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「健全なる精神は健全なる身体に宿る」街、延岡での生活が始まる


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記事:樋野敬太(8月開講ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「いやいや延岡、なんでもあるやん!」
 
私が延岡を始めて訪れた時の感想だ。そして頭に浮かんだ言葉。
 
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」
 
話は半年前にさかのぼる。その頃、私は転職活動をスタートさせた。もっと前から考えてはいたのだが、コロナ禍が起き、世の中が大きく変わりだした。私も在宅勤務を経験し、働き方だけでなく、一人ひとりの生き方さえも新しくなっていくことを肌で感じた。
 
「新しいこと始まる時代、新しい船に飛び乗ってみたい」
 
そんな思いで人生のチャレンジが始まった。
 
話には聞いていたけれど、転職活動ってそんなに簡単なものじゃない。大学時代の就職活動では、たくさんエントリーしてたくさん落ちた。今回は何社かエントリーして何社か落ちた。
 
たくさんの中の一発は軽い。でもいくつかの中の一発は重い。
 
「ポストがなくなったからしょうがないですよ。」「相手側の期待していた経験値が高すぎたんです。」
 
そのたびに慰めの言葉をかけてもらい、ヘロヘロのなりながら、とある会社からオファーをいただけそうなところまでたどり着いた。
 
「わが社としては入社してもらいたいと思っています。勤務地は延岡ですが大丈夫でしょうか?」
 
確かにそれまでの面接で、地方勤務の可能性をほのめかされてはいた。その度に「はい、大丈夫です!」と答えていたが、
 
「数日お時間をいただけるでしょうか?」
 
いきなり突き付けられるとビビってしまった。
 
何のゆかりもない延岡という場所に漠然とした不安があった。
でもよーく考えると、仕事はある、自然もある。ご飯はおいしそうだ。家族が「うん」と言ってくれれば、ほぼノーリスクじゃないか。
 
幸い家族も同意してくれて、延岡移住が決まった。
 
周りに延岡に移住することを話すとみんなの反応はこんな感じだ。
 
「決まってよかったね。この時期の転職活動、大変だったでしょ」
「うらやましいな。俺も転職したいよ」
「九州って地元だったっけ?なんで行くの?」
「あらあら、ご家族一緒なの?大変だねー」
 
転職することは応援してくれているが、彼らにとって延岡に行くということは大変なことらしい。首都圏で働いていると、都心を頂点として距離が離れるほどハズレみたいな雰囲気で会話が進むことがある。
 
九州なんて都心から離れた何もない場所を選ぶということのようだ。
 
勤務開始を前に、家探しに延岡に行くことになった。空路、宮崎空港に降り立ち、そこから特急電車で1時間とちょっと、海岸線に沿って北上する。車窓からは延々と水平線が見える。
 
「おいおい、こんな光景、都心じゃ見れないぞ」
 
延岡駅に降り立つと、まさかのスターバックスと蔦屋書店がお出迎え。
意外な出会いにショックを受ける。
 
「いやいや、逆に都心でもこんなのって見れないぞ」
 
1日延岡散策すると、もう期待したものがわんさか見つかった。
 
海がある。底まで見えるほどキレイな川がある。山がある。おいしい魚と安い食材がある。土地は広くてどの道にも歩道がある。そして人の心に余裕がある。
 
都心に住んでいるときに、欲しかったものがそこにあった。
 
さらに、街にはイオンがあり、生活に必要なものはすべてそこで買える。
 
首都圏はこのコロナ禍で完全に自粛ムードだ。人口密度が高い分、どこに行っても自粛ムードが体に吸い込まれてしまう。
 
その点、延岡は自粛ムードはしっかりとあるが、人がまばらなので息を吸って大丈夫。大自然の空気がちょっと中和してくれる。
 
吸い込んだ空気を吐き出すときに出てきた言葉が
「いやいや延岡、なんでもあるやん!むしろ都会よりなんでもあるやん!」
そして
「『健全なる精神は健全なる身体に宿る』っていう言葉がぴったりの場所やな」
だ。
 
大自然とおいしい食事。そして人の心の余裕。そうした場所で生きるからこそ、健全な体と心が育まれるんだと思えた。さらに、もう一つ偶然の一発見があった。
 
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」は、古代ギリシアのデキムス・ユニウス・ユウェナリスという詩人が残した詩の中にあるフレーズらしい。そして「健全なる精神」はギリシア神話の英雄、ヘラクレスの精神にたとえられているそうだ。
 
一方、私が吸い込んだ空気は延岡から見える山の奥、高天原(たかまがはら)由来である。日本神話によると天照大神の孫、邇邇芸命(ニニギノミコト)が降り立った場所とされている。
 
どうやら私の感性もあながち間違ってはいなかったらしい。
色々あったけれど、これから延岡で健全なる生活が始まる。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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