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「ただのブス」だった私が、「努力できるブス」に変わるまで


*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:佐倉咲良(リーディング・ライティング講座)
 
 
「佐倉咲良です。出身は○○県で、今は製造業で工場から出るごみの管理をしています。ごみが大好きで、ごみの分別には自信があります。趣味は海外旅行で、特にヨーロッパが好きです。こう言うとお金がかかると思われがちですが、定年まで働くつもりで自分のお金で旅行に行くので相手には出させません! よろしくお願いします」
 
私はブスだが、ついにこんな面白い自己紹介ができるようになった。
 
四半世紀をブスとして生きてきた。物心ついた時から「自分は可愛くない」ことを認識していた。教室に入れば男子から「なんか気持ち悪い奴入ってきた~」と言われた。スクールカーストは常に下で、「陰キャ」を象徴したような女生徒であった。ブスと思われるのが怖くて、男性と話すことが大学生までできなかった。成人して数年が経つまで彼氏も出来たことがなかった。初めてできた彼氏も「外国人なら美の基準が違うから大丈夫だろう」という理由で外国人と付き合った。社会人になっても様々な男性から食事に誘われたが、美人の同期との橋渡しにされていたことに気づき、落胆した。四半世紀を通して、美人な子には死ぬほど嫉妬した。美人なだけならともかく、プラス頭がいいとか運動神経がいいとか、他の要素までも持ち合わせていたら殺意すら覚えた。とにもかくにも自分の容姿を恨んでいた。
 
特に「美」の要素が社会において決定的な価値を持つ女性にとっては、「自分の容姿に自信がない」ということはマイナスの要素に働くことは想像に難くない。いやもっと言うと、私にとっては社会的な「死」を意味していた。こんなブスが頑張ったって社会的に評価されないよ。どうせ可愛い子の方が人生上手くいくんだから。そうやって、自分自身をセーブしていた。自暴自棄になって様々な努力を放棄していた時期もあった。
 
怖かったのだ。死ぬ気で努力しても、もし努力の量や成果よりも可愛い子が評価されたら。可愛い子の方が人生上手くいくとしたら。私の努力は何だったのだろうかと悲しい気持ちになる。もしそうだとしたら、ブスな私が何を頑張ったって無駄だ。可愛い子の方が有利なのだから。女は容姿が全てなのだから。本気でそう思っていた。
 
もしあの頃の自分に出会えたとしたら、まず頭をばちこーん!!! と叩いて「黙れブスがああああ!!! ブスこそ努力しろおおお!!!」と鬼のような形相で声高に叫ぶだろう。
 
どうして「ブスは努力しても無駄」から「ブスこそ努力が必要」という思考に変わったのか。それは次の一冊で考え方が変わったからだ。
 
「ブスのマーケティング戦略」税理士・田村麻美著
 
始めて書店で見た時、「なんじゃこりゃ」と思った。私も自分がブスなことに病んでいたとはいえ、他人の容姿にあれこれ言うのが悪という風潮がやっと根付きつつある日本で、でかでかとブスというという言葉が書いてある。しかも著者本人の顔の写真のドアップが表紙。私もなかなかのブスだが、もし本を出版する機会があっても自分の顔のドアップを表紙にする勇気はないな……と思いながら、気が付くと手に取ってレジに向かっていた。
 
読み終わったとき、私はとても本の内容に深く「納得した」。私は本を読むのが大好きで、感動的な本や心救われた本に涙するときが多いが、この本を読んでの感想は「納得した」の一言に尽きる。著者の田村麻美さんは自身のことを「税理士であり、優しい夫と可愛い娘がいて、早稲田大学の大学院にも通っていて、もうすぐMBAを取る予定で、本も出版している満たされたブス」としている。ブスの定義はビジネス市場・恋愛市場において「見た目を武器にできない人」とし、ブスでも使える武器を身に着け、どうすれば幸せに生きていけるかをこの本で指南している。言い換えれば、このマーケティング戦略の目的は「ブスの幸せな結婚」と「ブスの経済的な自立」だ。
 
「ブスの幸せな結婚」では、例えば田村さんはブスの見た目のゴールは「かわいさ、美しさ」ではなく、「お手入れされた清潔感」であると言う。そのための戦略として例えば服は「NATURAL BEAUTY BASIC」がおすすめで、髪やメイクもプロの力を借りて清潔感を保ちなさいと指南している。たしかになぁ、と思った私は服を片っ端から「NATURAL BEAUTY BASIC」でそろえ、お高い美容院に通い、デパートのコスメカウンターでコスメを購入してBAさんに化粧の仕方を教えてもらった。すると魔法のように、ナンパされるようにもなり、「可愛い」と言ってもらえる機会も増え(お世辞でも嬉しい)、なんと日本人の彼氏まで出来てしまった。その彼氏と近々結婚する予定でもある。自身のプロデュース、成功である。
 
「ブスの経済的な自立」では、例えば田村さんは「ブスこそ国家資格を取ろう!」と主張している。資格があれば経済的に安定する可能性が高まるし、ブスでも様々なことに挑戦して行動できる自信に繋がるからだ。なるほど、「国家資格を持っているブス」はポイント高いな……と思った私は、今している仕事に関連する国家資格を片っ端から受けた。合格して会社の資格取得者一覧に自分のネームプレートが掲げられると、周りの私を見る目が変わった。「ただのブス」から「国家資格を持っている賢いブス」になることが出来た。マーケティング論的に見ても、勤めている会社の名前よりも個人の能力が重要視される現代社会において、「国家資格を複数持っていて資格に関するビジネス経験もあり、努力もできるブス」は市場価値が高いだろう。転職こそしていないが、実際新卒から勤めている会社で資格手当ももらえてボーナスの査定も上がり、給料が増えた。ちなみに資格取得者の男女比が極端に偏っている(=男性の方が明らかに多い)資格の方が女性がちやほやされやすいとも著書で付け加えられている。
 
その他にも「ブスこそ話したいと思われるような自己紹介を考えなさい」と書いてあったので冒頭の自己紹介を作ってウケたし、何よりこの本に書いてあることをやってみることで周りの私を見る目が変わり、自分に自信が持てるようになった。「自己肯定感はお金を出してでも持ち合わせておくべき」が持論の私にとって、この本の定価である1500円は安すぎる。この本は、ブスにとっての「バイブル」である。
 
この本を読んで「ブスだから……」というのは単なる言い訳にしか過ぎないと悟ることが出来た。「何もできないブス」は痛すぎて見ていられない。美人ならば待っていても幸せが舞い込んでくるのかもしれないが、ブスには待っていても舞い込んでこない。ブスこそ武器を多く身に着け、幸せな人生を送るために沢山行動するべきなのだ。クスっと笑える文章で、3Cや4Pなどマーケティング用語をふんだんに使っているのでマーケティングの勉強にもなる。著者の田村さんはもし自分が美人だったら容姿の良さににあぐらをかき、努力を放棄しここまで人生成功しなかっただろうから、ブスに生まれてきてよかったし、もう一度生まれ変わるならブスを選ぶと語っている。この本を読んで「努力できるブス」になった私も、来世もブスを選択するだろう。「自分はブスだ」と卑屈になっている人ほど手に取って読んでほしい一冊である。この本を沢山のブスが読んで、世の中のブス達が救われますように。
 
 
 
 
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2020-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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