【しばらく彼氏は要らない】
記事: 烏兎匆々(ライティングラボ)
彼と出会ったのはまだ私が働き始めて間も無い時だった。
出会ってすぐに、私は彼に対し興味を持った。
それも異常なまでに。
彼が主催した江ノ島の旅で、私の心は完全に奪われる。
まさに、
「彼は私の大切なものを盗んだ」
のだ。
それから時間があれば私は彼に会いに行った。
彼は会う度に様々な表情を見せる。
時に情熱的に、時に穏やかに、いつ会っても私のことを受け入れ、楽しませてくれる。
彼はとても物知りで、私に色々な事を教えてくれる。
英語、文学、文章の書き方、写真や動画の撮り方、映画やデザイン、私はまだ彼から直接話を聞いたわけではないが、美容についても詳しく、サメについてはとてもコアな話をするらしい。漫画も文房具も落語も好きだと話していた。
けれど私は、彼自身の話を聞く時が一番わくわくしているかもしれない。
また、彼は私に素敵な景色を見せてくれる。
青い海、砂浜、欝蒼と生茂る木々と木漏れ日、満天の星空…
まだ出会って数ヶ月しか経っていないのに、彼との思い出は頭のフォルダから溢れるほどだ。
さらに、彼には沢山の友達がいた。人を惹きつける力が彼にはある。
彼のおかげで、私も沢山の人と関わる事ができた。
私も彼の友達の内の一人なのだとすれば、とても嬉しい。
私はそんな立ち位置に立てればもう十分だ。
一番ではなくても構わない。
みんなに好かれている、人に囲まれている彼に、私は心を奪われたのだから。
今、彼は仕事がとても忙しいようで、しばらく会うことができない。
彼に会えない日々は何か大切な物を失くしたような…
「胸の中がぽっかりと空いた」
とはまさにこのことなのだと知る。
本当に、彼の事を考える事に忙しい。
早く彼に会いたい。嗚呼…
恋する天狼院
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