図書館へようこそ!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:つるみふみ(ライティング・ゼミ特講)
「ご案内しましょうか?」
わたしは、図書館に勤めている。図書館のカウンターに座っていると、様々なお尋ねを利用者の方からいただく。すぐに声をかけてくれる方もいれば、キョロキョロと辺りを見回しながら考えている様子の方もいる。そんな方には、こちらから声をかけるようにしている。
図書館というと、あなたは何を思い浮かべるだろうか?
あなたは、図書館で何ができるか知っているだろうか?
え? 図書館って本を借りるところでしょ?
もちろんその通りだ。図書館では、本を借りることができる。他にも子ども向けの絵本の読み聞かせや読書会、ビブリオバトルを主催している図書館もある。最近では、ボードゲームやTRPGなどのイベントを企画する図書館も少なくない。
だが、図書館でできることはそれだけではない。
図書館には、たくさんの本がある。その本の中には、インターネット上では集めることのできないような情報が載っていることもある。図書館では、それらの本を使って調べものをすることができるのだ。
……いやいや、そんなの言われなくたってわかってるよ。
そんな声が聞こえたような気がする。
とは言え、考えてみてほしい。
あなたは、数万冊ある図書館の蔵書の中から、自分に必要な情報を果たして見つけ出すことができるだろうか?
たとえ、見つけ出すことができたとしても、時間がかかってしまってはいないだろうか?
何か調べものをしていて、自分の知りたい情報の載っている本が見つからない、あるいは何を手がかりに探していいかわからない、そういうときは図書館員に声をかけてみてほしい。
でも、図書館員って本の貸出と返却をしてくれるだけでしょ?
たしかに、図書館員は本の貸出返却の手続きをする。しかし、それは図書館員の仕事のほんの一部でしかない。図書館員の仕事は多岐に渡るが、その多くは「調べもの 」だと言っても過言ではない。図書館員は「調べもののプロ 」なのだ。となると、せっかく何かを調べるために図書館に来たのであれば、これを利用しない手はない。
図書館での調べもののサービスは「レファレンスサービス」と言われる。大きな図書館であれば、専門のカウンターがあるのでまずはそこを尋ねてみるといいだろう。「調べものをしたい 」というと、そちらを案内してくれるはずだ。
レファレンスサービスは、図書館員からのインタビューで始まる。
どんなことを知りたいのか、どこまで知っているのか、ここに来るまでにどんなことを調べたのか……そう言った内容を図書館員は聞いてくるだろう。これを少し面倒だと思う人もいるかもしれない。だが、ここを丁寧に答えることで、あなたが知りたい情報をより正確に的確に得ることができるのだ。ちょっとだけ我慢して答えてほしい。
インタビューが終わると、図書館員はあなたから得た情報を元にあなたの求めることが載っている資料を探してくれる。返事はその場でもらえることもあれば、後日回答になることもあるだろう。あなたが思っているよりも時間がかかることもあるかもしれないが、必ず回答はもらえる。
回答は資料を以って行われる。図書館員が利用者の質問に答える際には、何かしらの資料を提示して回答を行うことが基本だ。そのため、「あなたの質問は〇〇という本の○ページに載っています 」ということを資料を示しながら教えてくれる。しかも、資料はたいてい二種類以上を使う。これも図書館員のルールの一つだ。複数の資料を使って回答を提示する。複数の資料に載っていることは信頼性が高いからだ。そして、回答に至るまでの手順を教えてくれるだろう。
ここで一番大切なのが、回答に至るまでの手順だ。
図書館員は、図書館にある本の内容を全て把握しているわけではない。当たり前だ。数万冊にのぼる蔵書の内容を全てわかっているとしたら、その人は神かもしれない。ただ、図書館員はどの本にどの分野の内容が載っているかを知っている。何より「調べ方 」を知っているのだ。
わたしは、調べものの案内で一番大切なことは「次に何かを調べに来たときに自分で調べることができるように手助けをすること 」だと思っている。もちろん、お尋ねがあればわたしたち図書館員は、質問に対する回答を導くことができる。だが果たして、それはあなたにとって良いことだろうか?一番あなたにとって良いのは、あなた自身が「自分の手で調べることができるようになること 」だと思う。そのためには、回答に至るまでの手順……つまり「調べ方 」を学んでもらう必要があるのだ。あなたが、自分で調べることができるようになるまでのお手伝いが図書館員の仕事なのだ。
図書館員の仕事は、自転車の補助輪のようなものかもしれない。あなたが、自分自身で調べものをすることができるようサポートをしてくれる。自転車に乗れるようになったら補助輪がいらなくなるように、あなた自身で調べることができるようになれば図書館員のサポートはいらなくなるだろう。
一度調べ方のコツが分かれば、次に何か調べものをしに図書館に足を運んだときには、よりスムーズに、自分自身の手で必要な情報を得ることができるだろう。そうなると、あなたの調べものにかかるスピードは、かなり短縮されるに違いない。そして、どこまでも広がる本の情報の間を、あなたはスイスイと走り抜けていくことができるようになるだろう。
これからますます情報化が進んでいく。図書館を上手く活用して、あなた自身の手で信頼できる情報を掴んでいってほしい。図書館は、いつでもあなたのご来館をお待ちしています!
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