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iPhoneをマンションの4階から落とした話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事: 森 団平(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
カラン……。カンッ! カンッ……。
そんな、音だけを残して僕のiPhoneは暗闇に消えていった。
残るのは絶望のみ。
絶望の中、僕は「神」に祈った、どうか……。
 
あれは、寒い冬の夜、僕が仕事を終え疲れて帰宅したときのことだった。
うちの家はマンションの4階だ、元気があれば階段を使う事もあるが、疲れているときは、大体エレベータを使う。
エレベータのドアが静かに閉まると、僕はかじかむ手をポケットに突っ込み愛用しているiPhoneを取り出した。使っているのは「iPhone XS」半年くらい前に機種変更したものだ。
通勤中に受け取っていたメールをざっとチェックする。
ほどなくエレベータは4階に到着した。
同時にエレベータのドアが開く、さて帰ろうとiPhoneをポケットに戻そうとしたその時だ、それは僕の手の中からスルリと滑り落ちた。
その時の事は今でも鮮明に思い出せる。
 
落ちたiPhoneは一度、エレベータの床でバウンドし、縦に一回転し床に転がった。ホッとしたその瞬間、エレベータのドアが開いた端にある隙間に吸い込まれていったのだ。
 
カラン……。カンッ! カンッ……。
どこかにぶつかり下へ、下へ。
そんな、音だけを残して僕のiPhoneは暗闇に消えていった。
その時の絶望感は、言いようもない。
 
まだ半年しか使ってない!
Apple Care入ってなかった!
14万円もしたんだ!
データはどうなる?
終わった……。
 
まさかエレベータにそんな落とし穴(スマホ用)が潜んでいるとは。
是非、今度家に帰ったときや職場などでエレベータに乗る機会があったら見てほしい。大体のエレベータにはドアが開くと端に隙間が出来ている。かばんなどは落ちないであろう幅3㎝くらいの隙間だ。
 
その後、たっぷり10分は放心していた気がする。4階のロビーで立ち尽くす。
ようやく再起動した僕は、やるべきことを思い出した。
あの暗闇から我がiPhoneを救い出すのだ。
マンションの管理人さんに相談し、エレベータ業者さんを呼び出してもらう。
気のいいエレベータ業者さんが着いたのは1時間後だった。
 
その1時間は辛い時間だった。なぜあの時スマホを見ようと思ったのだろう。手がかじかんでいたのは分かっていただろう。馬鹿な自分を責めた、それが何にもならないと知っていてもそうするしかなかった。
「神様、猛省しますから僕のiPhoneを無事返してください」
 
「そうですか、残念でしたね。たまにそういう話を聞きます」と気の毒そうにしながら、エレベータのメンテナンスハッチを開けてくれる業者さん。
暗いハッチの中を懐中電灯で照らすと、キラリと光を反射するものがあった。
「iPhoneだ!」
業者さんがその狭い空間に潜って取ってきてくれる。
祈るようにして、恐る恐る受け取ったそれは、
 
なんと「無傷」だった!
 
画面がバキバキに割れているわけでもないというか傷一つない。
タッチ操作も良好、電源のON、OFFも出来る。
4階から、地上約12mの高さから自由落下したそれは生きていた。
 
「神よ」と無信仰にもかかわらず心の奥で叫んだのは仕方ないことだろう。
 
僕の神は、たぶん「GILD DESIGN」だったのだ。
 
僕のiPhoneに使っているカバー「GILD DESIGN」が製作、販売している所謂「バンパータイプ」の製品。側面のみをアルミを削り出したフレームで覆うタイプだ。四隅は出っ張っており中には、クッションとなるラバーシートが入っていてどの角度から落としても衝撃に強い構造になっている。
削り出しの武骨なデザインには機能美が宿る。
 
「GILD DESIGN」の母体は二輪レース用の部品を設計、製作している会社だ。レースで求められる強度と限界までの軽量化を図る技術を有しているからこそ、この機能美に溢れたバンパーを作り出すことが出来るのだ。
 
これまでも、度々落として来たが、道で落としても、テーブルから落としてもiPhoneを守ってきてくれていた。代わりにバンパーには傷が刻まれ、落とした床には無残なへこみが出来たが。
しかし、今回ばかりはさすがに駄目だと思った。なにせ4階、地上12mからの落下だ。
 
しかし彼は立派に役目を果たした。自らの崩壊と引き換えに。
恐らく凄まじい衝撃を受けたであろうバンパーはフレーム部分が無残に弓状に曲がり元には戻らない損傷を負っていた。
曲がったバンパーに手を合わせてお礼を述べる。
 
あれから数ヵ月、今も僕のiPhoneは壊れることなく僕の生活を支え続けてくれている。
纏うのはもちろん「GILD DESIGN」製の新しいバンパー。
 
その後、エレベータの中で取り出すようなことはもちろんないが、周りを改めて見渡すと、色々な危険が見える。
側溝カバーの隙間、橋の連結部分、人の生活の危険にはならないが、スマホが滑り込むには十分な隙間がいろんなところにある。
歩きスマホはもちろん危険だが、立ち止まって使う場合も周りには気を付けてほしい。スマホの危険は常にあなたのそばに。
 
*なお、本文章はノンフィクションですが、4階から落としても必ず無傷ですむことを保証するものではありませんのでご留意ください。
 
 
 
 
***

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2020-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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