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リサイクルは、心も身体も温まる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:石川まみ(ライティングゼミ日曜コース)
 
 
屋久島には不用品をあげたり、もらったり、売ったり、買ったりするのに便利なSNSのグループが有る。
移住当初、このグループに参加したばかりのころは、その品々や、やり取りにかなり驚いた。
“古畳、差し上げます。かなり古いです”
添付の写真を見れば、確かに、かなり日に焼けて黒ずんでいる。
「ねえねえ、古畳がリサイクル情報に出てるけど、こんなのもらう人いるのかな?」と言いながら私は、夫にスマホの画面を見せた。
「まさか、いないんじゃない」
ところがすぐに “もらいます” とコメントが表示された。
何に使うのだろうか。
 
“不要なシンク(流し台)が有ったらください”
ええぇ、不要なシンクなんて持ってる人いるのなか? と思っていたら何人かの人から
“こんなので良ければどうぞ”と写真付きでコメントが入った。
畑で採れた土付きの野菜を洗うのにも便利だし、屋久島では釣りをする人も多く、魚をさばくのにも屋外でシンクを使うので持ってる人が多いのだそうだ。
 
“引っ越してきました。電化製品が不足してるのでください。特に冷蔵庫が至急ほしいです”
冷蔵庫を、至急くださいって……なかなか言えないよなと、思っていたら
“取りに来ていただければ差し上げます”と、すぐに話が成立していた。
すごい、すごい、あげる人がいるんだと感心した。
 
ちなみに、古畳は最終的には畑に敷いて使うそうだ。畑に敷くと雑草が生えないので除草が楽で、いずれは分解されて肥料になるそうだ。
こんな使い方が有るなんて。捨てられるものが他の用途で再利用されるのは気持ちの良いことだ。
 
リサイクル運動を推進している方の話しをお聞きする機会があった。
SNSを利用できないお年寄りの仲介もされているという。
「不要なものを必要な方に、心もつながればと思います」
「助け合いの心を大切にしたい」
「島の物を循環し、大量消費自体を減らしたい」
「ゴミゼロを目指す」
という言葉が心に残った。
 
屋久島に移住して来てからはライフスタイルも変わり、汚れたら困るような高級衣料品は用をなさない。気楽に着られるファストファッションに身を包み、汚れたらたら惜しみなく捨てれば良い、それが断捨離だなどと思っていたり、リサイクルに物を出しても大してお金にならないから手間だなと考えていたのが恥ずかしい。
 
現在ネットには各地域ごとの地元情報を掲載しているサイトもいくつかあって、全国的に不用品の「売ります・あげます」の活用率は高いという。
引っ越しの時などは不要になった大型の家具や電化製品を捨てるだけでも大変な手間とお金がかかるから0円でも引取りに来てくれる方にあげるメリットも大きい。
15年ほど前、主人の母が長年住んだ古い一軒家を引き払う時はその不用品を処分するのに50万ほどの出費が有ったし、まだまだ使える物も有ったので、その時にこんなサイトが有ったら助かったのになとつくづく思う。
ただし、どんな方が引取りに来るか分からないので自宅を教えて一人で待つのは不安だったり、金銭トラブルなども有るらしい。
 
その点、屋久島のリサイクルのグループはメンバーが島民に限られているので安心だ。
軽トラを持っている人も多く、大きな物もすぐに引き渡しが完了する。
学校の制服やランドセルなどもリユースが進んでいて経済的に恵まれない家庭の子供たちだけが、お下がりを着て負い目を感じることの無い風潮も良いなと思う。
私も今では積極的に利用している。
金銭での売買だけでなく、季節の果物や釣った魚など、この島ならでの物々交換も有って、リサイクルだけでなく温かい人のつながりが広がった。
 
昨年、高齢の一人暮らしの方が亡くなった時のことだ。
「○○さんが亡くなったので遺品の整理を手伝ってる。○○さんの家でガレージセールをするので時間が有ったら来て」と友人から連絡が有った。
そしてこの情報がSNSに拡散されるとほんの3日間で、一軒家の荷物がほぼ片付いてしまった。正直言って私は、無くなった方の遺品が生前にあまり交流の無かった人たちにも、どんどん、どんどんもらわれて行く様子に、その時は違和感を感じてしまったが駆け付けたご遺族の方達は「一軒家の荷物の処分に途方に暮れていたので本当に助かった」「屋久島の方達に使っていただければ故人も喜ぶ」と感謝していた。これも大切な物の循環なのだと考えさせられた。
 
自分にもしものことが有ったら、この家の片づけはどうするんだろうと思うとぞっとする。
物を増やさないようにしなくては!
孤独死も老人に限ったことでは無いし、大きな社会問題だ。
日頃からの地域の方達とのつながりやコミュニティは大切だ。地域での仕組み作りも必要ではないだろうか。
 
最近、屋久島の福祉を充実させたいという、そんな思いで生まれたリサイクル品を扱う場が出来た。
持ち込まれたリサイクル品を、買い物に行けない独居のお年寄りに届けるなどの支援も行っている。
今は、持ち込まれた物の仕分けなどを全てボランティアスタッフだけで行っているが、いずれは障害者の雇用にもつなげていくという目標があるそうだ。
 
この場の主催者の方は、島内でリサイクルの輪を広げていくだけでなく外に向けてもこれらの活動を発信していくことが大切だと言っている。
屋久島は観光が大きな産業の一つだ。「観光客のゴミのポイ捨て」という観光地ならではの問題も有る。
世界遺産の島、屋久島がリサイクルの取り組みを積極的に発信していくことや、リサイクルやエコ意識の高さを示していくことで観光客の意識も変えていくことができるのではないだろうか。
これからは私も、もっと積極的にリサイクル活動に参加し協力していきたい。
 
“古い木造家屋の廃材を差し上げます”
SNSのリサイクル情報に投稿があった。
写真を見たら大きさも形もまちまちな本当に古そうな木片が積みあがっていた。
再度、何かを作るのには利用できそうもない。何に使うのだろうか。
「これって、たきもんになるんじゃない」と夫が言った。“たきもん”とは、こちらの方言で“焚き物”のなまりで、薪や燃料のことだ。
「そうだね! もらいに行こう」
屋久島では、薪風呂や薪ストーブを使っている人がけっこういる。廃材は、あっという間になくなった。
今日は、この冬一番の冷え込みだけど、我が家の薪ストーブには沢山の“たきもん”がくべられ、赤々と燃えている。
リサイクルは、心も身体も温まる。
 
 
 
 
***

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2021-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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