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牛のしっぽと祖父の遺言


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:北林健児(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「おじいちゃんはいつもいってたのよ。
『小さくてもリーダーであれ』とね。」
 
それは、私がまだ小学生か中学生のころ
おばあちゃんから聞いた話でした。
 
中国の故事に、
 
「鶏口となるも牛後となるなかれ」
 
という言葉があり、
それがおじいちゃんの座右の銘だったのだとか。
 
たとえにわとりのように小さくとも
そのくちばしの先のような存在であれ。
 
たとえ大きな牛の一部であろうとも
その尻尾のような存在であってならない。
 
これが、この故事成語の一般的な解釈だと思いますが
 
その言葉どおり、
戦後、中国から復員した祖父は
日本の復興に伴う経済成長の波にのって
小さな会社を始め、孫の私から見れば
それなりに成功して幸せだったであろう
生涯を全うしたのでした。
 
まだ開発がはじまる前の郊外に土地を買い
松を植えた大きな庭を楽しみながら
週末には接待ゴルフに行き
高度経済成長を謳歌したようでした。
 
思い出すに、大きなものに巻かれるよりも
自分なりの人生を生きろという
教えをその背中で見せてくれた人でした。
 
なぜ、おばあちゃんが、この言葉を
私たち孫に伝えたかったのか
よく覚えてはいないのですが
 
果たせるかな、私はその精神を
受け継ぎましたよ、と
いまなら天国の祖父に言うことができます。
大企業含む勤め先で働いたのち
30代後半で私は個人事業主として
フォトグラファーになりました。
 
でも、最近気がついてしまったのです。
 
「鶏口となるも牛後となるなかれ」
この言葉は、残念ながら、
世の中の全てを語っているわけではないな
ということに。
 
いや、よくよく世の中の事象を観察してみると
実は、時と場合によっては、大きな牛のちっぽけな尻尾になって
牛の大群についていったほうが、いいことばっかりではないのか。
 
世間でコロナの影響を受けて激しい浮き沈みに
翻弄されているいろいろな業界を見るにつけ
そんな思いを強めざるをえません。
 
たとえばコロナで売上爆上げのビッグウェーブが
きている業種には様々なものがありますが、
 
そのうちの一つが
フードデリバリー業界だと言えるでしょう。
 
ある日系企業の公式HPを見ると、
市場が急拡大していることがよくわかります。
しかも、親会社の有名IT系企業が300億円もの出資をしたとのこと。
 
競合の外資系企業も毎日のように話題を提供しています。
そうかと思えば、フィンランド籍の企業やシンガポール籍の企業が
新たに日本国内に殴り込みをかけるというではないですか。
 
だからといって、私のような弱小な個人が、
ITのスペシャリストであるはずもなく
そういったフードデリバリーアプリを開発することは
能力的にも時間的にも不可能。
つまり、巨大な「牛」になることはできません。
 
でも、牛の尻尾くらいになら、なることができそうなのです。
それがいったい何かというと。
 
フードデリバリーの配達員でしょうか?
いや、失職した人の登録が増えていまやなかなか稼げないとも
まことしやかに噂が聞こえてきます。
 
実は、日系や外資系企業の参入が相次ぐ
フードデリバリーが急拡大したことにより
そのビッグウェーブを受けて増えている業種があります。
 
それが、フードメニューの撮影なのです。
 
よく考えてみれば当然ですよね。
 
コロナで激減した売上を補填するべく、
多くの飲食店がフードデリバリーを始めています。
 
レストランが、注文者をつなぐプラットフォームに
登録して、注文を受けるためには、
お店のメニューを最大限美味しく見せるような
写真が必要になってきます。
 
しかも、経営学の理論によれば
拡大する市場にこそ多くの会社が参入する
といわれています。
 
過去を振り返れば
20年前は携帯電話の製造が花盛りでしたが
市場の成熟にともなって製造業者も淘汰されていきました。
 
あるいはコンビニエンスストア業界。
店舗数を拡大するだけ拡大したものの、
20年前あった社名の多くが吸収合併や買収により
消えていきました。
 
市場の成熟にともなって
吸収されたり淘汰されるものの
そこに至るまでは多くの企業が参入するのが
市場の成長期における特徴。
 
これを頭にいれておくと
現代のフードデリバリー市場は
まさに拡大期にあることがわかります。
 
そんなわけで、
いまから飲食店を始めるのは難しいにしても
フード撮影という周辺分野の需要は高まることが予想されます。
 
昔、アメリカ西部はその開拓時代、
ゴールドラッシュで一番儲けたのは
ツルハシを売った業者だったという話がありますが
 
どうも似たような話が現代でも成り立つようです。
 
ちっぽけなフォトグラファーとして
フードメニュー撮影に商機を見出せる。
 
これって、巨大な牛のあとをいくような
ものではないでしょうか。
 
牛か鶏かの二者択一なのではなく、
ちっぽけな個人であろうとも
巨大な牛が闊歩するあとをいくだけで
フード撮影という新たな成長分野を
モノにすることができる。
 
私は、おじいちゃんの遺言を現代風に解釈しながらも
自分の道をすすもうと決意新たにしたのでした。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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