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メディアグランプリ

それでも顔を上げて進め!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ホライゾン アキ(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
「あのさ。あなたが挑んでいる先って、そんなに簡単に攻略できると思っていたの?」
 
声のトーンに気を配りつつ慎重に、できるだけやんわりと伝えてみる。
 
「うっ……。うっ、うっ……。ううう……」
 
泣いているのだろう。音声で相手の様子が伝わってくる。
これは一体何の場面か?
私の業はキャリアカウンセリング。
これは就職相談を音声で行う時の、ここ最近よくある場面だ。
将来の夢に向かって、勇気を持って始めた就職活動であったろう。
しかし、まだ手応えを得られていないこの若者は、自分の努力に自信を持てないでいる。
 
でも、大丈夫。
私は、この人物が実は驚くほど粘り強いことを知っている。
見た目はおとなしく控えめだけど『自分なら出来る』と秘めた自信を持っている。
地味だけれど独特な『気の強さ』が垣間見えるのだ。
だから『ここまで言っても大丈夫』というギリギリのところまで試してみる。
 
「あなたは、困難な道とわかった上で、だからこそ挑戦する人でしょう?」
 
「うっ、は、はい。……(すすり泣きと沈黙)。
それはそうだけれど、頑張っても成果が出ない……」
 
「うん。今は、ね。選考はまだ3社目だよね?
ということは、まだまだ(これから)だよね?」
 
コロナ影響下の就職活動は前代未聞の『先が見えない』状況を作り出した。
求職者はおろか、企業側ですら先が見えない。
不確かな情報が交錯するばかり。
この深い霧の中で就職活動を行うことは、本当に不安でたまらず、半ば恐怖ですらあるだろう。
先行逃げ切り型でちゃっかり内定を確保、涼しい顔で過ごしている者もいることは、いる。
しかし、志望する業界で次々と選考を取りやめる会社が続出し、驚愕して立ちすくむ者もいる。
そして後者の状況にある者が、圧倒的に多い。
さぞかし心許ないことだろう。この状況に、不安にならない方がおかしいくらいだ。
 
ただ。
勝負はこの『不安にどう向き合うか』で潮目が大きく変わる。
 
つまり、こういうことだ。
町を歩いているときに突風が吹き、あなたの前方から骨の折れた傘が吹っ飛んできたら!
さあ、あなたは次のどちらのタイプだろうか?
 
まずは顔を伏せて両手で頭を覆い、後は運に任せて身を固めるか?
それとも
どの方向から飛んで来るか前をしっかり見据え、可能な限り危害を避けるべく次の動きに備えるか?
 
どちらが「間違っている」とか「正しい」という話ではない。
でも、偶然に身を委ねるか、自ら運を引き寄せるかにおいて、満足度に大きな差が生まれてしまうのは否めないだろう。
少し例えが極端だったかもしれない。
ただ、とにかく
「可能な限りの選択肢を全力で追求した方が、自分で選んだ未来として後悔がないのでは?」
ということが言いたいのだ。
 
先の若者には、不安な中でも果敢に攻める自分の『挑戦スタイル』に誇りを持つよう伝えた。
この未曾有の困難に巻き込まれてなお、ハードルの高い会社に挑むのだから、それ相応のことは覚悟の上、のはずだから。
 
とはいえ。
就職活動は、自分をさらけ出すこと。
選考に漏れる度、少なからず心は傷つく。
 
それでもひるむことなく自分の可能性を信じ続けられるか。
環境に文句を言わず、自らの力に賭けることが出来るか。
それは、非常に我慢と勇気のいることだ。
特に経験の浅い若者にとっては。
だからこそ、行動力のある己の勇気に気づいてほしいと願う。
 
さあ、今の自分を褒めていいよ。よく頑張っている。
いつの日か、この激動の時期を駆け抜けたことを笑って懐かしむ時がきっとくる!
 
しかし、なあ……学生には励ましの言葉をかけたけれど。
自分で自分のことを考えると、クスッと苦笑いしてしまう。
 
あなた、人のこと言えるの?
うまくいけば、気持ちは安泰。
だけど手応えを感じられないと、結構へこむぜ?
しかもそれが続いたら、さすがにきつい。
わかるでしょう?
 
そんな心の言葉が聞こえる。
と、いうのも。
私自身、毎週毎週、自分をさらけ出し文章を書いて投稿している。
『何もしなかった』だけは避けたいと、とにかく書いてはライティングゼミに投稿する。
しかしこれがまた、充分な手応えを感じるには至っていない。
しかも、自己満足に至った文章を投稿すると大概、手厳しい評価をいただく。
後で振り返れば至極納得のありがたいコメントに
「そうか。まだまだだな」
と、ちょっと、へこむ。
ああ。私はいまだ、自分が見えていない。
これだもの。人のことを絶対に笑えない。
 
そんな時、若者にかけたあの言葉が今度は自分にドカッと戻ってくる。
 
「あなたが挑んでいる先って、そんなに簡単に攻略できると思っていたの?」
=「あなたは簡単に出来ることに『挑戦』しているつもりなの?」
 
私は。
自分を冷徹に見つめる為に『挑戦』を始めた。
独りよがりの自分を見つめ直すために。
自分の中の情熱と冷静のバランスをつくるために。
未熟な自分を思い知ることは当然、苦い思いをすることになる。
しかし、そんなことは百も承知の上のこと。
だから『それでも顔を上げて進む』を自ら実践しなければならない。
 
そのうち、この「あ、いたた……」という痛い自分を受け止めるこの感じが、案外と心地よくなってきた。
これはきっと『挑戦』を続ける者ならではの快感というものだ!
昔憧れた『ストイックに生きる=今を目一杯生きる』ということと同じなのかもしれない。
 
若者に伝えたつもりの言葉が、気がつけば今、自分を鼓舞するものになっている。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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