メディアグランプリ

ごめんね! 月曜日

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Yamamotoさん ごめんね

 

記事:Mizuho Yamamoto(ライティング・ゼミ)

 

日曜日の午後からどんより。18時30分からのTVマンガ「サザエさん」あたりからその気分はピークに。1週間のスタートの重苦しい気分と戦いながら、入浴、就寝の日曜日の夜。

いまや「サザエさん症候群」と名付けられるこの症状に悩まされたことはありませんか?

私も3歳で幼稚園に行き始めてからずっとそう。なんと52年間!
あっ、「サザエさん」テレビ放映は今調べたら私が10歳の時からのようですが。

ここ35年は、ああ、月曜日の朝から職場に行ったらあれをして、これをしてと布団の中でシミュレーション。
結婚してからは、子どもと共に準備して家を出るのは至難の業だった。

お弁当作りの6年間は、息子たちのお弁当箱に、あれを入れて、これを炒めて……。
起床は5時台、冬はまだ真っ暗な時間帯。
そんな生活も、長男が大学に行き、次男がそれに続き、気づいたら老夫婦だけが残った。

しかし、関東圏の大学に在学の2人への仕送りは半端な額ではなく。ブラック化する職場では、12時間労働が普通となりますます大変に。

もう十分頑張ったんじゃないかな? 私。

息子たちも就職して、仕送りから解放されて思い切っての早期退職が昨年度末。

老後はどうするの?
まぁ、自分で何とかする!

昨年4月1日から晴れて自由人となり、気づいたことがある。

あれっ! 日曜午後がいやじゃない。
月曜朝も、1週間の中の1日で、曜日に貴賤はないじゃない。
今まであんなに重い気分で迎えていた月曜日が、ちっとも嫌じゃなく爽やかに迎えられる。

おはよう、月曜日!
一週間の始め、よろしくね!
さぁ、今週はどんな週にしようかな?

なんて素敵に迎えられるんだろう、月曜日!

ああ、今までずっと嫌っていて悪かったなぁ。
ごめんね、月曜日!

ひょっとしたら人生には、こんなことがたくさんあるのかもしれない。
ものすごく嫌っていたものが、視点を変えたり、立場が変わると嫌いでなくなる。

運動音痴の私は、小学生の頃から体育の時間が憂鬱だった。跳び箱、マラソン、ハードル走……苦手中の苦手。そこから自分は、スポーツが嫌いなのだと思い込んでいた。中1の夏休みに転校した中学校で、同じ転校生のJちゃんと意気投合し、軟式テニス部に入部した。あの白いスコートにあこがれて。

入部して1か月もたたないうちに秋季新人戦を迎え、ダブルスで出場せねばならなくなった。そこで2人がしたことは、そう!白いスコートとレースのたくさんついたアンダースコートを買いに行くこと。学校の体操服でも出場できると言われたが、形から入らなければ気が済まない2人だった。試合のルールすら知らず、サーブもめったに入らないのに……。

押さえるべき点を完全に間違っていた。

試合当日、組み合わせを見ると、なんと最強と噂される私立中学校ペアが初戦の相手。相手のサーブのときの自分の立ち位置もわからず、右往左往。当然のストレート負けだった。

1本だけボレーが奇跡的に決まり、

「そこちょっと注意ね!」

と相手ペアが声を掛け合ったのが嬉しかった。

テニス、結構楽しいかもしれないと思ったのもつかの間、毎週水曜日だけ習字を習っていて早めに練習を抜けることが、当時の部の方針に合っていなかったらしく、

「テニスを選ぶか、習字を選ぶか?」

とキャプテンに言われ、習字は父が職場の人に頼んでわざわざ自宅に来てもらってのお稽古で断れないことから、習字を選ばざるを得なかった。でも、スポーツも楽しいということが分かって、その後の人生に影響を与えてくれたことに感謝している。

高校は文芸部でおよそスポーツとは縁がなかったが、体育の苦手意識は薄らいでいた。

短大では、体育にゴルフがありレッスンプロに基礎から習って、ずっと続けられる趣味となった。

社会人になってからは、ジャズダンス、エアロビクス、ヨガとスタジオに通って体を動かすことがストレス解消にもなり心地よかった。
結婚や子育てで中断した時期もあり、また学校という職場がブラック化して、年に数回しか通えない時期もあったが、今は週2回を目標に、運動して汗をかくことが習慣となっている。

いやだったもの、嫌いだったものが自分の見方でそうでなくなることを体験していくうちに、世の中から「私の嫌いなもの」が少なくなり、自分自身が仙人化していくような気がして来た。いや、私は魔女を目指しているので魔女化した自分づくりに精進するつもりだ。

ごめんね、月曜日。
ごめんね、スポーツ。

ごめんねの対象を1つひとつ減らしながら生きていくことはかなり楽しい。

今を生きる若者にとっては、月曜日が嫌いの対象から外れるには、ちょっと年季がいるだろう。
でも、そんな楽しみがあることを知ると、歳を重ねることが喜びと期待に変わるかもしれない。

 

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2016-01-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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