メディアグランプリ

これまでの楽しみを奪い、新しい楽しみを作ったコロナのバカヤロー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:万力勇之介(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
日本中、いや、世界中を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルス。感染拡大が始まってから、約半年以上が経過した現在も終息する気配は全く見えない。
ワクチンはもちろんのこと、科学的な対処法がない未知のウイルスは、これまで当たり前と思われていた、私達の日常生活も奪っていった。「テレワーク」、「リモートワーク」、「ソーシャルディスタンス」といった言葉が出てきて、行動様式として世の中に浸透していった。
 
そんな世の中が始まってから、気がつけば約半年が経過して、私の趣味であるサッカー観戦にも大きな影響があった。2月21日に2020年シーズンのJリーグが開幕したのだが、第2節が行われる予定であった2月29日から6月いっぱいまで試合が行われなかった。7月4日から一応再開されたのだが、再開してから2〜3試合は観客をスタジアムに入れない「無観客試合」という形で行われ、それから現在に至るまで観客数に上限を設ける形で試合が行われている。また、観客数に上限を設けることに加え、全座席指定、声を出しての応援の禁止、スタジアム内でのアルコールの販売の禁止、座席と座席の間に間隔を設けること、ビジターチームのファンのスタジアムへの来場自粛要請などコロナウィルス対策のため、様々な制約を設けてJリーグは行われている。
 
そのような状況になり、私の観戦環境も大きく変わってしまった。私は、F C東京というクラブを約15年応援しているのだが、去年、正確に言うと今年の2月23日まではどこであっても、行ける試合の時は多くのサポーターが声を張り上げ、旗が振り回され、太鼓が打ち鳴らされる、いわゆる「ゴール裏」というある意味サッカー観戦には不適格な場所で、「試合を観戦する」というよりも「愛するクラブを後押しする」ということに重きを置いてきた。それが、今回のコロナウイルスの影響で飛沫を防ぐため、人が密集するのを避けるために、それまで当たり前であった、「声を出して愛するクラブを後押しする」ことが出来なくなってしまったのである。
そのことを知った私は、「この状況下でスタジアムに行っても、ストレスが溜まるんだろうな」と思ったので、シーズンが再開して、観客をスタジアムに入れた状態での試合開催が行われるようになっても、最初はスタジアムに足を運ぼうという気持ちが起きなかった。だけど、実際にスタジアムに行っていたサポーター仲間に話を聞くと自分が感じていたものとは若干違うような気がしたし、仲間に一目会いたいというのもあったので、久しぶりにスタジアムに足を運ぶことにした。
 
約半年ぶりにスタジアムを訪れた私は、これまでほとんど行かなかった、フィールドを横から見る形になる、バックスタンドのチケットを購入した。コロナ禍になってから、初めての観戦だった。
大声を出したりは出来ないので、大人しく座って観ることしか出来ないのだが、オペラやオーケストラを鑑賞しているような、同じスポーツ観戦という括りで例えるとテニス観戦に近いのかなと個人的には感じた。感情移入する事は困難ではあったし、感情を爆発させることも出来ない。スタジアムの雰囲気も寂しく感じる。それがつまらないから、スタジアムに行くのは当分控えようかなと考える人も中には居ると思うし、そういう人が出てきても不思議ではないと私は感じている。しかし、そう感じつつも私はそれまで忘れかけていた感覚を思い出すことが出来た。
大声を出せない、感情を爆発させられないストレスを感じつつも、初めて友人と観戦に訪れて「サッカーはやるだけじゃなくて、観るのも楽しい」と純粋に感じることが出来ていた中学生時代を思い出した。自由席の順番待ちのために、朝早くからスタジアムに行かずに済むし、大声を出すこともないので純粋にサッカー観戦を楽しむことが出来た。また、歓声が全く無いに等しい状態なので、ボールを蹴る音、選手の声、体と体がぶつかり合う音、ボールがゴールネットに突き刺さる音など、今まで感じることが出来なかった「サッカーの音」が聴こえることが妙に新鮮に感じ、それを「これも楽しいな」と純粋に思っていた自分がそこにはいた。もっと言うと「今まで、こういった楽しみ方があったはずなのに何で気がつかなかったんだ?」と思った。
 
コロナの影響で、それまで「当たり前」と思っていたことが、仕事においても、日常生活においても当たり前ではなくなった。そういった状況に私もストレスを感じていたし、同じような感情を抱いている方も大勢いるだろう。新しい生活様式が誕生しても正直、「嫌だな」と思うことも最初はあった。しかし、何気なく取り入れてみると「案外良いね」という感じですんなりと受け入れている自分がそこにはいた。新しい生活様式に最初は拒絶反応を示すかもしれないが、慣れると案外楽しめるものだし、新しい発見もあると感じた。
いつ終息するか分からないが、終息した後もコロナ禍の新しい生活様式で得た楽しさ、発見したことを大事にしていきたいと思う。もちろん早く終息して、また今まで通り、遠方の試合に応援しに行ったり、美味しいご飯食べたり、楽しい時間を過ごしたいと思う気持ちは変わらないが…
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事