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一番星になりたかった話


中川未久さん 一番星

 

記事:中川 未久(ライティング・ゼミ)

 

クリスマスが終わると、街は一斉に年越しの準備をはじめる。
昨日まであった赤や緑や金や銀の装飾は松や鯛や干支の装飾に変わり、クリスマスツリーは門松に変わる。あんなにイルミネーションにひとが群がってたのに、クリスマスを過ぎると不思議と人が集まらなくなる。
そんな季節に、私はいつも気になることがある。
クリスマスツリーの星は誰がどんな気持ちで外すのだろう、と。

クリスマスは言わずと知れた、キリスト教の救い主イエス・キリストの誕生を祝う日だ。キリスト教と関係なくても、クリスマスの華やいだ街の雰囲気はやはり心を明るくするものがあると思う。世界中でお祝いされる日を最初に祝った人物として、東方の三博士が知られている。今から2000年以上前、かれらはベツレヘムのかなた東の国で占星術の学者をしていた。ある日見たこともない光を放つ星をみつけ、イエス・キリストの誕生を知ることとなる。そして、その星に導かれ、イエス・キリストの誕生を祝いに訪れるのだ。
クリスマスツリーのてっぺんに当たり前のように飾られている星は、博士たちにイエス・キリストの誕生を知らせ、導いた一番星だったのだ。

私はそんな一番星が好きだった。クリスマスツリーのてっぺんで輝いているように、誰かを導き、注目される一番星に、なりたかったのかもしれない。

しかし、当然のことながら、一番星にはなれなかった。
小学生の一番星といえば、かわいいかかっこよくてスポーツのできる子だ。残念ながら運動も苦手だったし、よく言えば健康的な、まぁさっぱりといえば丸っこい子だったたため、一番星になんかなれなかった。

でも、運動はだめでも勉強で一目おかれることもある。比較的テストの点数はよく、先生にもかわいがられたほうだったとは思う。
でも、勉強のできる子の代名詞「読書感想文」がからっきしダメだった。あらすじの羅列はできても、感じたこととか考えたことが、まったくかけなかった。もちろん、かわいそうだと思ったとか、読んでいてわくわくしたとかは思う。でも、ほかの子が書くような「なんてかわいそうなのだと思うと、胸が張り裂けそうで涙が止まりませんでした」とか、「まるで私も一緒になって冒険しているようで、本を閉じても目の奥に冒険の世界が広がっているようです」なんて、まったく思いつきもしなかった。そして、もし仮にそんなことを思いついたとしても、私には絶対にかけなかった。
もし、「目の奥に冒険の世界が広がっているようです」なんて書いて、親に笑われたらどうしよう、クラスメイトに笑われたら、たとえ読書感想文が賞をとってもそんなことなら穴を掘って埋まりたいくらい恥ずかしいと思っていた。自分が感じた事、思ったことが間違っているといわれることが何よりも怖かったのだろう。だから自分の言葉で、自分のことを語れなくなっていた。誰かの言葉を借りることで、自分は間違ってないと思っていたかった。

そんなわけで、小学生から基本的に何も変わっていない私は、一番星になりたくて、なれていないのだ。
そして、その理由も最近はわかってきたのだが、間違っているといわれたくない、笑われたくないという、高いプライドだ。書けるものなら、上手に読書感想文を書きたかった。それで、みんなにすてきなことを書くねとか、そんなこと感じるなんて優しいんだねとか言われたかった。言われたいのはやまやまなのだが、それ以上に自分の感想や考察をさらけ出して、否定されるのが怖い。否定されるのは嫌だけど、私の話は聞いてほしいしすごいねって言ってほしい、でも違ってたらどうしよう、、そんなことをずっと考えているから、一番星になんてなれていなくて、星になれていたとしても、星雲のチリの一つくらいだと思う。

そんな、読書感想文すら上手に書けなかった私が、今、ライティングゼミに参加している。なぜ、文章を書くことが苦手なのに、文章を書く勉強をしようとしているのか。
もちろん向上心と好奇心旺盛な人なら、“苦手なことは克服したい!”と思うのかもしれない。

しかし、私は現状維持が大好きだ。向上しようとして失敗したら嫌だから。そんな低空飛行な私を“モノ書き”へと駆り立てるものがある。
強烈な嫉妬心だ。

私が初めて天狼院を知ったのは「親にまったく反抗したことのない私が、22歳で反抗期になって学んだこと《川代ノート》」だ。これを読んだとき、それまで私が悩んだり苦しんでいた思いに、言葉があてはめられていくことで、“消化”されていくのを感じた。そうなんだ、私が言いたかったことはこういうことなんだよ、と思って、ぐいぐい読み進めていた。会社のトイレで泣きながら読んだ。
【知らなきゃよかった】噂の女子校あるあるは本当か。女子校出身≠女子??私の女子校実体験《スタッフ山中のつぶやき》」も、自分の中高6年間の女子校時代を思い出してにやにやした。簡単に女子校あるあるを語られるとイラッとするけれど、私こんなところにいたんだよ、と人に教えたくなった。

このように、私は天狼院スタッフの書く言葉に心を動かされ、楽しくなったり悩みを解消してもらったりしている。いわば、ファンだ。スタッフがどんな目線で世の中を見て過ごしているのか、それを知るのがとても楽しい。そして、同時に芽生えたのが「嫉妬心」なのだ。なんで、こんな文章が書けるのだろう、なんでこの言葉が思いつくのだろう。人の心を揺さぶったり、しみ込んでくるように言葉を操れることがうらやましかった。もっと言うなら、妬ましかった。なんで彼女たちにできて自分にはできないんだろう。そんなことを思ったら、私も書いてみたいと思うようになった。

そして、もう一つ。嫉妬心を抱き私も“モノ書き”してみたいと思った私はこのライティングゼミの前進であるライティングラボに参加した。そこで習ったことをもとに、短い文章を書いて、ある企画に応募した。自分の感じたことを恥ずかしがらずに書いてみた。そうしたら、大賞をとってしまったのだ。大賞の商品は、ビール1年分。大好きなビールがライティングラボをきっかけに、転がり込んできたのだ。正直に言うなら、調子に乗った。そして、前よりもビールが大好きになった。あ、違う違う。前よりも、書きたいという気持ちが強くなった。

読書感想文すら上手に書けなかった私が、ライティングゼミでどう変わっていくか。プライドが高くて低空飛行な私が、変わっていけるのか。一番星にはなれなくても、もしかしたら誰かを照らすことはできるかもしれない。そんなことを自分でも楽しみに、これから3か月過ごしていきたいと思う。

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2015-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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