メディアグランプリ

ポンコツ主婦は世界を救う


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記事:若林 徳子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「振込したいのですが・・・・・・。」
 
「本日、通帳と印鑑はお持ちでしょうか?」
 
「通帳はこれで、はんこはこの中のどれかだと思います。」
 
「・・・・・・。」
 
これは、ポンコツ主婦の銀行でのやりとりである。
 
そう、私はポンコツ主婦なのだ。
自分自身がポンコツだと気づいたのは、結婚して20年以上が経ったつい最近である。
 
自分で言うのも何だが、私は完璧主義だ。
学生の頃から成績は学年○番でなければ納得いかなかったし、アイロンがかかっていないハンカチを持ち歩くのも恥ずかしいと思う人間だった。
 
「人間だった。」すでに過去形である。
 
できない人と思われるのが一番嫌で、私の中では恥ずかしいことだった。
なので、常に確認は欠かさなかったし、何においても100点でなければ気が済まなかった。
 
結婚してからも、彼には一切家のことは任せてはいられない。何でも私が決めているから完璧にことが進んでいるのだと勘違いしていた。
 
私も人間である、失敗することも、抜けることもある。
それをずっとフォローしてくれていたのが、彼だったのだ。
このこともつい最近気づいたのである。
 
冒頭の銀行でのやりとりに戻ろう。
我が家には、はんこをまとめて入れてある箱がある。
いくつか使用重要度ではんこを変えているのだが、それが全部入っているのだ。だから、彼か私のどちらかが、はんこを捨てない限り絶対にその箱の中に入っている。これぐらいは私だってわかる。捨てなければそこにあることぐらいは。
銀行のATMでの振込限度額を知らないため(← 主婦としてこれもどうかと思うが)毎回、窓口のお世話になるのだ。
ご存じの通り、窓口では印鑑と通帳が必要となってくる。
 
その結果、毎度毎度、冒頭のような会話が繰り広げられるのである。
 
どの通帳と、どのはんこがセットなのかいつまで経っても覚えられない。
私の担当になったお姉さんは大変だ。
一つ一つ、はんこを押しては、丁寧に調べてくれる。嫌な顔ひとつせず、本当にありがたい。
 
帰宅後、毎回このことを彼に報告する。
 
●通帳とはんこの組み合わせが難しいこと
●毎回箱ごと持っていかなければならないから荷物になること
 
見かねた彼が、通帳とはんこに番号を振ってくれた。
「同じ番号のセットを持っていけばいいからね。」って。
そして、こうも付け足した。
「絶対に、一緒に落としちゃダメだよ。番号が振ってあるのだからね。」と。
私には落とした経験があるからだ。
 
これ以来、銀行窓口でのやりとりは解消され、荷物問題も解決されたのである。
 
こんなことは序の口で
段ボールの間に請求書を挟んだまま捨てようとしたり
(もちろん彼が、請求書を救い出してくれていた。)
 
ティッシュの箱をたたまずにそのままゴミ箱にぶち込む。
(彼がたたんで捨て直してくれる。)
 
家のカーテンもサイズを測らず購入するため、ピタッとはまったためしがない。(今は、彼の役目である。)
 
いくらでもある。
私がすること全て、この人本当に大丈夫? と思われるような日々なのだ。
 
皆さんはお気づきであろうか?
もう、ここまでくるとのろけである。
これから大切なことを書いていくから
「のろけかよ!」と思わないで続けて読んで欲しい。
 
夫婦円満で旦那様に長く愛されるコツは、自分がポンコツでいることだと私は思う。これは私が身をもって経験したことだ。確信できる。
「旦那様に愛される」というのは、かなりポジティブな見方で、呆れられているのかも知れない、だが、夫婦円満でと言うのは確かである。
 
大人として何をしでかすかわからず
一般的な主婦として、知っていてもおかしくないことも知らずに生活している
結婚生活20年以上経つにも関わらず・・・・・・。
危なっかしさマックスの人間が一番近くで生活しているのである。
そりゃ、彼としてはハラハラが止まらない。
次は何をしでかすか?
次は何を聞いてくるか?
 
長年、一緒にいることで、嫌でも彼の脳にこう刷り込まれるのだ。
「こいつに任せていたらダメだ。」
「俺がいなきゃダメだな。」と。
 
そうなってくると、基本、何をやっても許される。
主婦としては楽である。
少々、料理の味付けが変であろうと、ティッシュと一緒に洗濯物を回そうと、パンツをコインランドリーに置き忘れようと。
彼にとっては想定の範囲以内で、驚きも怒りもしないのだ。
 
20代の女の子が読むような雑誌に書いてあったが
愛され女子になる第一歩は、「俺がいなきゃダメだな。」と思わせることなのだそうだ。
歳を重ねると、「愛され」が「呆れ」になるかも知れないが、平和に日々を暮らせるならそれでも良しとしよう。
 
家庭円満を目指す主婦は、ポンコツになれば解決するだろう。
現に我が家は円満である。
20年以上、けんかというけんかをしたこともない。
彼に対しても健康でいてくれさえすればそれでよい。
 
家庭円満は、社会の平和につながる。
そして、社会が平和であれば、世界平和も夢ではないのだ。
世の主婦の皆様、ポンコツになって世界平和を目指そうではありませんか!
 
これでポンコツ主婦の書信演説を終わります。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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