「追い詰められたおじさんが、青年から学んだコロナ禍でも前へ進む方法」
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:佐野 タケヒロ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「なぜ自分はこんなにもダメなんだ!」
その青年は自分自身を見つめ直していた。
なぜならば、よい結果が出てなく、
今後どうすればよいかわからなくなっていたからだ。
その青年は平均点以下の自分の成績を見て
頭を抱えていた。
あまりにも結果が出ないので、親からの遺伝のせいにした。
また、優れた他人と自分を比較して、至らない自分を責めた。
知人に役に立つよと言われた書籍をそうか! と言って購入し、流された。
しかし、さすがに長く結果が出ないと、他責、比較、書籍、このようなことも、よい結果を出すためには意味がないと思うようになっていた。
その青年は、小学校の先生を目指していた。
なぜならば、小学校1年生のときの担任の先生がとても面白かったからだ。
自分たちに面白い話をして、たくさん笑わせてくれた。
自分も小学校の先生になって、あのときの先生のように面白い授業がしたい。
生徒に面白い話をして、たくさん笑わせたい。
そんな想いで小学校の先生を目指した。
しかし、現実は甘くなかった。
現役時の受験では、足切りで2次試験が受けられなかった。
1浪時の受験では、2大学とも2次試験まで進めたが、いずれも不合格だった。
「なぜ自分はこんなにもダメなんだ!」
その青年は自分自身を見つめ直していた。
よい結果が出てなく、今後どうすればよいかわからなくなっていた。
そんな期間が長く続いたが、しばらくして、開き直った。
「今の自分を受け入れよう!」
いままでは周囲を意識ばかりしていたが、ようやくこの自分というものに目を向けるようになった。この至らないと思っている自分が、何をすれば少しでもよい結果に近づけるのかを考えるようになったのである。
この感覚はその青年にとって新鮮なものだった。
そして、その青年は、他から見れば、当たり前だと思うことを決断した。
例えば、予備校の授業における数学の場合である。
・自分がテストで解くつもりで、授業中はしっかりとノートをとる。
・わからない箇所は、授業後に先生へ質問する。
・授業後は、自習室で解答を見ないで、テストだと思って解く。
・それでも解けなかった場合は、解答が書いてあるノートを見てもよいが、
理解できたら、解答を見ないで解く。
・以上を毎日やる。
「最低このくらいだったら、できる」
その青年は、その後、自分が決めたことを毎日やり続けた。
「こんなことで、結果が出るのか?」
そんな不安も出てくることはあった。しかし、しばらくは自分の決めたことをやり続けようと思いを込めた。
その後は、授業でやった問題を見ないで解けるようになるまでは時間がかかった。3回解答を見ても解けないことがあった。
「今の自分を受け入れよう!」
またそう思い直して、自分の決めたことを続けた。
しばらくすると、1回解答を見れば、解けるようになった。
またしばらくして、授業でやった問題は、その後解答を見なくても解けるようになった。
「あたりまえだ。授業でやった問題なんだから!」
そんな疑問も浮かんだが、いままではそれすらもできなかったのだ。
他から笑われそうだが、それが自分なのだから仕方がない。また人と比較しはじめようとしたので、自分を戒め、決めたことをやり続けた。
その後、成績は少しずつ向上していった。
それよりもその青年は問題が解けるようになっていることに喜びを感じていた。以前は問題が解けない自分にもんもんとして自分で自分を責めたりしたが、いまは問題を解いている自分が嬉しかった。
そして、またしばらくすると、初めて見る問題でも解けるようになっていた。
「もっと早く気づければ、よかった」
そんな後悔もしたが、それもまた自分だからと受け入れた。
気づくのが遅い自分も受け入れようと思った。
その後、その青年は大学に合格した。
やり切った感じがした。
現状の自分を受け入れ、
自分の特徴を把握し、
自分ができそうなことを決めてやり続けた。
そして望む結果が出た。
あれから約30年以上たった。
最近、当時の青年時代のことをよく思い出す。
当時の青年時代の境遇と、今の境遇が似ている。
「コロナのせいだ!」
そう思いたかったが、コロナのせいではない。
そもそも以前から自分のビジネスが停滞していた。
ビジネスがうまくいっていない上に、コロナ禍が起こり、
にっちもさっちもいかなくなった。
ある書籍で「看脚下(かんきゃっか)」とう禅語を知った。
自分の足元をよく見なさい、という意味である。さらには、外の世界にあれこれを求めるな、誰でも生まれながら持つ「本当の自己」に目覚めよ、という意味だ。
自分が青年時代に気づいたことと似ていると感じた。
今の自分を受け入れ、
今の自分の特徴を把握し、
今の自分ができそうなことを決め、やり続ける。
今またそれをしようとしている。
あのときの青年のように。
そんな今の自分をまた信じて、前へ進みたい。
***
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