当然若い頃とは違う。肉体を維持するだけでも大変な労力だけど本人は苦もなくこなしている。だからこそ今でも日本国内のみならずイギリスやアメリカからもオファーが来てリングで戦い続けられている。
 
しかも鍛えているのは肉体だけではない。若い頃から気付いたことは何でもノートに書いていて何度見返しているという。
 
付き人をしていたアントニオ猪木に質問したときのこと
 
アントニオ猪木の教え
 
アントニオ猪木の立ち居振る舞い
 
練習でやったスパーリングで学んだ動き
 
もう一人の師匠・藤原喜明から教わったこと
 
プロレスに関することはもちろん、芸能活動で学んだことまで何でも書き込んでは読み返し、記憶を整理しているという。
 
「記憶なんてある程度容量が決まっていて、今風にいうとコンピュータに新しいものが入力されると古いものから削除されていくんですよ。容量っていうのは基本的にそんなに増えたり減ったりはしないから。多少はアップデートされるけどそんなに変わらないから。
 
で、本当は取り出せる記憶だって、それが整理されていないとすぐに取り出せないんだよ。だから知識って言うのはちゃんと整理して、いつでも取り出せるようにしておかないといけないんだよね。知識という本をいくらたくさん持っていても山積みにされているだけなら、それは”行動心理学”古本”でしかない。必要なときにちゃんと取り出せないわけだから。
 
そうじゃなくって、ちゃんと本棚に50音順だったり、項目順、カテゴリー別に並べる作業をしたら、その瞬間、古本が図書館の蔵書になる。頭の中でそれをする作業が絶対に必要だなって思ってね」(279~280ページより)
 
ここまで考えてメモをしている。そこまで脳と身体を鍛えているのは他でもない。
 
鈴木みのるはプロレスが好きだからだ。かつては自分の言動の矛盾を取り繕うこともしてきたが、今はそんなことを一切しない。
 
「俺はプロレスが好きだからやりたい」
 
それ以上に理由はない。だから鈴木みのるは今日も身体を鍛えて、脳を整理する。いつまでも大好きなプロレスのリングに立ち続けるために。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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