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メディアグランプリ

フリーマーケットの楽しみ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中村 光昭(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
フリーマーケットに行くのが好きだ。服はもっぱらフリマの古着。考えられないほど安く買えるのが良い。妻は人の着たものなんか着たくないと言うが、僕は全く気にしない。300円ぐらいのTシャツと短パンが夏の定番のアイテム。着古したTシャツは味があって好きだ。リサイクルで環境にも優しい。
 
フリマで買ったことがある人の人口はどれぐらいなんだろう? ガラクタばかりでロクなものがないと思っている人も多いのではと想像できる。行ったことがない人は1度行ってみてはいかが? 案外、行かず嫌いだっただけで、楽しめるかもしれない。
 
大きいフリマになると様々なアイテムが揃っているので見て回るだけでもそれなりの時間がかかる。そこでお勧めの回り方がある。まずはザーッと流して会場を一周する。雑多なものが並べられているが、ブースの特徴は大体わかる。そこでじっくり見たい所をチェックしておいて、ひとまわりした後に訪れじっくり商品を見定める。ひとまわりする途中で朝一で人が群がるところがある。そこは迷わず突入する。良いものが多く、争奪戦のブースだ。
 
フリマは宝探しの感覚がある。目利きゲームのようだ。でも、たまに安いからと使わないものを買ってしまうことがある。家に持って帰っても使わないので、邪魔になるだけ。妻に文句を言われ、そのまま借りているコンテナルームに行くことも少なからず。しかし、最近は便利なもので、買ってしまったが、どう考えても不要なものはメルカリで売ることができる。それも買った時より高い値段で売れることもある。ある時、カメラを5千円で買ったが、似たような性能でもっと新機種を手に入れたので、メルカリに出したところ1万円で売れた。メルカリは自分の目利き力を試すことができる。相場感を勉強する場に良い。
 
フリマではプロの方達が大勢いるので気をつけたい。どこかで仕入れてフリマで売る。このような所は品物は揃っているが若干高い。プレミアム価格の物もある。僕は個人で使っていた物を売りにきている人から買うことをお勧めする。不要品で持って帰りたくないので、タダ同然の値段を提示してあることが多い。利幅は取りじゃないので、価格に下限がない。
 
僕が常連でよく買ってあげている人がいる。もう70過ぎの老人なのだが長身でお洒落でカッコいい。元アパレルのバイヤーで、服が好きで自分用に買った服が大量に家にあるらしい。もう良い歳なので少しずつで処分しているそうだ。いわゆる終活。奥さんからは愛想を尽かされていて、別居されているので、今は気ままだと言っていた。バイヤーをやっていただけのことがあり、ブランド品で良いものが揃っている。それも自分が着ていたものを売っているので、商品のことをよく知っている。これはどこで買った物だとか思い出話に花を咲かせる。処分するのが目的のため、常連の僕には安くしてくれる。そんな時についつい大量に購入してしまう。
 
ある日のことである。
 
「このセーター良いですね」と手にとって興味ありげに尋ねる。
 
「これは僕がスウェーデンに行った時に買ったもので、すごく高かった。品質が最高なので、古いけど、しっかりしているよ」といつもの調子で僕の購買意欲を誘う。
 
「そうですね。ひと目見て良いものとわかりますよ」「いくらになります?」と僕は安ければ買うオーラを出して尋ねる。
 
「高かったけど、いつも買ってくれるから2千円でいいよ」と気前良く、僕の想像より安く提示してくれた。ただそのまますんなりと買うことはしない。
 
「こっちのジャケットも買ったら、2つでいくら?」合わせ技パターン。
 
「じゃあ、2つで5千円にするよ」と個別に買うよりだいぶ安くなった。
 
フリマでは良く使われる手段ではあるが、この日はもう一押しした。
 
「その自転車も売り物なの?」と横に停めてある「GIANT」の自転車を指差す。
 
「もう乗らないから売ろうと思って、6千円でいいよ」と定価は6万円ぐらいのロードバイクだったので、これはお買い得。
 
「じゃあさっきのと合わせて1万円ではどうだ」と波状攻撃をかけた。
 
「仕方ないなー いいよ」との返事。さらにそこにあるTシャツも数枚持っていって良いよとオマケまでくれた。
 
フリマでのやり取りはウィンウィンの妥協点の探り合い。ただ、過度な値引きは要求せず、だいたいこれぐらいなら納得してくれるだろうとの距離を図る。信頼関係を築くの重要で次につながる。次はいついつに来るよと言ってもらえれば相手も満足した取引ができた証である。
 
後日、この老人と会った時に自転車は他の人も目をつけていて、6千円で売っちゃったと言ったら残念がっていたそうだ。そう言われるとお買い得で買えたんだと僕も嬉しい。ネットでのやり取りより、顔が見えるの分、表情がわかる。機嫌が良い時は会話も弾む。その日の天気や売れ行きで値段も臨機応変になる。フリマってコミュニケーション力を養う場になる。ネットとは違ってフリマは買いたいものがなくても行けば掘り出し物をみつけらる確率が高い。そして最大の魅力はその日に持って帰れること。
 
今年はコロナの影響でフリマは開催中止が相次いでいた。あの老人ともずーっと会えていない。元気にしているのだろうか? ご高齢なのちょっと心配している。もしかして、こんなご時世、奥さんと仲直りして、楽しく暮らしているかも。9月に入り、フリマは徐々に開催され始めた。自粛で、いらない物で溢れる家に気付き、処分される物も増えることだろう。再会したてのフリマが狙い目かもしれない。
 
そして、あの老人とフリマで再び会うのが楽しみである。
 
《終わり》
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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