訛りとみうらじゅん
記事:ユキヒラ(ライティング・ゼミ)
あなたは訛りがありますか?
僕は、生まれてから18歳まで鹿児島育ちました。高校卒業後、北海道の大学へ。自分自身が訛っているなど微塵も思っていませんでした。
講座中。教授が居眠りしていた学生へ執拗にキツイ言葉を投げかけていました。
「そんなにガンなくてもいいのに」
なんとなく呟いた僕。その横には、はてなマークいっぱいの友人がいました。
「今なんて言ったの?」
「いや、ガンなくてもいい……」
ここで初めて気づきました。通じてない。そうかこれは方言なのだ。自分は訛っているのだ。
ちなみに”ガンなくてもいいのに”のイントネーションは、「ガ」と「いい」にアクセントがきます。
意味は「そんなに怒らなくてもいいのに」
数ヶ月後、大学生になって初めての夏休み。帰省して高校の同級生と集まりました。全員訛っている。自分の無自覚に愕然としました。
時は経ち、世間では訛りが武器になりました。テレビでは都道府県の代表が訛りで地元感をアピールしてコメントし、地元の良さをPRする時代になりました。長崎弁全開の社長が全国ネットで商品を紹介する時代になりました。
昨年末、池袋駅からほど近い豊島公会堂では3日間かけて天狼院書店大文化祭が開催されました。劇団天狼院公演あり、『インベスターZ』漫画家・三田紀房さんと『グラゼニ』原作者・森高夕次さんのトークイベント、100万部を経験したトップクリエイターのミリオンズサミット。なぜ3日間行かなかったのか後悔するラインナップ。
その中で、唯一、なんとか都合をつけて行ったのが、メインイベントの【天狼院の大文化祭】篠原勝之×糸井重里SPECIALイベント《糸井重里秘本ご開帳記念LIVE》でした。糸井重里秘本『骨風』の著者くまさんこと篠原勝之さん始め、きっかけになった糸井重里さんに、南伸坊さん、みうらじゅんさんと超豪華なトークショーが開催されました。
「ぼくね、秘本が自分の本だって知ったの公開される15分前なんですよ〜」
「なんで?」
「酒に酔ってバラしてしまうからスタッフが黙ってたの」
などなどの爆笑トーク。
そのなかで異彩を放っていたのがみうらじゅんさんでした。
みうらじゅんさんと言えば、ゆるキャラブームの火付け役であり、エロトークでは高田純次さんと双璧といっても過言ではありません。例に漏れず、このイベントでもエロトークが炸裂していました。
エロトークほど対象と場を選ぶ話題はありません。しかし、みうらじゅんさんはそれをいとも簡単に成し遂げる。
それはなぜか? 前提として卓越した話術がある。けれど、それと同じくらい大事な要素があると思うんです。
それは、みうらじゅんであるということ。
つまり、あいつはエロトークをするものであるということ。
だから、みうらじゅんのエロトークは当然なのであるということ。
もう会場の誰もみうらじゅんさんがエロトークをすることに違和感がないのです。
違和感がないどころではない。当然感。当然どころか、エロトークを期待されている。
エロトークが全身全霊で許されているのです。
あなたの職場にもいないでしょうか。エロトークではありません。
なぜか許されるひと。
なぜか、遅刻しても済まされる。
なぜか、タメ口が許される。
なぜか、離席が許される。
本来は守るべきマナー、ルール。しかし、彼だけがマナー違反が許される。
職場全体が、あいつはそういうやつだから、という暗黙の了解がある。もう言っても仕方がないという諦め感が漂っている。それがキャラとしてあたかも長所として受け入れられてさえいる。
この一連の流れの中に、「訛り」もあるように思うのです。
あいつは訛っているのだ、と周りに思わせたら勝ちなのです。
あいつはもう直らない、と言わせてしまえばいいのです。
あいつの訛りは味があっていい、と言われたらすでに長所です。
「あいつは訛ってる」という揶揄が、
「あの素朴さがいいんだよ」という賞賛になる。
しかし、なにもせずにそうなるわけではありません。
いや、なにもしなくていいんだけれど。
するべきことはただ一つ。
「訛り続けること」
「こいつの訛りは変わらんからむしろ生かした方がいい」と周りが思ったところから環境が変わります。
それまで自分が変わらない。
あえて変えようとしない。
そう、何もしない。
むしろ積極的に、自らを訛り全開の人として表現していく。
求められたら即座に訛りで返す。
これを「訛ラー(なまらー)」と名付けよう。
モデルはU字工事だ。栃木出身、栃木弁全開の漫才で人気の二人だ。
漫才界のみうらじゅん訛りバージョンである。
いや、漫才でけへんし。
いや、僕おもろないし。
うん、何もしなくていい。
「訛り続ける」だけでいい。
よかよか、おまんさ、そのままがよかよ(いいよいいよ、そのままがいいんだよ)
チェスト!(掛け声)
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