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相談事って答えるのではなく、ガイドすることだと思う


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Toshiya Yamada(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「もうどうして良いかわかりません」
「何かもうしんどいです」
 
僕は会社で人事関連の仕事をしている。なので、毎日のように様々な部署の
様々な年代の人達からこんな相談を受けることになる。
 
だからといって、僕が相談に答えを出すわけではない。
押し付けられた答えには解決する力がない。答えは無限にあって、自分の答えには
自らたどり着かなければ意味がないからである。
そして、僕はそこにたどり着くガイドを行うだけなのである。
 
会社は一つの社会なので、人が集まってできている。
すべての仕事が順番どおり、予定どおりトラブルもなく進んでいき、上司、同僚、後輩が
みんな自分のことを100%理解してくれて、ある時は見守り、応援してくれる。
 
こんな事はまずない。予定は大抵、突発的なトラブルに邪魔をされ、上司はなかなか
理解してくれなし、やたら怒る、同僚はきつくあたってくる、後輩は何回言っても
同じ間違いを繰り返す。
 
そして昨今は、健康面がさけばれ残業時間も厳しく管理される。また、コロナウイルス対策での在宅勤務も増えてなかなか仕事もはかどらない。
イライラはつのり、良く眠れないし体調もすぐれない。それを家族にぶつけてしまい……。
 
以上、とても極端な例を出したが、一つ一つは思い当たる人も多いのではないだろうか。
 
これらは、僕が受けている相談をまとめると大体こんな話になるのである。
 
そんな相談に対して最初のうちは、自己流でアドバイスという名の押し付けを行っていた。表面的な話を聞いた時点で全部分かった気になって、相手が話す間も与えずに、こちらの意見を押し付けていた。
 
だから、きっとうんざりしていたのだろう。
「わかりました。やってみます」
 
言葉だけは、理解した振りをしていたが、表情は納得していないことははっきりしていた。
それでも僕は「これで一つ解決できた」と思っていたのである。
 
そんな対応をしていたある日のこと、以前相談を受けた、社員の一人から退職願が
提出されてきた。そうして彼は「ここにいたら自分が成長できる気がしない」と
言い残して他社に転職していったのである。
 
もちろん僕の面談だけが原因ではなかったと思う。でも、その時の僕は自分の力不足を強く感じたのである。
 
それから僕は、カウンセリングで聞くことを学び、心理学や哲学の本を読み漁った。
 
学んだ方法を実際に使ってみて、自分にあっている方法を探し続けた。
それでもなかなかうまくいかずに毎日を過ごしていたある日に出会ったのが、
デカルトの「方法序説」だった。
 
「われ思う、ゆえに我あり」で有名だが、これは固定観念を捨て去り、すべてを疑ってみた結果、「自分は考えている」という事実だけが疑いようもないことだったことを表している。
 
そんな方法序説の中には、「要素分解法」が紹介されている。その中でデカルトは、
 
「私が検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をより多く解くために必要なだけの小部分に分割すること」と説明している。
 
つまり、複雑な問題はそのまま考えるのではなく、一度に手が付けられる範囲に分けると
解決しやすくなるということである。
 
現代だと、ビジネス本などには普通に書かれている内容かもしれないが、その考え方の元が
400年以上も前に、言われていたことに感動したのか、まるで初めて聞いた話のようにストンと僕の中に入ってきたのだ。
 
それから、徐々に僕の相談事への対応ができあがっていった。それは、例えばこんな方法である。
 
基本的にはまずは、「話をしっかり聞く」ことからスタートする。
何回も同じ話を繰り返したり、あちらこちらに飛んだりする話を繰り返し聞くことで、
だんだんと「何を問題にしているか」「どんなことがつらいと感じているのか」と
本人ですら認識できていなかったことが形になってくる。
ここでは、できる限り小さな固まりになるところまで、問いかけを続けていく。
あくまで、話すのは本人で僕はガイド役に徹するのがポイントである。
 
そうして、出てきた固まりの中で、問題となっている部分を解決したり、少しでも改善できる状態にするために、できることはないかをいろいろな角度から質問していく。
 
そうすると、「どうして良いかわからない」と言っていた最初の状態がウソのように、
いろいろなアイデアが本人の口から出てくるのである。
 
そして、自分の中から生まれてきた言葉は強い。それを、大事に持ち帰ってもらって実行してもらう。
 
そうやって持ち帰ってもらった一人が、昇格することになりお祝いを兼ねて連絡を取ってみた。あの時の自信なげで疲れていた彼は、すっかり力強い目と笑顔をたたえていた。
 
その顔が見たくて僕は今日も相談事を通じたガイドを務めるのである。
 
 
 
***
 
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2020-09-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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