メディアグランプリ

人は「中身」よりも「見た目」が大事


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木謙二(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「見ている人は見ているから」
これは、上司やクライアントなど私が影響を受けた人たちからよく言われた言葉である。
 
例えば、
寝グセがついたまま出社した時。
スーツがシワだらけで、サイズも体型に合っていない時。
革靴のツヤが消えてしまっている時。
 
これらは全て「見た目」に問題があるシーンだとお分かりになるだろう。その多さには恥じ入るばかりだが、過去を遡れば同様に指摘された場面はこれだけではない気がしてならない。今回テーマとして取り上げたいと思った理由はそこにある。
 
「見ている人は見ているから」
言い訳になるが、社会人5年目くらいまでは若さ故に私はその言葉の持つ意味に気づけなかった。「髪をセットするのも、スーツにアイロン掛けをするのも、靴を磨くのも、どれも面倒くさいし、仕事が忙しいからしょうがない」と都合の良いように解釈していた。その頃の私は、「(カノジョ以外の)他人からの見え方なんてどうだっていい。皆が同じ意見のはずだ」と高を括っていたのである。
 
50歳を目前に控えた今になって、その私が「見た目」にこだわるのには理由がある。
かれこれ25年以上に亘って営業の仕事に携わり、その間さまざまな人との出会いが少しずつ私を形作ってきたと言っても過言ではないだろう。
「経験を積むことで人間は成長する。特に失敗した経験こそがその後の大きな糧になる」という教訓は、全ての人間に共通して当てはまる。ただ営業職においては「つまらない失敗」だけは決してしてはいけないというのが、私が経験から得た大教訓である。
 
たとえ商談の場で良いプレゼンが出来ても、ボサボサの頭でヨレヨレのスーツを着て、足元が汚れていたりしたら。自分だったらおそらく採用しないだろう。これこそが「つまらない失敗」で、「中身」だけ磨いても効果が半減してしまう勿体ないケースだと言える。
 
その時のお断り文句はいつだって「いやー、プレゼンは良かったんだけどね……」であり、後に続く「……」の部分はだいたい想像がつく。
さすがの私も自信を失い、にわかに焦り始めた。最終的にお客様から注文がもらえなければ営業としては失格なのだから焦って当然なのだが。
 
そんな時に、本屋のベストセラーコーナーで「人は見た目が9割」という本に出会った。そこには「人間が言語によって伝達できる情報はたった7%しかない」とあり、「第一印象がいかに大事か」を私に思い起こさせてくれた。それが具体的な数値だったせいなのか、言葉にならないほどの衝撃を受けたという記憶がある。
 
「これだけ人と会話していても、9割以上は伝わっていないのか……」
ショックは大きかったが、同時にこう考えてみた。
「見た目を変えれば、逆に最強の武器になるんじゃないか……」
 
そう思ったら即行動に移すのだが、いざとなると「何から始めたらいいのか」が分からない。やみくもにブランド物を買い漁ったところで成金みたくなるだけだし、とはいえ組合せを間違えればダサくなってしまう……。こればかりは、センスが無い自分を恨むしかない。
 
そこで私は妻に白羽の矢を立てることにした。歯に衣着せぬ物言いは気になるところだが、彼女の「奇抜とも言えるセンス」に賭けようと。スーツ、ワイシャツ、ネクタイといった服装から、時計、財布といった小物、身だしなみに至るまで、彼女の意見は絶対だと従うことにしたのである。
 
更に、とあるミニマリストが書いた本が私のやる気を倍増させた。
その中の「いいモノを必要な数だけ所有すれば幸せになれる」というフレーズが、私の頭に心地よく響き渡る。一気には無理なので、ネクタイ、革靴、メガネに絞っていいモノを少しずつ買い揃えていった。
 
こうして、妻とミニマリストの適切なアドバイスに従って「いいモノを長く使う」ことを試してみたところ、面白いように周囲からの見る目が変ってきたのである。
 
「その靴ってジョンロブだよね?さすがだね!」
そう言われて嬉しくないはずがない。その後の会話も自然と広がっていく。
 
「もしかしてタグホイヤーの時計じゃないですか?オシャレですね!」
「今日も違うメガネだね。使い分けてたりするの?」
といった具合に、相手の方から話を振ってくれたりもする。
 
そうなると不思議なもので、「何をやってもうまくいく」ような自信がどこからか湧いてきた。新入社員時代から言われ続けてきた「見ている人は見ているから」の意味を肌で感じた瞬間だった。
 
以後、「派手なネクタイだね!」が私にとっての最上の褒め言葉である。それに対する切り返しも「人間が地味なので、ネクタイくらいは派手にしているんです」が常套句。アイスブレイクにこれ以上便利なモノはない。
 
「見た目」へのこだわりは今も続いている。
 
私は、社会人としての風格や説得力を増すにはヒゲを伸ばすべきだと常々考えていた。やる勇気がなくて先延ばしにしていたが、3年前に「今ならやれる!」と覚悟を決め、まずは口ヒゲから伸ばし始めてみた。意外と社内外からの評判が上々で「もっと早くやれば良かった」と後悔するくらいだった。でもこれを機に他の社員も遠慮せずにヒゲを真似できるようになったのは、私のちょっとした誇りでもある。
 
このコロナ禍で、マスクを着けての営業活動やオンライン商談が増えた。今までのやり方が通用しない時代がそこまで来ている。「見た目」についても、よりシビアに、時代に合わせていく必要がある。(せっかくのヒゲもマスクの向こう側だし……)
先が見えにくい時代だからこそ、誰もやったことがない新しい「見た目」に挑戦してやろうと、一人ほくそ笑む自分がいる。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事