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ひつじを数える代わりに「引き算」をしたら眠れるようになった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:キムラアヤ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「明日はWEBセミナーが朝からあるから早目に寝なくちゃ」
 
慌ただしく寝支度を始めた。
 
「お風呂に入って、ゆっくり湯舟につかってあったまろう。そして、ストレッチポールをやって、疲れをほぐせばバッチリだな」
 
お風呂から上がり、床にヨガマットを敷いて、ストレッチポールに身を預けた。
コロコロ揺らしながら、身体を入念にほぐす。リラックスして眠りにつくための準備だ。
 
そろそろいい感じの身体のほぐれ感と、少しの疲労感。ゆったりとした気だるさが全身を覆ってきた。
ささっとストレッチポールを片付け、寝室に向かう。これが私の夜のルーティン。もそもそっとベッドにもぐりこむ。
 
「目覚ましかけたし、さてと、寝よう。明日は朝から頑張らないと。しっかり眠って、スッキリ目覚めて」
 
仰向けになってそんなことを考えた。
ベッドに入って30分たったかなあ。うーん、何だか眠れない。
右向いて、左向いて、うつ伏せになって、また仰向けに。ずっと、もぞもぞゴロゴロ落ち着かない。
携帯の時計を見ると、1時間以上が経っている。画面の光が強烈に眩しく、ぼんやり明けた目に突き刺さる。
なんか嫌な予感がしてきた。だんだん頭が冴えてきた。やばい、もしかしてこのまま眠れないかも。明日は絶対に寝坊はできない。
 
「寝なくちゃ、寝なくちゃ」と、どんどん焦ってきた。
 
しかし、そんな気持ちに反比例するかのように、どんどん頭も眼もギラギラとしていく。
 
「そうだ、ひつじを数えよう。ひつじが1匹、ひつじが2匹、ひつじが3匹、ひつじが……。だめだ、全然眠くならない」
 
何回100匹まで数えただろう。不思議なことに、こんな時は数えれば数えるだけ覚醒していく。
そうこうしているうちに、夜の空がぼんやりと明るくなってくる。朝日がのぼりはじめ、日の光と、鳥の声に諦めて、観念して疲れ切った朝を迎える。
 
コロナ禍になって、こんな朝を迎えることが多くなった。
この眠れない状況を何とかしたかった。
 
いつも行っている鍼灸の先生に相談した。
 
「今年の長梅雨と猛暑の影響で、自律神経が乱れているんだね。同じ悩みを持つ患者さんが多いよ。自律神経を整えるツボに鍼しておくから」
 
そういって、先生は鍼を頭に打ってくれた。そして、こう付け加えた。
 
「自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があってね。基本的に活動しているときは、交感神経が優位になってアクセルの役目をして、リラックスしているときや就寝時には、副交感神経が優位になって、心身ともに穏やかな状態にするんだよ。だから、寝る前は、副交感神経が優位になるようにするといいよ」
 
それを教えてもらった私は、寝る前にリラックスできそうなことを色々試すことにした。
 
日中の軽い運動で少しの疲労感をつくる。
シャワーではなく、ぬるめのお湯にゆっくりとつかる。
流行りの瞑想もやってみた。
そして寝るときには、「これを聞けば秒で熟睡」みたいなヒーリング音楽を流し、リラックスできるアロマも炊いた。
 
夜のルーティンに加え、作業がどんどん増えていき、いつの間にか一連の「儀式」みたいになっていった。
2週間ぐらいが過ぎ、また、鍼灸の先生を訪ねた。
 
「睡眠はどう?眠れている?」
 
「昼間には軽い運動をして、寝る前にはリラックスできるようなことを色々やっていて。でも、よく眠れたなと思えるのは、週に2日くらいです」
 
そう、こんなに副交感神経にいいだろうと思われることをやっているのに、思うように私の睡眠問題は改善されていないのだ。
精神的に特別不安になるような悩み事もなければ、押しつぶされそうなプレッシャーもないのに、なぜだろう。
唯一、心配事といえば、「もうこのまま眠れなくなるのではないか」ということだった。
 
眠れなくなって、1か月が経ったころ、とある記事が目に留まった。
そこには、眠りに入るときの特徴が書かれていた。布団に入ってから30分以上が経ってもなかなか眠れない私の特徴は「がんばり屋さん」タイプ。
 
がんばり屋さんタイプの人の改善方法は、音程の高低差があまりないない音楽を聴くか、メトロノームのような一定の音に合わせて呼吸をすること。と書いてあった。
すでに、ゆったりとした音楽を聴くことはやっている。だから、音楽をメトロノームに変えてみようと思った。
 
メトロノームのアプリをダウンロードし、「カチ、カチ、カチ」と鳴る音に呼吸を合わせてみた。
なんかいい感じだった。それでも、その日はまだしっくりこなかった。
 
「あれもやったし、これもやった。儀式も完璧なのになあ」
 
と心の中でつぶやいた。
 
次の日、昨日の夜の出来事を振り返ってみた。いい感じに眠れそうで、もう一息だったのに、何がしっくりこなかったのか。
 
「そうか、メトロノームに合わせて呼吸をしながら、「儀式」について確認していたんだ」
 
その夜から、積み重ねた一連の「儀式」をすべて止め、メトロノームのタイマーを15分にセットして枕元に置いた。そして、ゆっくりとしたリズムに合わせて呼吸を始めた。
 
気が付くと、携帯の目覚まし時計が鳴って目が覚めた。
知らぬ間に寝て、朝になっていた。メトロノームのタイマーが切れたことは覚えていないので、15分経たないうちに眠れ、朝までぐっすり眠れたのだ。
 
なんと爽やかな朝だろう。それから毎晩、私はメトロームの呼吸で、深い眠りにつくことができている。
 
ひつじを数えて、数を増やしていくことも、リラックス効果のあると言われている方法を試していくのも、全部今ある状態に、良かれと思ってどんどん足していっていた。しかし、最終的に解決できたのは、シンプルに「呼吸を整える」ということのみだった。
 
日々の生活の中で、結構足し算をして解決策を探してきたように思う。でも今回、眠れないという現象が、引き算をしてシンプルにすることを教えてくれた。
もし、何か行き詰っているときは「引き算」をしてみるといいかもしれない。自分の行動や考えがシンプルになって、余白ができる感じになる。すると、リラックスもできるし、物事が明解に見えてくるから不思議だ。
眠れないという悩みがある人は、ゆっくりと、メトロノームに呼吸を合わせてみるのはどうだろう。知らぬ間に、朝を迎えられているかもしれない。オススメだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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