私にとって大切なこと
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記事:かりん(ライティング・ゼミ日曜コース)
私は今までの自分の人生を振り返り、全く後悔してないと言っても過言ではない。
なぜそう言い切れるのか?
私の人生において唯一残念だったことは「将来の夢」がなかったことだ。
学校の勉強は、すれば成績が上がり、サボれば成績が下がる、と言う感じだった。
高校受験の時に、県下でも有数の進学校を選んだのは単に家から一番近かったからと言う理由だった。大学を選んでくれたのは母だ。そんな進学の仕方をしたものだから、就職の時にすごく困った。
数字は得意だし
倒産しそうもないし
親も安心するだろうし
などという理由で銀行に就職した。
しかし、実際働いてみると思っていたのとは違った。
私は働くことが好きだったのだ。
あれ? 思っていたより頑張って働いてしまう。
それならもっとやりたいことをしようかな。
そうして自分自身を改めて見つめ直してみて
パソコン好きだし
建築に興味があるし
CADを勉強しよう
そんな軽い思いで、職業訓練学校でCADを習得した。
とはいえ、就職氷河期真只中。
職業訓練学校で二次元CADを習得したくらいで簡単に設計職に就けるほど世の中甘くはない。行き着いた先は、やりたかった建築ではない構造設計のCADオペレーター。
とりあえず、CADの経験を積もう!
と思い、飛び込んだ職場で、幸運にもいい先輩や上司に恵まれ、3次元CADを使いこなし、まがいなりにも設計できるほどにまで上達した。そんなある日
イギリスで働いてもらえないか?
と声をかけてもらえた。当時の職場はとにかく人に恵まれていた。上司も先輩も同僚もみんな仲が良く、忘年会といえば、一泊旅行で盛り上がる、と言うほどだった。
しかし、イギリスで働ける機会はいつでも誰でも与えられるわけではない。そう思ったので、迷わずイギリスで働く道を選んだ。
だが、そのイギリス生活は想像以上に過酷だった。
大して英語を喋れるわけでもなかったので、ガス屋さんに来てもらうために電話をかけたものの、オペレーターが話していることを理解できない上に何を言っているのかわからない私に嫌気がさしたのか、一方的に電話を切られてしまうほどだった。
仕事量は半端なく多く、深夜1時まで働き、翌朝8時には出社することがザラだった。
そんなに頑張っていたのに、上司にいじめられるという経験まですることになる。
苦労の連続でお腹がいっぱいだった。
とはいえ、人運はやはり悪くない。
決して小さい会社ではなかったにも関わらず、明らかに先輩のストレスの吐口と言えるいじめに気付いた社長や副社長、更に他の部署の上司も私を気遣い助けてくれた。
しかし、程なく会社の状況が悪くなり帰国。
住所不定無職
今、もし私に何かあったら、この肩書きで紹介されるんだろうな、と言う数ヶ月を過ごし、先月まで14年以上もお世話になる会社にご縁をいただいた。
また一から新たな設計職。たくさんの人に支えてもらいながら、精一杯働いたが、この職場では仕事で評価されることはなかった。しかし、大企業と言われる会社で働けたことで、結婚後出産し、2児の母になり、産休、育休、時短勤務、在宅勤務、と言うこれ以上ない恩恵のオンパレードを受けられたことは、働きながらも子供たちとじっくり向き合える時間をいただけたと感謝している。
そんな会社員時代、特に前半は自分にとっての生き甲斐を追い求めていたように思う。
その頃の私の
自分にとって大切なこと
は、いかに自分が向上するか、と言うことだった。
技術力を高め、一人前になり、男性と肩を並べて働きたい。
しかし、子育てをし、部署移動の末に設計職ではないマネジメント職を経験した時に私の考えは変わった。
人の役に立ちたい
あゝ、私はずっと心の奥底でそう思ってきたんだなぁと思った。
自分がいかに向上するか≒自分がいかにたくさんの人の役に立てるか
思いおこせば、設計職に就きながら、問題を解決した時よりも人の役に立てていると思う仕事をしている時が一番楽しかった。
「ありがとう」と言ってもらえることが私にとって何よりの報酬だった。
娘たちに母にしてもらえたことで、たくさんのママ友と出会った。
大企業の仕事では自分の職種の枠外のことをするのはタブーだったが、プライベートでは何でもできた。長女が0歳の時にママたちのサークルを作り、その3年後には英語教室を開講し、そのまた2年後にはマンション内で新体操教室も立ち上げた。
もっともっと人の役に立ちたい
必要な人に必要な知識を授け、その人が笑顔でいられる時間を増やしたい。
時にはじっくり話を聞き、心から共感する。
時には思考の転換を行うお手伝いをし、悩みを解決できる手段の一つを伝える。
私の強みの一つを、「好き」と言う想いから人に接するところ
と言ってくれた友人がいた。
中学生の時に金八先生を見て感動し、「信じられぬと嘆くよりも 人を信じて傷つくほうがいい」と言う言葉を常に心に持っていた。そう言う思いがあったからこそ、人間関係に恵まれてきたのかもしれない。
たくさんの「ありがとう」に囲まれて生きていきたい。
それが私にとって大切なことだ。
***
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