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メディアグランプリ

1人前は半人前で、3人前が1人前。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:エリイ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
型化。汎用化。オペレーション化。
 
私はいつもこれらを原則に考えている。
ロボットの話だろうか? いや、生身の人間の、仕事の話だ。
 
みんな違って良い〜とか、オンリーワンになればいい〜、なんとかとは逆の話だ。
 
社会人生活10年を超える私は、その人しか出来ない属人化された仕事より、
徹底的に型化された仕組みを作る方が、価値が高い。そう思っている。
 
新卒で入った営業会社。
従業員数200名以下の、いわゆる中小企業という規模の組織だった。
社員の半分以上が営業、つまりライバルであり、さらに社外にも同じ商品を扱うライバルの他、似たような競合がたくさんいた。
既存のお客様とのお取引も維持しながら、新規顧客の拡販も目標に入っており、
ただ売れれば良いと言うわけではなく、売り上げの既存・新規のバランスも評価に含まれた。
リーマンショック後の不景気も重なり、なかなかシビアでストイックが求められる環境だったが、
「あなたの提案が気に入りました。お仕事しましょう!」
と言ってくれるお客様の声や期待に応えることが楽しく、がむしゃらに働いていた。
そうしているうちに、まがりなりにも入社4年目で一等賞をもらうことができた。
 
その会社における最も上位の目標が達成した後、
当時の上司が、
「好きなのを引いてごらん」と言って、裏返しにした5枚のカードを差し出してきた。
 
会社のデスクで、「え?トランプ?」とまごつきつつ、私はその中の一枚を引いた。
 
詳細は忘れてしまったのだが、
そのカードは営業のノウハウ本の付録品で、カードには一枚ずつ異なった”営業の金言”が載っていた。
 
「それ、あげるよ」
 
特に会話はそれだけのような記憶だったが、次の日から私はそのカードに添って行動した。
 
書いてあったのは、
 
『一人で出来る様になって半人前。
自分と同じことができる人を増やしたら、一人前。』だった。
 
一人前になった! と表彰を受けた直後に、全てを否定されるような内容のカードをもらったわけだが、
当時の私は、皮肉だとは微塵も感じることなく、素直に、ただ素直に、
目の前に「次なる目標」ができたことが嬉しかった。
 
自分に課された目標を追いながら、5人チームのリーダーとしてチームの目標数字を追った。
 
そして、金言に則っとり、分身を増やそうとした。
プレゼンやアポイントの事前準備の方法、
自分の手帳のコピーを配って予定の入れ方まで見本を示した。
 
ただの指示ではなく、どうしたら自分と同じ成果を出せるようになるか? という観点を持つようになった。
自分の目標数字だけを追うのとはまた違う、学びや工夫を積み重ねる毎日だった。
幸い、一等賞という実績もあったので、メンバーは私の話を比較的素直に聞き入れてくれ、
1〜2年後には、後輩の何人かが2等や3等賞をもらっていた。
分身をとまではいかないが、メンバーの陰の立役者として成果をあげることができた。
カードに書いてあったメッセージの価値がどんなものか、手ごたえを感じた。
 
このことがあってか、折のあるごとに
毎月200%達成できるスーパーマンが一人いるより、
全員が101%達成できるオペレーションを発見する方がすごいのではないか、と思うようになった。
個人ももちろん大切だが、会社や社会と俯瞰的な視点を持つと、なおさらだ。
 
だから、相手を蹴落とし、自分のポジションを守りながら、ただ上を目指すサラリーマン成功話には全く興味が湧かないし、
「○年後、AIに仕事が奪われる!」というキャッチコピーに恐怖を感じている人に共感ができない。
 
一方で、成果だけを評価するのではなく、
成果をあげた人のサポーターたちが輝ける評価制度を作る必要があると思っている。
 
大炎上を鎮火させるヒーローは称賛されやすいが、
炎上自体を未然に防ぐため365日監視しているサポーターは、評価されにくいからだ。
 
実は、私の営業人生は6年くらいで終わっていて、
そこから今に至るまでは、サポーター的役割の仕事に就いている。
本当に難しい。正直に言うとしんどい。
成果が出ていないのか?
見えにくいだけなのか? と、いつも不安だ。
 
時々、自分だけにスポットライトが当たるような、営業に戻りたい! という安易な衝動にかられる時もある。
自己完結で充足感を得るのではなく、客観的に数字で評価してもらった方が精神安定も保たれる。
 
でも私はずっとチャレンジしている。
自分だけでなく、自分を通して、多くの人がハイパフォーマンスを発揮できるサポートをしたい、そんな仕組みを作りたい。
 
だから冷たい人と言われようが、徹底的にオリジナリティやオンリーワンを嫌い、もっと「型」を作って行きたい。
 
それができれば、
一人への称賛が集中するのではなく、たくさんの人の笑顔が生み出すことができる、と信じている。
 
目標達成は簡単にできそうになく、時間は5年以上かかりそうだ。
あの日からずっと、迷った時は『自分と同じことができる人を増やしたら、一人前。』というフレーズで、自分を奮い立たせている。
 
会話のネタくらいになるだろうときまぐれに私に差し出した、たった一枚のカード。
 
こんなに私に思考に大きく影響しているとは知らないだろう。
営業を辞めてからは会っていない、あの上司は元気だろうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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