「パーソナルカラー診断」はエールだ
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記事:前田理香(ライティング・ゼミ日曜コース)
「前田さんは目力があるから、青みの強い色が似合いますね」
首元に鮮やかなブルーの布を合わせてもらった瞬間、鏡に映った顔がパァッと明るくなった。
昨年12月に、生まれて初めて「パーソナルカラー診断」を受けた時のことだ。
パーソナルカラーとは、その人の生まれ持った色(髪・瞳・肌)と調和する色(似合う色)のことで、色相(色合い)/彩度(鮮やかさ)/明度(明るさ)を軸に「春」「夏」「秋」「冬」の4つのタイプに分かれる。
その中から似合うタイプを、コンサルタントさんに診断してもらうのが「パーソナルカラー診断」だ。
昔から、自分の「ファッションセンス」とやらには、全く自信がなかった。
興味がなかったわけではない。
自分で選んだ洋服を、おしゃれな姉と妹に、ことごとく否定され続けたからだ。
「何その変な色!」「そんなの似合うと思ってんの?」「ダッサー」
いつの間にか、自分で服を選ぶことができなくなっていた。
「服を買いに行かなきゃ」と考えるだけで頭痛がする。苦手意識が先に立ち、体が動かない。どうしても必要な時は、店員さんに、頭のてっぺんから足の先まで丸ごとと選んでもらっていた。
選んだ仕事も「制服着用」
「着るものを考えなくていいんだ」と安心した。心の底からホッとした。気持ちが楽になった。
この「楽」になったことが、苦手意識を克服するチャンスを遠ざけた。
私服を着る機会がほとんどない中、ファッションセンスは磨かれなかった。
それでも、年齢を重ねていくうちに、無難な色や無難なデザインの服なら、選べるようになっていった。
そんな私が、「パーソナルカラー診断」を受けようと思ったのは、2つの理由からだ。
ひとつは、定年退職の送別会で着る洋服を、銀座松屋さんの「ファッションコンサルティングサービス」で購入したからだ。
勧められたワンピースは、自分だったら選ばないデザインのもの。
「いやぁ、絶対似合わないって……」そう思いながらも、断り切れず試着した。
……すっごく似合ってる!
驚いた。顔が華やかになり、スタイルもすっきり見える。
もちろん、即買い!
「もしかすると、他の人から見た私に似合うデザインって、違うのかな?」
この時、そう思った。
そしてもうひとつ。
カウンセラー兼研修講師として独立したからだ。
研修講師としては、研修内容に合わせたイメージを作りたい。時にはカチッとしたイメージだったり、華やかなイメージだったり。
でも、カウンセラーとしては柔らかくて優しい印象を与えたい。
どうしたらいいのか……。
そうだ! プロに任せよう!!
早速ネットで、評判のコンサルタントさんを探した。
その勢いのまま予約をしようとしたところ、既に満席。翌月まで待つこととなった。
予約当日。
いつもより少しだけ念入りにお化粧をした。服も色合いを考えた。マフラーはお気に入りのターコイズブルー。
「何か言われるかな?」期待と不安で胸がドキドキしていた。
サロンにつくと、お茶を飲みながら「好きな色」や「嫌いな色」、「どんなふうになりたいか」などをカルテに記入しながら、話をしていく。
そしていよいよ4つのタイプ診断だ。
タイプごとに、1枚ずつ色の布を当てていく。似合う色では、顔色が明るくなったり目鼻立ちがはっきりしたり、印象が変わる。
反対に、似合わない色では、顔色が悪くなり目が濁ってるように感じる。おまけに人相まで悪く見える。
同じタイプのグループの中でも、似合う・似合わないがある。
冬タイプの私の場合は、緑や黄、オレンジは、全滅だ。素人目にも全く似合っていない。
似合うのは、鮮やかな赤系統や青系統。目鼻立ちもすっきりして、華やかな印象を受ける。心なしか笑顔も柔らかい。
驚いたのはこれだけではない。その日着ていった服の色が、「似合う色」のグループに入っていたのだ。
お気に入りのマフラーも「すっごく似合っていますよ」とお墨付きをいただいた。
不思議に思い、自信がなかったことを話すと意外なことを教えてくれた。
「自信がなくて、ファッションに慎重だった」のが良かったらしい。
自信のある人は、いろんな色やデザインにチャレンジして、中には自分に似合う色が分からなくなり、似合わない色を身に着けている人が、少なからずいるそうだ。
少しだけ、苦手意識が小さくなったような気がした。
それからも、骨格診断を基にデザインや柄、帽子やアクセサリー、メイクのカラーや髪形まで、丁寧にアドバイスをしていただいた。
お願いしたコースの4時間は、あっという間に過ぎていった。
おまけに、自分の似合うタイプのカラー見本帳とカードまで付いてくる。
後日、カラーアドバイスシートが届くという、まさに至れり尽くせりだ。
数日後、届いたアドバイスシートは、50ページにわたるもので、コンサルタントさんのエールのような気がした。
そのエールを胸に、新しいスーツとブラウスを買いに行った。メイクも少し変えてみた。
ファッションが、少し楽しくなった。
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