メディアグランプリ

早く人間を好きになりたい。~妖怪人間ベムと妖怪ウォッチが教えてくれたこと~


小堺さん
記事:Tomo San(ライティング・ラボ)

20代後半から、「tomoさんって、どうしてそんなんなんですか」と後輩からよく言われる。自分でも「なんでやろう」と振り返って考えるに、自分の好みのタイプが、若くてかわいくてなんでも言うことを聴いてくれる男の子でも、すべてを包み込んでくれる男性でもないことに、気が付いたから。それはぜったいに違うと学んだから。

私が、「妖怪人間ベムとか妖怪ウオッチと同じなんよ」とつぶやいたら、なんすかそれ?と言われた。

たとえば、見た目だけよい男性は、一緒にいて、嬉しいし楽しい。しかし、それが長期間になると、泳ぎ続けなければ死んでしまう魚と同じく、「いかに(より)好かれようとするか」に、熱意を注ぎ過ぎるようになる。

若くてかわいい男の子は、少しずつ、薄紙を重ねるようなやり方で、年上女性を「母親」に仕立て上げようとしてくる。言っておくが、これは無意識のレベルで。そうじゃない子も、ごくごくまれにいるが、言動をみていたら圧倒的にそっちのほうの割合が多い。年上女性は結局なんでもしてあげるのだが、はっきりいって、母親は二人もいらない。っつーか、母親じゃないし。

年上の男性は、ほぼ完璧。特に既婚の男性なら、妻がすでに生育し終わった段階なので、そこそこの清潔度と安定感で仕上がっている。しかし、一言でいうならこれは「沼」で、一度足を踏み入れると、抜け出るのに5年。抜け出るのに5年ということは、付き合う期間を含めるとそれ以上の年月が必要になって、そんなばかなことをするくらいなら、本を読んだりしたほうが百倍ましなのだ。(しかし、泥湯温泉は最高に気持ちがいい)。

上記の男性たちについて、単につきあうなということであって、楽しくあそんだりお酒を飲むことは無論、推奨する。

こんなことを書いてる時点で、自分が独身だと宣言しているようなものだが、結婚していないので、ゴールイン後の男性の正当性や継時的変化については、妻としての立場で語ることができない。しかし、予後について推測するとしたら、同じことを繰り返すであろうという仮説は立つ。繰り返さないとしたら、妻が策略家だということになる。それくらいは言えるかな。

少し話はそれるが、男性のタイプを訊かれることがありますよね。飲み会の。ネタみたいな感じで。
そんな時、返答についての私の中のスリートップがあって、
「高田純次、綾小路きみまろ、さまーず」
正確には4人だが、この3名が好き。正直、結婚してもいい。この人たちの本性は知らないが、風情が信じられる。

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妖怪人間ベムというアニメが数十年前に放映されていた。妖怪が人間になりたいけど、なかなか人間と通い合えない様を、おどろおどろしいタッチのイラストで語るという内容。一方、同じ妖怪アニメでも、妖怪ウオッチは私の中で「ドラえもん+ポケモン+おばQ」のいいとこどりした、鉄板アニメだと捉えているが、この妖怪は、全然怖くない。二つは、表面的なテンションとして、悲壮感VSポジティブ感の両極端に感じられるが、本質は同じ。

妖怪人間の「ほんとうらしさ」とは、人間に近づこうとする妖怪が、己の醜さゆえに拒否され、背中を向けて向こうの世界へ去っていくシーンに象徴される。私は、ここに、人間界の本質をみた。太宰じゃないけど。だから、ありありと、今でもそのシーンを思い出すことができる。深緑や紫、黒やグレーで縁取られた妖怪人間をガン見しながら私は、はてしなく切ない気持ちになったけれど、それでもテレビから、ぜったいに目が離せなかった。

妖怪人間と同様に、妖怪ウオッチも人間関係の機微を、根底では表現している。発達障害的な要素も、取り入れており、ああ、落語と同じだと驚いた。落語も、弱者を根本的に受け入れている。というか、そもそも弱者じゃない人間なんて、存在しない。だから、この二つのアニメは、どちらも妖怪を通して人間そのものを描いていることに他ならない。

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話は戻るが、上記の好みのタイプについて、言うなら見た目も妖怪やん(すみません)。でもね、本質はかなしみに満ち溢れている。なぜなら、「ふざけること=本質がみえている」からこその言動、になるわけです。本質を究明しても悲しみの塊しかないことはとっくの昔に判っているから、しょーもないことしか、興味がない。真剣ぶって話している人をみると辟易するから、やわらかくふざけて、けむに巻いてしまう。それって、ほんとうの姿だと思う。

私は男性が好き。だからこんなに注目するし、説明したくなる。でも、残念ながら自分のことは、まるでわからない。だから、女性について、興味がない。はっきり言って、どうでもいい。でも、人間としての魅力って、性別では当然ない。

男性を通して、早く、人間そのものを好きになりたい。

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2015-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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