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メディアグランプリ

なぜ生まれてきたのか、息子からの学び。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:福井 聡(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「パパ、僕が何で生まれてきたのか教えたろうか?」
5歳の息子の言葉に、ドキッとして、仕事の手を止めた。
「え、うん、教えて」
どうせ、大好きなアニメの主人公に似せて、ポケモンマスターになりたいとか、そういう類だとは思いつつ、聞いてみた。
「僕はね、ママを笑顔にするために生まれてきたんだよ」
よどみのない自信あふれる言葉は、私の心にささった。
 
いわゆる社畜として働き16年が経つ。どちらかというと得意だった数学を足掛かりに、理系を選び、地方の大学に進学した。実のない4年を過ごし、就職が怖くてぎりぎりの成績で大学院に進学した。いよいよ逃げ場がなくなり就職活動を始めたが、何をやりたいのかわからなかった。ただ漠然と決めた企業への、大学推薦に落ちたことが恥ずかしくて、だれにも伝えずに、ネットで探した企業に合格して、逃げるように就職を決めた。仕事を始めた後も誇れるものは何もない。知識のなさから、上司に叱られ、部長からはもっと勉強してこいと言われ続け、年を重ねる毎に、心が廃れていく。7年我慢して、その後転職したが、状況は同じだった。ついに昨年、周りの全ての人が嫌いになり、信じられなくなり、全てが嫌になった。自分自身も。自分の人生も。これからの未来には不安しか感じなかった。
 
誰か私を助けてほしい。
 
私は運がよかった。落ちるところまで落ちた自分を救ってくれたのは、たまたま見つけたコーチングや心理カウンセリングだった。妻の渋い顔におびえながらも、自分に時間とお金を投資した。今まで縁のなかったその世界は、少しずつだが自分を変化させてくれた。
 
ただどうしても答えが出ない問いがあった。これからの人生どう生きていくか。これはイコール、何のために生まれてきたのかと同じ問いだ。自分は決して才能あふれる人間ではない。人に注目される容姿を備えているわけでもない。多くの人に好まれる性格をもっているわけでもない。ただ、これからの人生、自分なりに幸せになりたい。そのためには、何のために生まれてきたのか、その答えを見つけることが幸せにつながると思い、ずっと探し求めていた。
 
息子の言葉で仕事の手を止めた私は、何が自分にささったのか、むしょうに紐解きたくなった。少し考えてみることにした。
 
一つ目は、なぜこんな小さな子が、生まれた目的を考えているのか。
小さな子供のなぜは知的好奇心からくるそうだ。息子の言葉も、おそらくその延長だと思う。ただ私が感じた面白さは、”生まれた目的”が、子供が興味を持つほど、身近でわくわくする話題だったということだ。なぜ月は丸いのか、なぜ鳥は空を飛べるのか、それと同じくらい身近だと、子供は感じたのだ。それほど身近なことを、私たち大人は、答えを出そうとしないどころか、見てみぬふりをして話題を遠ざけてしまう。しかし、全員そうというわけではない。生きる目的を見つけて、真っ直ぐに生きている人も多い。自分の声で悩む人を無くしたいという目的でボイストレーナーをやっている人、英語を楽しむ人を増やしたいという目的で英語コーチングしている人など、自分の目的に向かって生きている人たちがいる。その人たちに、ものすごいエネルギーを感じる。子供は、”生まれた目的”を知ることが与えてくれる、エネルギーが持つ力を、わくわくとして無意識に感じ取っているのではないだろうか。
 
二つ目は、生まれてきた目的が、自分がなりたいものでなく、他人の姿(ママを笑顔にすること)であることが興味深い。小さな子であれば興味を持ったキャラクターや、正義の味方の警察官や消防士などに憧れ、そうなるために生まれてきたと思ってもいいはずだ。しかし、”ママを笑顔にするため”というのは、おそらくママが自分を見て笑ってくれるのが純粋に大好きなのだと思う。自分が何かをやって喜んでくれる笑顔、そこから自分が他人に貢献できている感覚が、キャラクターを上回るほど心を温かくしてくれ、それを無意識に感じ取っているのだと思う
 
三つ目は、言葉に込めている自信である。真っ直ぐで純粋で、もうそれ以外の答えはないと言い切れる自信は、もろに心にささる。私たち大人は、どれだけのことを言い切れることができるだろうか。おそらくではあるが、余計なことを考えるだけの知識や、心を覆いつくす不安、そういうものがなく、ただぽっかり空いた心のポケットで、自分自身の素直な正直な気持ちを受け止めている。これがよどみのない自信につながっているのではないかと考えている。
 
自分は何のために生まれてきたのか。
 
私は、もしかすると考えすぎていたのかもしれない。他人にはなく、自分にあるものは何か探したり、自分は何が得意なのか探したり、そういうことばかりを続けていた。実はもっと単純で、大事なことは、不安でぎゅうぎゅうに詰まった自分の心のスペースを、大きく広げ、好きという気持ちを正直に感じることができるポケットをつくること、誰かのために自分ができていることに目をむけ、そこに幸せを感じること。そういうことが、自分が生まれてきた目的につながり、自分を幸せにする道かもしれない。ありがとう息子よ。パパは学んだよ。
 
《終わり》
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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